浅岡真一 独断流

2007年03月29日

やはり“逆転”は起きた

希望枠撤廃

 27日に“逆転”はあり得ると記しましたが、私の予測より早く、プロ球界は方針変更をしました。28日、今年から希望枠を撤廃すると根来泰周コミッショナー代行(74)が記者会見をして、発表しました。いわば「仲裁案」といえる内容で取りあえずは、一つの進展といっていいでしょう。
 ただ、全面的な改正ではなくあくまで今秋のみの特例措置ということで、その点については後述するとして、この「仲裁案」の骨子を整理してみます。

 まず、大学・社会人ドラフト、1巡目は重複した場合、抽選で指名権を得る。高校生の場合も同様。1巡目は全球団が確定するまで行う。2巡目以降は現行方式に沿った形を基本とする。第2として07年のドラフトで入団した選手のFA期間は従来通り9年間とする。

 他にも08年の方式については新たな委員会で開幕までに検討する、FA期間の再検討、新人選手の海外流出しない措置を講じていくなどがありますが、根来コミッショナー代行としてはセ・リーグ開幕前に、一定程度のケリをつけたかったのでしょう。

 自慢するつもりはありませんが、私が“逆転”を予測したのは、世論や高野連を中心にアマ側の反発に抗し難いと見ていたからです。アマ側だけでなく、労組日本プロ野球選手会側も強硬で、宮本慎也会長(ヤクルト)は私案としてクライマックスシリーズ参加拒否も言明していました。

 そんな中、パ・リーグでは、希望枠を使わない動きも出てきました。中日もそれに同調する意向を示したのです。この間、同コミッショナー代行は水面下で各球団と連絡を取り合いながら最後はセ・清武(巨人代表)、パ・瀬戸山(ロッテ社長)の各理事長が12球団の意見を集約、合意を得て発表に至ったのです。

 それにしても、21日の各球団の代表が集う会議(西武は欠席)は何だったのでしょうか。7時間以上も議論して会議をして、巨人主導ではっきりした結論は出ず。情けないとしか言いようがありませんでした。

 まあ、そんな批判をしても、もう終わったこと。問題はこれからです。今回はあくまで暫定措置ですから08年以降に関しては、はっきりとした制度は決まっていません。むしろ、課題を残しました。

 何よりもFA制の期間です。巨人は5年間に短縮するという方針は変えることはないでしょう。パではソフトバンク以外は現行通りの姿勢。広島も同様です。このあたりの調整は、かなり難航するでしょう。選手会の考えも無視できないだけに、なおさら議論は噴出するでしょう。
 私は、正直に記せば何年が適正か、明確に提示できません。ただ、9年から一気に4年も短縮するのは拙速だと思っています。するとしても、やはり段階的に移行していくべきじゃないかと思います。

 なお、海外流出ですが、アマ側が規則を作るのに異論はないですが、米国の野球システムからして、プロで実績のない新人を獲得するのは皆無に近いと考えています。

March 29, 2007 02:55 PM | コメント (4) | トラックバック (2)

2007年03月27日

しかし“逆転”はありうる

希望枠先送り

 そんなアホな……今回はがく然としました。西武の裏金供与に端を発して球界内外から巻き起こったドラフト制度の改革。直後の3月13日に開かれた12球団代表者会議では「白紙に戻すことで合意」(選手関係委員会・野崎委員長)と発表されました。私も「ほぼ撤廃は確実になりました」と前回書いたのですが、21日の西武を除く同会議で実施は来年以降と確認されたことです。

 今年からの完全賛成派が8球団、ソフトバンクは止む無し、巨人、広島は「撤廃でもいい」としながら、広島はFA期間短縮に反対、巨人はFA短縮と相違点が出ました。そんな議論が交わされる中、根来コミッショナー代行が「制度は十分に検討すべき。勢いに流されてはいけない」と少数派に同調し結局、前記の確認しか発表できなかったのです。

 一部のマスコミの論調では、巨人と根来氏の“癒着”と指摘されていました。その感は確かにあるでしょう。それとともに、各球団の思惑が入り乱れて、完全賛成派が結束できなかったことが情けないと思います。その最大の要因はFA期間の短縮に抵抗があるからです。こういう球団が存在することも情けない限りです。

 根来氏が暗に示した主張は、この点が含まれています。ただ、ドラフト改革とFA制が絡んでいるとはいえ、取りあえず改革を優先して、その後FA制を見直すことは可能なはずだし、それぐらいの知恵と時間はあるはずでしょう。

 とはいえ、ここからが本論に入りますが、今年から希望枠を撤廃する可能性は、かなりあると思っています。高野連を中心にアマ側の反発は予想通りにすさまじく、今秋のドラフトをボイコットする姿勢を示しています。また、労組日本プロ野球選手会側も強硬で、宮本慎也会長(ヤクルト)は私案としてクライマックスシリーズ参加拒否も言明しました。

