渡辺史敏の「from New York(フロム・ニューヨーク)」

2005年06月30日

松井トレードの可能性

 28日に10号本塁打を含む3安打を放つなど打撃の好調を維持しつつ、守備にも復帰し、いよいよ乗ってきたヤンキースの松井秀喜。そんな彼とは裏腹にチームは30日時点で勝率5割6厘で地区3位と苦しい闘いを続けている。

 この低迷にシビレを切らしたジョージ・スタインブレナー・オーナーが28日、チーム首脳陣とミーティングを行い、それを契機にニューヨーク地元メディアは一斉にトレードによる戦力補強について報道し始めた。

 まずはトレードの可能性について論じたものが多いが、そのなかで気になったのが老舗日刊紙ニューヨーク・タイムズだ。

 28日付の記事でタイラー・ケプナー記者は、トレードの可能性がある選手としてホルヘ・ポサダ捕手、トム・ゴードン投手と並んで松井の名を上げたのだ。その理由として、同記者は松井の契約が今シーズンいっぱいであるためとしている。さらに翌29日付の記事では、主要選手のなかでポサダ、ゲイリー・シェフィールド外野手と松井は“トレード拒否事項”を現契約に入れていないことも指摘している。

 こうしてみるとまるで松井がトレード要員の筆頭のように感じるが、決してそんなことはない。ただ、デイリーニューズも「たぶんないだろうが」、とただし書きをつけながらも「ヒデキ・マツイでさえ」トレードの候補になっているとする記事を掲載している。

 そうしたなか、具体的なトレード交渉をいち早く伝えたのが29日のニューヨークポストだ。シェフィールドとメッツのマイク・キャメロン外野手の交換トレード交渉について両チームのGMが同意したと、伝えたのだ。

 まとまれば両チームの主力選手同士によるまさに大型トレードとなる。ただシェフィールドには現在“トレード拒否事項”を持っていないものの、もしチームがトレードの動きを見せればすぐに同項目を付け加えるだろうとも言われており、先行きは不透明だ。

 いずれにせよ、低迷脱出に向けてなんらかの動きが出るのは必至の状況となっている。7月末のトレード期限まで、オールスターも含め、フィールド内外の動きがさらにおもしろくなりそうだ。ただ松井にはそんな動きに惑わされることなく、ピンストライプを着て活躍を続けてもらいたいものであるが。

【ジャーナリスト 渡辺 史敏】

June 30, 2005 07:00 AM | トラックバック (0)

2005年06月23日

もう1つのヤンキースに注目

 アメリカ22日、ニューヨークのもう1つのヤンキースが地元開幕を迎える。マイナーリーグ1Aのショートシーズン・リーグに所属するスタッテンアイランド(SI)ヤンキースだ。

 ショートシーズン・リーグはその名の通り6月下旬から9月上旬までの約3カ月間だけ開催されるプロ契約した大学生などを中心にした若手選手を中心としたリーグ。SIヤンキースは、その中でニューヨークとその近郊の14チームで構成されるニューヨーク・ペン・リーグに所属している。

 そのSIヤンキースが昨シーズン来、我々日本人にとって急速に親しみやすい存在となってきた。2月には日本語のチーム公式サイト(http://www.siyanks.jp/)を開設し、来る7月25日のバーモント・エキスポス戦では“ミズノ・ジャパニーズ祭り”と銘打ったNYヤンキースの松井秀喜も来場するイベントを開催するといった具合だ。

 これらの日本人向け活動を積極的にけん引しているのが同チームのグループセールス・マネージャー、白井孝明氏である。

 昨年夏同チームに就職した白石氏によると、日本語サイト開設は当初から考えていた事案だったという。「NY地区には20万人近い日本人がいて、年間30万人の観光客が来る。しかもその観光客はシーズン中である夏場に集中している。そして、彼らのほとんどがウェブから情報を得るようになっている。SIヤンキースが日本人を呼び込もうとするなら、日本語ウェブサイトを持っていないと話にならない」とオーナーに力説したのだとか。オーナーは白井氏の意見をすぐ理解し、開設にゴーサインを出してくれたという。

 実際、日本メディアへの熱心なPRの甲斐もあって同ウェブサイトは開設後1週間で10万ヒットを記録するなど、人気を呼んでいる。日本語で同チームのゲーム・チケットを購入できるのも魅力だ。

 そんな白井氏とチームにとって今シーズンの一大イベントとなるのがジャパニーズ祭りである。イベントの主旨は「来てくれたお客さんたちに日本の文化を少しでも知ってもらう、思い出してもらう」こと。当日は日本のビール、食べ物の販売、おめん、ヨーヨーの販売、安全必勝祈願祭、太鼓グループのパフォーマンスなどが行われ、入場者5000人にチームのロゴ入り扇子とポケット・ティッシュが贈呈される予定だ。さらには全観客の中から1人に日本のプロ野球観戦ツアー2人分がプレゼントされる。

