浅岡真一 独断流

2007年04月26日

一部のやり過ぎが強硬手段を招いたが…

野球特待生の禁止

 日本高校野球連盟(脇村春夫会長)=以下、高野連=が遂に“強硬手段”を講じました。4月20日、全国4200余の加盟校に対して日本学生野球憲章で禁止されている「野球選手であることを理由としたスポーツ特待生制度」の調査を始めると発表しました。

 その内容は24日に調査を開始、5月2日を回答最終期限とし、特待生は5月31日まで対外試合の出場禁止、野球部長は交代、というのが主なものです。

 確かに近頃、そうここ20年ぐらい前から、有望選手の獲得合戦は激化し、他府県出身者ばかりで構成するチームが全国大会に出場することがあります。高野連も憂慮して、90年、05年と2度にわたり「中学生の勧誘の自粛」の通達を出してきたのですが、是正されない現状に業を煮やした-と解釈しています。

 しかし、この特待生という制度が「完全悪」なんでしょうか。中学生とはいえ人格があり、特定の高校から誘われ、本人が行きたいと希望すれば、保護者はなかなか拒否出来ないはずです。それに経済的問題が絡めば好きな野球を続けさせてやりたいと情も移るでしょう。

 もう一つ、私学の場合は私企業です。少子化が進む中で生徒を獲得し、経営を安定させたいと考えるのは当然で、それには高校スポーツで超メジャーな野球で有名にしたいと思っても不思議ではありません。

 ただ、やり方には限度があるのは確かです。少年の野球熱は未だ衰えず、小学生から硬式球を使っているいろんなクラブチームがあります。彼らをスカウトする高校は30年以上前からあります。“促成栽培”ができるからで、そういう土壌があるのも、視野に入れるべきでしょう。

 24日に共同通信社が調査を行い、本社の紙面にも15校の特待生の制度使用が掲載されました。中には部員46人に月額2万円の奨学金を出していることも判明しました。ここまでいくと、やり過ぎかなと感じざるを得ません。

 一方で全国高等学校体育連盟は「私学は奨学金制度を特色としている」(梅村和伸専務理事)として「度が過ぎるのは良くないが、全面否定は避けたい。学業などに対して奨学金が出るわけで、スポーツで高い能力を持つことも立派な個性だと思う」(同専務理事)と許容。私も一理はあると思います。

 高校野球の場合は世間の注目度が高く、西武の裏金問題に端を発し、専大北上が野球部を解散した事態を重くみて、高野連が臨時常任委員会を開き、迅速に今回の調査を決めました。その結果も注目したいですが、最大のポイントは学生野球憲章が今の社会に適合しているかどうかでしょう。

 高野連はこれまでの指導不足を反省しつつ「あくまで教育の一環」の姿勢を貫く方針ですが、その理念は高邁(こうまい)としてももう少し、柔軟な制度を模索すべきだと、私は思っています。場合によっては不幸な高校生活を過ごすことにもなる訳ですから…。

April 26, 2007 01:02 PM | コメント (46) | トラックバック (1)

2007年04月19日

すべてを同次元で語るべきでない

揺れる球界

 プロばかりでなく、アマチュアも含めてカネの問題が世間の話題になっています。事の発端は3月9日、西武・太田球団社長が会見し、アマ2選手に計1000万円以上の不正な金銭供与を行っていた事実を発表したことです。

 その後、2人は会見を行い、事実を認めながら謝罪をしました。一方で、根来コミッショナー代行は西武に報告書の提出を求め、受け取ったのですが、不備があると再調査を指示。西武は外部の“有識者”による調査委員会(池井優委員長=慶大名誉教授)を設置しました。

 その委員会は6回の会合を開いた後、4日に中間報告を発表。これはかなり衝撃的な内容で過去27年間で延べ170人の指導者に、5人のアマ選手に、いわゆる「裏金」を支払っていたというものでした。

