浅岡真一 独断流

2007年11月26日

新井獲得は朗報だが、今岡との兼ね合いは?

ポジション問題

 広島ファンにとっては、今シーズンオフは悲しい、落胆の時節になったことでしょう。昨年、FA宣言せずにカープに止まったエース黒田博樹投手が宣言をして、もはやメジャーリーグを目指しているようです。

 さらに、新井貴浩内野手がFA宣言し、21日、阪神と2度目の入団を交渉し、タイガース入りを表明しました。8日に涙の宣言をした時点で、その流れはできていましたが。プロ野球選手として、その権利が認められているので彼を責めるのは酷ですが、赤ヘル党にはショックだったことでしょう。

 逆に阪神にとり、オーバーに言えば“悲願成就”となります。今年は得点力不足に泣いてきただけに、05年にホームラン王のタイトルを手にし(43本)、ここ2年も3ケタ打点をマークした強打者に、4年10億円(推定)の条件提示をしたのでしょう。

 新井は21日の記者会見で「勝負強い打撃ができればと思っています。1試合1試合1打席1打席、気持ちを入れて頑張るというスタンスで臨みたい」と抱負を語り「日本一? もちろん、もちろん! それしか考えていない」と力強く宣言しました。

 ところで阪神のサードといえば、ここ数年は今岡が主役を務めてきました。今季は故障で長く戦列を離れて、シーズン終盤に戻ってきました。実績からすれば新井に勝るとも劣らない主軸。ポジション争いがどうなるのか、興味深いところです。

 岡田監督は「最低限クリーンアップと思っている」と新井に期待を寄せていますが、守備位置についてはまだこれからの課題としています。現状では今岡と一、三塁を争うことになりますが、筆者は多少の不安を感じています。

 新井のサードは失礼ながら、抜群の好守とはいえないでしょう。今岡にしても今年で34歳、左右の動きには若い頃の俊敏さはなくなっています。

 じゃあ、一塁が楽なポジションかとなると、現代野球ではそうではありません。阪神ファンならご存知でしょうが、この3年間、シーツの好守で投手陣がどれだけ助けられてきたことかです。左右の動き、バント処理、さらにカットプレーと、いずれも一級品でした。

 シーツ並みのプレーを期待するのは無理としても、それに近い守りはバッテリーも望んでいるはず。日本一を目指すには、ディフェンスがどれほど大事か、今年の中日が証明しましたし、岡田監督もそのあたりは頭に入れているでしょう。

 まだ、新外国人が決定しておらず、場合によっては今岡、新井の争いに加わってくる可能性も残されています。そうなれば、阪神に求められている「競争の原理」が激化して、チーム力は上がることでしょう。

November 26, 2007 04:06 PM | コメント (12) | トラックバック (1)

2007年11月14日

やはり「真のワールドシリーズ」は遠いのか

アジアシリーズを見て

 先に行われたアジアシリーズは中日が韓国のSKに辛勝して、何とか優勝しました。予選ラウンドではSKに苦敗し、決勝戦でも先制され、逆転しても同点に追いつかれるなど、ゲーム展開はかなり緊迫したものでした。

 ロッテ、日本ハムに続き面目を保った落合監督も「アジアの力の差はほとんどないぐらいじゃないか。各国のリーグ王者はやはり強い」とゲーム後、回顧していましたが確かに台湾、中国も含めてチーム力はかなり強固になってきている気がしました。

 ところで、このシリーズは3年前から始まりました。ゲーム機器メーカーのコナミが特別協賛となり「KONAMICUPアジアシリーズ○○年」という名称で運営されてきました。4か国のリーグ優勝球団が予選リーグを戦い(中国は実際はリーグ選抜)、1、2位が決勝戦を行うという方式でした。

 各チームへの賞金も筆者からすれば破格。優勝は5千万円、2位が3千万、3、4位が1千万です。やはり人間、ニンジンをぶら下げられるとそりゃあ戦闘意欲も増すでしょう。

 ただ、3年までは東京ドームで開催されることが当初、決まっていました。来年以降はどの国でやるかは現状未定です。

 公式サイトによれば、この大会の目的はアジアNO・1を決めるとともに、国際野球の第一歩とし、将来的にはワールドシリーズ覇者との真の世界一を決める試合にしたいとしています。