 また松井も当日の来場だけでなく、「松井秀喜のインターナショナル・フレンドシップ・プログラム2005」というタイトルで金沢リトルリーグチームをニューヨークに招待することになっている。

 この盛り沢山のイベントは「マイナーリーグのチームがグローバルに展開するということで大きな注目を集めており、マイナーリーグの中でも今年1番のイベントになるだろうと言われている」のだとか。

 このほか日本関係以外でも昨年以上にスタジアムの内装をヤンキース色の強いものにしたり、多彩なプロモーションやプレゼントなどのイベントがシーズン中多数計画されている。

 白井氏は「負けてもお客さんが笑って帰っていくのがマイナーリーグ。SIヤンキースはそれに加えて、フェリーやスタンドから見られるマンハッタンや自由の女神といった景色、スタジアム横にある日本人設計の同時多発テロ追悼モニュメントなど、総合エンターテイメントとして楽しめます」とSIヤンキースの魅力を強調していた。

 7月25日のチケットは既に半分以上売れているとのことだ。この夏ニューヨークを訪れるなら、ぜひこのもう1つのヤンキースが演出するエンターテイメントを体験してみてはいかがだろうか。

【ジャーナリスト 渡辺 史敏】

June 23, 2005 07:00 AM | トラックバック (0)

2005年06月16日

生まれもってのスター、松井秀喜

 松井秀喜は、やはり生まれもってのスター選手なのだ。ケガを押して出場した14日のパイレーツ戦での活躍に、その認識をあらためて強くした。

 事の発端は12日のカージナルス戦だった。7回裏の守備で右翼に入っていた松井は安打を捕ろうとして足首をひねり、ジョー・トーリ監督とトレーナーに付き添われ、ベンチに退くこととなったのである。松井の日米連続出場を知る者はみな、これを見て凍りついたが、それはここアメリカでも例外ではなかった。このシーンが全米向けスポーツ・ニュースで紹介されたほか、地元紙も「マツイの転倒が連続記録をKOするかもしれない」(デイリーニューズ)といった負傷とその影響を危惧する記事を掲載したのである。

 幸い13日に試合がなく、MRI(磁気共鳴画像装置)検査の結果、骨に異常ないことが判明。14日当日、トーリ監督の判断で、指名打者としての出場となった。

 そして、みなが不安な目を向けるなか、松井は第1打席で先制の5号ソロ本塁打を放ち、4回の第2打席も右前打で出塁。ホルヘ・ポサダ捕手の左前打で、二塁からホームインする好走塁を披露したのである。

 これを受けて15日の地元各紙は松井を大きく取り上げることとなった。それらの記事に共通しているのは、ニューズデーの記事が「松井の右足首のMRIは陰性だったが、彼は日本人記者たちに、昨日ゲームがあったらプレーすることはできなかったろうと話した」という書き出しになっているように、13日には出場できる状態ではなかった点を強調していること。

 さらに打撃練習をするまで、プレーできるかどうか不確かだったことにも言及している。例えばデイリーニューズは打撃練習前にクラブハウスの扉に貼られた打順表の5番には“Ma”とだけ書かれており、指名打者が“マツイ”か“マルチネス”かわからなかった、と明かしており、やはり松井の出場がギリギリの出場だったことを強調していた。

 また、大きく負け越した遠征から戻っての本拠初戦を9-0で勝利した、という背景まであった。そうしたことを紹介した上で、これらの記事はいずれも松井の活躍に「感情に訴える」という言葉を使うほどの絶賛をしているのである。ドラマチックな展開で、その主役になれるのは、やはりスターとしかいいようがない。

 とはいえ、松井がこれで完全復活となったわけではなく、依然として心配な状態が続いているのは事実だ。

 15日、ヤンキースは09年オープンを予定している新スタジアム建設計画の全容を発表した。ぜひその開幕の日まで松井にはヤンキースの一員として、連続出場を続けていて欲しいものである。

【ジャーナリスト 渡辺 史敏】

June 16, 2005 07:00 AM | トラックバック (0)

2005年06月09日

球宴投票に参加しよう

 ニューヨークは最高気温が30度を超える日が続くようになり、いよいよ夏到来といった雰囲気だ。そしてMLBの夏の恒例イベントといえば、オールスターゲームである。今年で76回目となる球宴はタイガースの本拠地コメリカ・パークで開催される予定だ。

