浅岡真一 独断流

2007年02月27日

かつての大阪の顔が帰ってくる

中村紀とローズ

 2月25日、中日がテストを受けていた中村紀洋(33)を育成選手枠として採用することを発表しました。2軍のゲームにしか出場できない契約ですが、取りあえずは、ユニホームを着ることが出来るようになって本人も心の底から喜んでいる様子が新聞紙上、テレビで取り上げられていましたね。

 ご愛読いただいている方は記憶されていると思いますが、3週前に「もはや浪人の道しかないのか」と題して中村選手の去就を取り上げさせてもらいました(バックナンバーがあるので良ければ御覧ください)。思いのほか、多くのコメントを寄せていただき、筆者としては有り難い限りでした。

 その中には、彼の一匹狼的な姿勢に批判的な声もありました。まあプロ野球ファンの方がいろんな見方をされるのは球界活性化のためいいことだと考えているのでほとんど掲載させていただきました。

 当時の状況では球界復帰は難しかったのですが「捨てる神あれば拾う神あり」とは良く言ったもので、紆余(うよ)曲折はあったもの、落合監督が救いの手を差し伸べました。寄せられたコメントの中にオリックスがあっせんしたのか、という私への質問がありました。

 いつかお答えしようと思っていたのですが、確かにそれも多少ありました。ある球界関係者がお願いしたのです。誰か? 申し訳ありませんが、それはいろんな事情があり書くことが出来ません。中村が明かせば別ですが…。

 さて彼は育成選手だけに止まるか。彼の本来の実力からすれば、1軍入りの可能性は大。最終テストを偵察にきたヤクルト・佐藤スコアラーが「普通に開幕スタメンに使えるでしょう」と語っていたように「初心に帰って野球に取り組みたい」という姿勢がある限り戦力になるでしょう。

 もう1人、01年の近鉄リーグ優勝に中村とともに大貢献した凄い助っ人、タフィ・ローズ。こちらはオリックスの入団テストを受けています。まだ合格通知をもらっていませんがコリンズ新監督の腹づもりは決まっているようで、コラム掲載中に、採用が発表されるでしょう。

 ただ1年間、野球をしていなかったブランク、今年39歳を迎える年齢、外野守備がまともにできるか、不安材料はいくつかあると思っています。コリンズ監督もそのあたりは見越しているでしょうが、清原の左ひざが予想していたより悪く開幕には間に合いそうにはありません。

 新外国人監督は機動力野球を推し進めていこうという意向のようですが、やはり長打力もチームの武器として必要です。その点でローズの力が衰えていなければ戦力になるでしょう。

 近鉄が消滅して、はや2年。熱狂的な猛牛ファンは野球離れしていったと聞いたこともあります。その方たちにとって、かつての2枚看板が戻ってくれば、少しは楽しみを思い出してくれるのではないか、という期待もしています。

February 27, 2007 11:59 AM | コメント (9) | トラックバック (3)

2007年02月20日

ようやくピラミッド型のチームに

常勝阪神の可能性

 16日から高知・安芸に来ました。阪神の2軍キャンプを見て、20日には1、2軍合同キャンプ、オープン戦と球春はいよいよ、佳境に入っていきます。セ・リーグの開幕まで1カ月余、時の経つのは早いものだと感じています。

 ところで、2軍のキャンプを見るのは久しぶりでしたが、活気があり、有望な若手が多くいるのを目の当たりにしました。大学・社会人1巡目のルーキー小嶋達也投手(21=大阪ガス)が17日、沖縄での日本ハムとの練習試合で2回、3三振の完封で鮮やかデビューをしましたが、こちら安芸でも同3巡目の上園啓史投手(22=武蔵大)、4巡目・清水誉捕手(22=関学大)ら有望なルーキーがいました。

 一方で中村豊、秀太、上坂、野口ら中堅、ベテラン陣ら、さらに中日を自由契約になった高橋光らも交じって、若手を引っ張るべく汗を流していました。宜野座組には入れなかったものの、彼らだって1軍入りのチャンスは大いにあり、手抜きなどするはずはありません。