 この高邁な理想は支持したいと思います。日本プロ野球機構の根来コミッショナー代行は「今後も続けていきたい」と語っていましたが、その理想を追求していきたいからでしょう。しかし、早晩、そうなることはないでしょう。

 米国は野球の母国というプライドが高く、五輪やWBCへの非協力的な姿勢は一つの象徴と言えるでしょう。さらに日本人選手のメジャーリーグ志向は年々、高まるばかりです。彼らの人生ですので、筆者が口を挟む権利はないのですが、メジャーが野球の最高峰だと考えるから、野望を抱くのは間違いないでしょう。

 中日が優勝を決めた翌日の紙面(休刊日で駅売り、コンビニで発売のみ)、日本ハムを退団、ロイヤルズの監督に就任するヒルマン氏がスポーツ専門局ESPNのホームページに長文手記を掲載し「日本がメジャーのマイナーリーグになることは将来的に良いと思わない。(中略)大リーグに匹敵する高いレベルの野球に全力を傾けるべきだ」と自説を示しました。

 別に熱烈な愛国主義者ではないですが、彼の手記には拍手を送りたくなりました。この考えこそ、今の日本球界に求められていることじゃないでしょうか。確かにアジアシリーズを継続していくことも、それなりにアピールになるでしょう。だが、それより根本的な問題があると思います。個人の志望を誰も止めることはできませんが…。

November 14, 2007 03:57 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年11月05日

新生・梨田ハムに期待する

課題は見えた

 今年の日本シリーズは中日が日本ハムを制し、53年ぶりの日本一に輝きました。ファイターズの連覇はならず、来年から米大、カンザスシティー・ロイヤルズの指揮を執るヒルマン監督は有終の美を飾ることはできませんでした。

 日本ハムは来年に向けて再スタートを切ることになりますが、新しく監督を務めるのが近鉄最後の監督・梨田昌孝氏です。ヒルマン監督の辞意を伝えられた9月中旬あたりから、日本ハムのフロント、本社は数人の候補者を挙げ、人選を進めてきましたが、梨田氏の野球理論、01年に近鉄をリーグ優勝に導いた手腕を高く評価したのです。

 筆者が78年、近鉄担当記者になって以来、30年近い付き合いになります。その縁もあって、選手引退後は新聞は本紙評論家(放送はNHK)となり、近鉄消滅後のこの3年間も同じ所属で評論活動を行ってきました。

 それなりの知名度がありますが、余りご存知ない方に彼の長所を挙げれば、何よりも野球が好きだということです。例えば、甲子園でナイトゲームの解説、評論をする時は他の仕事が入ってない限り、午後2時半から3時までにはグラウンド入りしています。

 フリー打撃などの練習を見て岡田監督はじめコーチ、選手に声をかけ、記者顔負けの取材もします。さらに阪神の練習が終わると、相手チームの練習を見て監督らに同じように取材していました。

 もう一つ、当たり前のように試合前のシートノックを必ず記者席から見ていました。「選手の動きを見ておくと参考になるからね」と語り、もうすぐ故障するんではないか、と予測できることもあるそうです。

 もちろん、好きだけで監督として結果を出せるとは限らないですが、日本ハムのチームカラーが、彼の指導方針に合っていると思っています。選手の個性を伸び伸び出させるのが、近鉄時代のやり方でした。あの厳しい闘将・西本幸雄氏に鍛えられたのですが、自分なりのスタイルを編み出したのです。

 ただ、行く手は困難です。パ・リーグで3年連続以上、日本シリーズに出場したのは90~94年の西武以来ありません。そして今年のシリーズで弱点も出ました。まず得点力不足。先発投手陣も質量ともに豊富ではありません。そして捕手陣も力不足です。

 高橋捕手にはきついようですが、楽天・野村監督がTVの解説で指摘したように、ほぼ外角一辺倒、内角攻めはほとんどありませんでした。これだけ打者の技術が向上している現状、配球の妙を使わなければ、抑えることができません。

 このあたりは捕手出身の梨田氏の指導に注目しています。もう一つ強化すべくは攻撃力。セギノールの退団は確定的で、4番を任せられる主砲をフロントと一体になって獲得すべきでしょう。

 いずれにせよ、森本を中心に田中賢、工藤、稲田ら伸びしろある素材がいるわけですから、課題を克服しながら常勝チームを再構築して欲しいものです。

November 5, 2007 03:02 PM | コメント (0) | トラックバック (2)