2005年03月24日
“つかみ”に成功した石井
急きょ行われた石井一久投手のメッツへのトレード。先発ローテションの穴を埋める、というチームのもくろみは明らかで、石井はドジャースでの実績からそれだけ実力を認められているということでもある。
さすがに1面トップで、とはいかなかったが、ニューヨークの各地元メディアも石井加入をトレードの噂が出たときからかなり大きく報じ続けた。
そのピークとなったのが21日に行われた入団記者会見を伝えた22日付の各新聞。そこで鮮明になったのは、皆が石井の“制球難”つまりに四球の多さ注目しているということだった。
過去3年間に記録した473イニングで305という四球数が、2002年以降ではダイアモンドバックスのラス・オーティス投手の308に次ぐワースト2位の記録である点が、記者たちに強い印象を与えているらしい。
日本でも報道があったように、記者会見ではこの点を突く質問がされ、対して石井はひるむことなく「四球は与えるかもしれませんが、気にしていません。それでも勝ちをチームに与えられる選手になりたい。四球にナーバスになるのではなく、0点を重ねることを考えてアグレッシブに投げ込んでいきます」と言ってのけた。
22日付の記事の多くは、四球の多さという不安感を指摘するとともに、石井のこの発言を紹介している。ただしその論調は最終的に肯定的なニュアンスのものがほとんどだった。例えばデイリーニューズは「石井はすべてコントロールできていると主張」という見出しをつけ、ニューズ・デーでは「石井の弱点であるコントロールの悪さを修正することは可能である」といったぐあいだ。少なくとも、強気の発言は各メディアに前向きな印象を与えることができたようである。
そして強気以上に好印象を与えたと思われるのが、この記者会見での石井のユーモア。松井稼頭央内野手について「同じ顔をした選手が内野にいるというのは安心感があります。でも、普通はキャッチャーの方を見ているからあまり見えないです」と話すなど、皆を爆笑させた。デイリーニューズはこの発言を紹介するのに「(石井は)ユーモアのセンスを光らせて」という言葉を使い、ニューヨークポストは舌を出して笑う石井を掲載した。記者に伝わったユーモアは、こうした記事によってNYのファンにも伝わっていく。少なくとも第一印象という点で石井は大成功を収めたようだ。
また、興味深かったのがデイリーニューズの記事中に「日本語で答えたが、ほとんどの質問を通訳なしで理解していた」という記述があったこと。やはり言葉の理解度は印象につながる点なのであろう。
とはいえ、結果を出さなければ第一印象などすぐに吹っ飛ぶのはよく知られているとおり。“つかみ”に成功した石井のNYでの評価はまさにこれから決まるのだ。
【ジャーナリスト 渡辺 史敏】
March 24, 2005 07:00 AM
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