渡辺史敏の「from New York(フロム・ニューヨーク)」

2005年04月13日

稼頭央の援軍はNYメディア

 メッツの松井稼頭央が11日のアストロズ戦で、5打数2安打2打点の活躍を見せた。特に8回の第5打席は決勝打となる勝ち越しタイムリーで、本拠地シェイ・スタジアムの初戦を飾る貴重な1打となった

 もちろんこの松井の活躍を地元タブロイド紙の多くは写真入りで伝えたが、その中にはこれが松井の立場を救ったことを指摘する記事もあった。デイリーニューズが掲載した「カズ、2つめのチャンスをつかむ」という記事がそれだ。

 10日のブレーブス戦で、松井は開幕以来初めてスタメンを外れ、出場機会がなかった。それまでの打撃成績は21打数5安打の打率2割3分8厘。そんな松井の置かれた状況について同記事は、書き出しで「ラジオと(ネットの)チャット・ルームは既に、メッツの二塁手をカズ・マツイからミゲル・カイロに替えろ、という言う者とポスターで埋め尽くされている」と表現した。さらに続けて「昨日の本拠初戦でシェイに入った5万人強の多くが同じように感じていた」と記している。つまり、ファンや地元専門家たちの間でまたも松井バッシングが起こっているというのだ。

 ただ同記事の主旨はそんなマツイ・バッシングに対し、この試合で松井が“完ぺきな”バントと決勝打により、「マツイは試合開始前の選手紹介で起こったブーイングをひっくり返した」とし、松井が一転、評価を上げたことを伝えるものである。「ブーイングが自分を苦しめたとはまったく思っていません」という松井のコメントや「彼はバントの名手だ。そのことを信じて欲しい」というウィリー・ランドルフ監督のコメントも掲載された。

 とはいえ、松井は依然厳しい立場にあるのも事実である。そんな彼の今季のプレー、それも懸念されていた二塁の守備について高評価を上げているメディアもある。スポーツ専門局ESPNのMLB専門番組“ベースボール・トゥナイト”が11日、相手チームの二塁盗塁時のプレーについて時間を割いて紹介したのだ。

 いわく「捕手マイク・ピアザはこれまで守備で高い評価を受けたことはなかったが、今季は違う。それは二塁手カズ・マツイのおかげ」なのだという。肩がいいとはいえないピアザの送球に対し、去年二塁を守っていたホセ・レイエスが二塁後方で捕球していたのに対し、松井は動き出しが早く二塁をまたぐ形で捕球するためタッチが早く、走者を刺すことができるようになったという指摘だ。

 ビデオで見比べると、たしかにピアザの送球は去年も今年も同じ感じなのだが、松井は見事にアウトにしている。

 マツイ・バッシングが大きくなりつつあっても、そんな点に着目、正しく評価し、皆に伝えるメディアが出てくることが、素直に嬉しかった。

 まず“2つめのチャンス”を生かし、援軍も得た松井。このまま一挙に不信感を一掃、といってもらいたいものである。

【ジャーナリスト 渡辺 史敏】

April 13, 2005 07:00 AM

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