 また、パ・リーグでは、希望枠を使わない動きも出てきました。そして何よりも大きいのはプロ野球ファンの失望と怒りです。そりゃあ中には現行を支持される方もおられるでしょうがそれは多数ではないと思っています。

 各球団の代表が集う会議だったのですから、大きな反響が起きることぐらいは予測していたでしょう。7時間以上も会議をして、まだ何らかの発表をできないのは恥ずかしいというムードが生まれたと想像しています。

 それを物語るように「今秋は実施しない」という正式コメントは出てきませんでした。今年についてはグレーゾーンに包んだのです。この灰色は、いろんな解釈ができますが、先送りという形で球界では異例の祝日(秋分の日)の会議を終えたのです。

 いずれ報いは球界に戻ってくる。根来氏も、各球団も熟知しているはず。だから、このドラフト制改革は終焉(しゅうえん)していないと、かなりの確信度を持っています。

 (次回は4月3日に更新予定)

March 27, 2007 10:37 AM | コメント (2) | トラックバック (1)

2007年03月20日

罰則を明文化しドラフト改革へ

西武の裏金問題

 決して、寝耳に水とは思いませんでした。やっぱりなあ……という実感が沸いてきただけです。長年の悪習が、そんなに簡単に改められるわけがないと、考えていたからです。

 大きくマスメディアに取り上げられていますから、西武の裏金供与については、ほとんどご存知でしょう。社会人、大学に在籍している2選手に“栄養費”と称して金銭を渡していた不正です。いずれも高校時代からということですから、とんでもないことです。

 04年秋、明大・一場投手(現楽天)への金銭授与で3人のオーナーが辞任する大事件が発覚しました。前代未聞の事態に球界は危機を感じ、翌年6月20日のプロ野球実行委員会で、あらゆる利益供与も行わないことを骨子とする「倫理行動宣言」を採択しました。

 この宣言、4つの項目があり、その4番目には「これらの申し合わせに反した場合には、コミッショナーの定めるいかなる制裁にも服する」と記されていますが、バレなきゃいいという球団、スカウト陣に染み付いた意識は、そう簡単に変わることはないと私は思っていました。

 某球団の主力になっている選手にはかつて数十億の裏金が動いたというのは、球界側では半ば“常識”となっています。他にも「タマ(金)がないからなあ」と大物新人を獲得できない嘆きをスカウト、球団関係者から聞いたことは何度かあります。

 ところで、なぜ西武は自球団の不祥事を発表したのでしょうか。いろいろ調べてみたところ、ある一般紙に裏金問題が掲載されることを知り、それじゃあ自ら……ということになったようです。

 ただ、対処方を練っていなかったので、太田球団社長の記者会見はしどろもどろ。「昨年8月に知った」と発言、先手を打ったつもりがかえって悪印象を与えてしまいました。さらに3日後、根来コミッショナー代行に提出した調査報告書も不備あり、として突き返されました。

 その後、早大選手への口止め依頼が発覚するなど、まさに「姑息」(一時しのぎ)という失態ですが、この発覚でドラフト制度を見直そうという機運が生まれたのは、思わぬプラス効果だったのではないでしょうか。

 13日に開かれた12球団代表者会議で、現状維持の方向が急きょ転換。一応「白紙に戻すことで合意」(選手関係委員会・野崎委員長)と発表されましたが、大学・社会人の希望枠撤廃が大勢を占め、アマ側、選手会が強く望んでいたことも追い風となりほぼ撤廃は確実になりました。

 さて、どんな方式になるのか。FA制度の期間短縮も絡んで複数のプランがあるでしょう。私は完全ウエーバーがベストだと考えています。阪神・星野SDは「努力に乏しい球団が毎年いい選手を取ることに(他の球団)は不満があるのじゃないか」として、かつての抽選方式を推奨しましたが、これはベター。やはり完全ウエーバーを支持したいですね。

March 20, 2007 05:08 PM | コメント (7) | トラックバック (2)

2007年03月13日

育成選手に一つの門戸は開いたが…

まだ改革は出来る

 中日・中村紀洋内野手(33)がいきなりその実力を披露しました。7日の西武戦では豪快なホームランを放ち、翌日の同戦でも2本のヒット、3打席目では左ヒジに死球を受け、周囲をヒヤリとさせましたが骨には異常なく、大事には至らず、11日には楽天の大物ルーキー、田中からホームランを奪いました。

 このコラムでは2度、彼のことについて書いていましたが、今回は別の視点から、育成選手のことを取り上げてみたいと思っています。

 中村紀がオープン戦出場を許可されたのは、6日の実行委員会でのことでした。これまで、12球団の申し合わせ事項で、育成選手はオープン戦に出場できないことになっていたのですが、巨人・清武代表からの提案があり、各球団の代表から異論も出ず、出場OKとなったのです。