 さらに、その供与は「他球団もやっている。だから仕方なくやった」と西武のスカウトが池井委員長に語ったことまで、明るみに出て、アマ側からの要求もあったことまで、暴露しました。

 これに対して、他の11球団は否定しましたが、真相はヤブの中(まあ、ほとんどのファンの想像は見当がつきますが……)。やっていないという証明は出来ないのですからね。

 さらに、1週間後の11日、横浜が04年、自由獲得枠で入団した那須野巧投手(日大)に対し、5回にわたり5億3000万円の契約金を支払っていたことを発表しました。そういえば、西武も衝撃発表の際に15人に対し11億9000万円の“上乗せ契約金”を支払ったことを明らかにしていました。

 新人の契約金については93年に逆指名制度が始まったことで「最高標準額」を1億円とする申し合わせをし、翌年から1、2位の指定枠選手には5000万円の第2次契約金が認められ年俸も1軍最低保証額の1500万円(那須野は3000万円)に設定された。

 この申し合わせはルールではない点が最大の問題です。違反が発覚しても罰則はありません。私は法律に弱いので詳しくはわかりませんが、限定してしまうと独占禁止法に抵触するとのことで、なかなかの難問だと思います。

 球界のウミ、不正が一挙に噴出した昨今ですが、私が記したかったのは、すべてが同質の問題ではないということです。まず、裏金はプロとアマ側が一体となって浄化していかなければならないことです。過去の検証は必須ですが、それは犯人探しのためでなく、それを反省材料にして何らかの体制作りを急ぐべきでしょう。

 そして契約金の上限ですが、これはプロ側の課題でしょう。ドラフト制度の整備と深く関わる事項ですが労組・日本プロ野球選手会(ヤクルト・宮本慎也委員長)ともしっかり協議して理想に近い形態にすべきだと思います。

 一連の不祥事でファン離れがあるとは思わないし、思いたくもないですが、野球って素晴らしいんだ-と再認識してもらえる改革を望んでいます。

April 19, 2007 12:52 PM | コメント (6) | トラックバック (3)

2007年04月12日

巨人はV候補の一角

開幕序盤の印象

 待ちに待ったプロ野球がシーズンイン、2週間以上が経ちました。パ・リーグは5日前に開幕、昨年度の日本一、日本ハムが苦しいスタートを切ってしまいました。同リーグの争いは別の機会にさせてもらうとして、セの出だし、まだ早過ぎるのじゃないか、とのそしりを覚悟で書かせてもらいます。

 まず感じたのは、巨人がそれなりの戦いを展開しているということです。別な表現をすると、今後も上位争いをしそうなゲームを展開しているということになります。

 プロ野球ファンなら、分かりきったことでしょうが高橋由をトップバッターに抜擢し、新加入の谷を2番に、小笠原、李を3、4番に固定したことです。当初は新外国人ゴンザレスが5番に入っていましたが、右手甲を痛め、7日に登録抹消、二岡が代役以上の活躍をしました。

 中でも小笠原の加入が大きかったと見ています。昨季のパの2冠王が仲間入りすることによって、長打力がある高橋由を1番に持っていくことができ、一方でジグザグ打線を組めることにもなったのです。それにプラスして、小笠原の攻守走の全力プレー。これも、他の選手の刺激になっているはずです。

 昨年、巨人は強烈な開幕ダッシュをしてダントツの首位を走っていました。でも、5月以降は失速、最終的に4位に甘んじました。その要因はいろいろありますが、私は無理し過ぎてヘトヘトで白星を取りに行ったツケが出たと思っています。

 第2次政権の原監督も2年目、その反省はかなりしたでしょう。投手の無理使いはせず、高橋尚、内海の成長があり、上原、パウエルが復帰するまでは、結構、我慢するでしょう。この2人が戻ってくれば、さらに上積みがあるはずです。