 現在、野手出場選手の投票受付がされており、各チームともスタジアムや公式ウェブサイトで自チームの選手が多く選ばれるようキャンペーンが行われている。

 我々にとって気になるのはやはり日本人選手。既に2回中間発表がされているので、そこから動きを見てみたい。

 まずア・リーグだが外野手部門でイチローと松井秀喜の出場が期待されている。

 イチローは先月31日の第1回発表では51万5343票で3位だったが、6日の第2回発表では70万7654票で2位に浮上した。1位は2回ともレッドソックスのマニー・ラミレスが獲得しており、既に75万8904票とイチローに5万票近い差をつけていることもあってこのままトップを維持しそうな勢いである。ともあれ、イチローの出場は間違いないだろう。

 対する松井秀だが、1回目も2回目も6位と、当落線上。第2回時点で5位はチームメイトのゲイリー・シェフィールドで約4万3000票差、7位はツインズのトリー・ハンターでこちらには約11万票の差をつけている。このままいけば大丈夫?

 ホワイトソックスでレギュラーに定着し、投票フォームにも名前が記載された井口だが残念ながら2回とも2塁手部門の上位5人の中に入っていなかった。

 対するナ・リーグでやはり注目なのは、苦しい状況でのプレーが続くメッツの松井稼頭央。1日の第1回発表では14万8685票で2塁手部門第5位に入っていたものの、第2回ではランク入りしなかった。代わって第5位に入ったカブスのトッド・ウォーカーが19万31票で、これを上回れなかったことになる。つまり第1回から第2回の間の獲得票数が5万票に達しなかったわけで、投票の勢いが急速に衰えてしまった格好だ。

 これも松井稼に対する地元ファンのブーイングの一種なのか、などと思ってしまう数字ではある。

 投票はアメリカ東部時間6月30日(日本時間7月1日)まで行われている。日本からもオンラインによる投票が可能で、日本語の投票ページも用意されている。また各リーグ控え選手の投票も7月3日から6日(日本時間4日から7日)まで行われる予定だ。ぜひ日本からも応援する選手の出場のため多数の方に参加して欲しい。

【ジャーナリスト 渡辺 史敏】

June 9, 2005 07:00 AM | トラックバック (0)

2005年06月02日

稼頭央「二塁も先発落第」

 31日にシェイスタジアムで開催されたダイヤモンドバックス戦で、メッツの松井稼頭央は出場機会をもらえなかった。首のケガも既に癒えていたにもかかわらず、先発で二塁を守ったのはミゲル・カイロだった。

 カイロは前日までで8試合連続安打を続けており、この試合でも3打数2安打を記録するなど現在好調である。それゆえの起用といえるが、松井も「練習でも調子は上がっていた」と発言するぐらい本人としてはいい状態にあったようだ。それだけに「ケガもしていないのに外されたのは初めて」と、悔しさをにじませたコメントが出るのも当然だろう。

 そしてニューヨークの地元紙は1日、この起用に敏感に反応した記事を一斉に掲載している。その論調は遊撃に続き、二塁も先発落第、というものだ。 ニューヨーク・ポストの場合、ラリー・ブルックス記者による「カズと効果:二塁は今ミゲルのものに」というコラムを掲載した。

 ブルックスはその中で松井をスーパーマンのコミックに登場する悪役キャラにたとえ、メッツに加わって以来、損害と混とん、混乱とを与えてきた、とまで示唆しているのだ。

 出場できなかった松井が「チャンスを与えられたときに、100%の力を出すのが自分の仕事」とコメントしたことをストイック、と評価はしている。とはいえカイロを9試合連続安打に加え、犠牲バントや二-遊-一のダブルプレーなどプレー全般にわたり高く評価。実質的な落第宣言記事になっていることに変わりない。

 そこまで断定的ではないがデイリーニューズも「カズ、ベンチで座っていることを強いられる」という記事を掲載している。

 ウィリー・ランドルフ監督がこの日松井を依然「技術的に私の二塁手」とコメントしたものの、「ミゲルは今多くのエネルギーを我々に与えてくれているし、いいプレーをしている」とも話したことも掲載。少なくとも現在に関してはカイロが正二塁手の座にあることを指摘している。

 気になるのはどちらの記事でも、今シーズンがメッツとの3年間総額2010万ドルにのぼる契約の2年目ということが強調されている点。なかには「それゆえ彼は先発の仕事を取り戻すため、より多くの機会を与えられるだろう」(デイリーニュース)といった表現もあり、高額契約ゆえに本来落第のはずの松井に機会が与えられているような印象を地元ファンが受けてしまいそうである。

 ここでさらに悪いイメージが定着、となるとメッツ在籍まで致命的になりかねない。この状況をなんとか打破する突破口を、松井が見つけてくれることを望むばかりだ。

【ジャーナリスト 渡辺 史敏】

June 2, 2005 07:00 AM | トラックバック (0)