 そもそも育成選手制は歴史が浅く、一昨年11月の実行委で採用が決まったのです。現在の野球協約では1球団の支配下選手(年度連盟試合に出場資格のある選手)は70人以下と定められています。しかし、それらの選手以外にも、可能性がある人材はいるのではないか、という声が球界で出始めたのです。

 その年は12月にドラフト会議が開かれ、昨年は大学・社会人ドラフトの終了直後に開かれ、6球団が参加、5球団(中日が指名を回避)で12人が採用されたのです。

 より多くの“掘り出しもの”をと間口を広げ、野球協約に明記されたことは一つの球界の前進とも言えます。ただ、本人のトータルの人生にプラスかどうか、私にも判断はつきかねています。

 というのも、彼らには最低給与保証240万円など待遇面でのハンディがありさらに野球をする上でも2軍の試合に出場できるのも1球団5人以内という制約があります。それでも、這い上がってやると意地と情熱と素材を持っていればいいのですが…。

 今回の中村紀のオープン戦出場可は彼ら若者に少しは励みになったでしょう。ただ、2つの疑問が残ります。なぜこの時機に決定するのか。昨秋のドラフト前にしていれば、先の12人ももっと胸を弾ませたはずです。

 昨年は技術未熟な選手が1軍級の試合に出ると故障する懸念がある--との理由で申し合わせました。どこの首脳陣が、そんな未熟な選手を大事なシーズン前の序章のゲームに出場させるのでしょうか。きつい表現ですが陳腐です。

 そして、2軍の出場枠。これは現行通りとされたのですが、2軍の首脳陣だって未成熟な選手を使うはずがありません。だから、規定など必要ないのです。

 一歩前進ではあっても、まるで中村紀のためだけに設けた規定変更とファンに受け取られても仕方ありません。真剣にスソ野を広げる制度だと考えるなら、各球団のフロントトップ、もう一度、見直すべきではないでしょうか。

March 13, 2007 01:03 PM | コメント (6) | トラックバック (2)

2007年03月06日

少し過保護なのでは…

阪神・小嶋の先発

 阪神・中西投手コーチの発言にはかなり驚かされました。ルーキー小嶋達也投手(21、大阪ガス=180センチ、72キロ、左投げ左打ち)について2日、オープン戦では巨人、中日戦に登板させない、と明言したのです。

 優勝争いのライバルと目している2チームに手の内を見せたくないという意図からですが、そんなに神経質にならなくていいのに、イケイケ派の同コーチらしくないな、と感じたわけです。

 小嶋投手は即戦力として希望枠で獲得したのですがスカウト陣の眼力通りに、キャンプでの首脳陣の評価はうなぎ上り。もともと遊学館2年時に夏の甲子園大会でベスト8に進出して各球団のスカウトの目に止まり、社会人3年間で成長し昨秋のドラフト会議では目玉の一人でした。

 投球フォームもクセがなく、クイック投法もできます。伸びのある速球、キレのあるスライダーが主体ですが、チェンジアップも習得中で、故障さえなければ先発ローテーションに入れる構想を岡田監督も明かしています。

 キャンプでの実戦登板では被安打0。3日のオリックスとのオープン戦でベールを脱ぎ、初回こそピンチを招いたが冷静にしのぎ、2回から3イニング連続3者凡退。いいフィールディングも見せ、また株を上げました。

 確かに、いくらデータがあっても、実際に打席に立たないとその投手の攻略法は見つからないとほとんどの打者は言います。中西コーチは、そのあたりを考慮しているのでしょうが、逆のケースもあります。シーズン前に対戦して感覚をつかむことも必要ではないでしょうか。

 今年の3月のオープン戦は18試合。そのうち巨人と4試合、中日とは1試合。かなりの変則日程です。さらに甲子園でのゲームは10、11日の巨人戦のみ。確か岡田監督は本拠地のマウンドを経験させたいようなニュアンスを匂わせていたように記憶しているのですが方針が変わったのでしょうか。

 練習でマウンドの感触をつかめばいい、と言ってしまえばそれまでで、やはり実戦、しかも“伝統の一戦”となれば、球場のムードも違うでしょうし、むしろ本番前のいい経験になると思います。

 たとえ打たれてもいいじゃないですか。ここまで順調過ぎるほどの仕上がりを見せているのですから、一度や二度、痛い目にあって反省点、課題を探すというのも、シーズンに入って血となり、肉となるとさえ考えています。

 小さなこだわりですが、小嶋投手は現状、ローテーション入り出来る投手だと見ているので、いらぬ気遣いは無用だと思います。それより、登板試合が限定される方を懸念します。ルーキーだからこそ、できるだけ多くの打者と対戦させることに収穫があるのではないでしょうか。

 まあ、急きょ変更して登板、という可能性は残していますが…。

March 6, 2007 11:46 AM | コメント (12) | トラックバック (2)