 戦前、多くの評論家と同じ様に、本命・中日、対抗・阪神とみていましたが、巨人もここに加わってくる可能性が高まりました。プレーオフ制があり、ヤクルト、横浜、広島も3位内のチャンスは大いにありますが、総合戦力となると上記3球団が上回っていると見ています。

 対抗と見ていた阪神は、やはり福原、安藤、杉山の完投能力がある投手の出遅れ、それと得点能力の見込み違いが現状は響いています。それでも10日の中日戦、0-2のビハインドから天敵・山本昌を打ち砕いたあたりは底力を思い知らされました。甲子園の初戦、目に見えぬ魔力があるのでしょう。

 さて、好スタートを切った中日。投攻守のバランスは随一。落合監督のことですから、長いシーズンだけではなく、プレーオフ態勢までにらんでいるはずです。何より連敗してもあたふたしないのは、指揮官の資質があると考えます。

 まだ始まったばかり、結果は予測できないのは当然ですが、現状の分析をさせてもらいました。

April 12, 2007 01:49 PM | コメント (7) | トラックバック (2)

2007年04月05日

ペナントレースは続けるべき

五輪期間中の中断

 2日にプロ野球実行委員会が開かれました。3月29日に、今年から希望枠を撤廃すると根来泰周コミッショナー代行(74)が発表した今秋のドラフト改革案、「仲裁案」と表現してもいいと思いますが、希望入団枠撤廃を主とする内容で、12球団が全会一致で議決しました。その他の骨子は前回に書いたので、それを読んでいただくとして、まあ、シナリオ通りの決着でしょう。

 この制度改革だけではなく、同委員会ではいろんな審議、決議がされました。そんな中、私が最も注目したのは、08年の北京五輪の野球競技開催中に、ペナントレースを中断するかどうかという議論でした。

 競技そのものは8月13日から23日までですが、星野代表監督は同1日から、合宿をするプランを持っており、最大24日間の空白ができることになるわけです。

 パ・リーグ側、これには大いに難色を示しました。同委員会の議長も務めるパ小池会長は夏休み期間中でもあることから「子供たちが楽しみにしている期間だけに続行する方向」と語っていました。一部スポーツ紙では、セ側は中断で結束していると書いてありましたが、そんなことはありません。

 本紙の紙面で中日・伊藤代表が「営業のこともあるし、あの時期に24日も試合を休むのは厳しい。中断されなかったとしても、うちは落合監督が(代表選手以外の)代わりのメンバーで戦うと言ってますから」とコメントしており、決してリーグの足並みは揃っていません。

 この問題については今年の1月30日に「ドリームチームで沸いているが……」と題して触れたことがあります。あの時点では、中断のムードがかなりあったので、あえて中断すべきでない--と提起したのですがここにきて、やや情勢は変わってきたようです。

 私としては大歓迎です。かなりダブることになりますが、プロ野球ファンの楽しみを奪う空白だと思います。代表に選ばれなかった選手を応援している方は日本中にたくさんおられると思います。チームそのものを贔屓(ひいき)にしている人も。

 その他にも野球のゲームそのものを楽しんでいる方も。仕事を終えて、晩酌をしながら素晴らしいプレー、豪快なホームランを見るのも憩いのひと時となり得るでしょう。

 五輪の野球競技予選を勝ち抜いても本番は決勝まで進んだとしても5試合。もちろん、日本国内は沸くでしょうが、その5試合のためだけで24日間も中断するのはいかがなものでしょうか。それと、継続派の各トップにお願いしたいのは、営業面のマイナスを強調して欲しくありません。本音でしょうが、あくまで野球ファンのための……錦の御旗を全面に出すべきでしょう。

 五輪に最大協力する姿勢は変わってません。ただ、それとペナントレース中断は次元が違うと思います。5月7日の実行委員会で最終決定される予定ですが、果たしてどんな結論が出るのでしょうか。
 

April 5, 2007 11:52 AM | コメント (1) | トラックバック (4)