 19日、1次キャンプを終え、平田新2軍監督は次のように総括していました。

 「初めてファームを任され、各選手の意気込み、前向きな姿勢を感じた。新しい発見とでも言ったらいいのか、彼らが成長していくのに全力を尽くそうとさらに強く思ったし、彼らのモチベーションを持続させていくのに、真剣に取り組んでいきたい」。

 沖縄でも赤松が赤星を脅かす成長を見せ、浜中、林、桧山の右翼定位置争いもシ烈。福原、安藤の出遅れは不安材料ですが、ファーム組のハツラツとした動きを見て、ここ1、2年の阪神の層の厚さを感じました。

 あれは84年のオフでした。安藤監督が突然辞任。後任探しに躍起になったことがありました。新オーナーになった直後の電鉄本社社長・久万俊二郎氏は阪急、近鉄を強豪チームに作り上げた西本幸雄氏にまず白羽の矢を立て、自ら要請に出向きました。

 結局、体調に自信がないということで固辞されましたが、西本氏は“土台作り”の重要性をアドバイスしました。「現状の阪神は1軍にいい選手はいるが、その後継者が育っていない。いわば逆三角形の形で、ピラミッド型のチームにしていかなければならない」というような趣旨を説き、久万オーナーも大いに納得しました。

 翌85年、吉田義男氏が2度目の監督に返り咲き、球団史上初の日本一に輝きました。だが、栄華は長く続かず、真弓、バース、掛布、岡田らが衰えていくうちにチームも低迷していきました。ピラミッド型が未完成だったのが最大の要因だったと思っています。

 今、阪神はそのピラミッド型の萌芽が出始めています。もちろん新人獲得を中心にした編成部門の強力な後押しが必要ですが、金本、下柳、矢野は今年39歳。次代の主力作りは急がれます。その意味でも平田監督はじめ2軍首脳陣の育成能力、情熱に期待したいのです。

February 20, 2007 02:48 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年02月13日

野村監督に“反抗”も、素材は一級品

話題沸騰のマーくん

 沖縄・久米島が沸いているようです。楽天イーグルスのキャンプ、注目のルーキー、マーくんこと田中将大投手(18)のホットな情報がほぼ連日、スポーツ紙には載り、テレビなど他のマスコミもスポーツニュースなどでかなり取り上げています。

 9日には、初めてフリー打撃に登板、58球を投げ、その球威に思わず野村監督のホオを緩ませたようです。「スライダーは一級品。試合に使ってみたくなった。即、間に合うんじゃないか」と語りました。間に合うとは、開幕1軍入りを示唆しており、ローテーション入りの可能性もあるということです。

 本人はいたって冷静で「初めてにしてはまあまあ。60点か70点ぐらい」と控えめだったとか。まあ、あれだけ甲子園大会で快投を演じた大物、これだけの評価を受けて当然かもしれません。今後、ケガをしないでどれだけ仕上げてくるか、楽しみですが、むしろ、私は前日の練習中の野村監督とのやりとりに、興味を覚えました。

 7日の休日、田中投手がミニゴルフを楽しんだことを伝え聞いた監督はブルペンでの投球を終えた後、彼を呼びつけ「叱ってやった。なんのための休日か。休む時は休め!」と説教しました。

 これで、シュン太郎となると思いきや、彼はさにあらず。「1日中、部屋にいる方が疲れます」と報道陣に反論? し、監督に勧められた温浴施設には休みの前夜に行くことを明言したものの「(休日は)たぶんゴルフもやります。積極的休養日です」と。肝が座っているというより、むしろ自分の考え方をしっかり持っているなと感じました。

 そもそも、キャンプの休日とは何のために設けられているのでしょう。第一は猛練習で鍛えた疲れを癒す日であり、もう一つ、集中力を活性化させる意味合いがあると思っています。

 かつては、そう数十年前は、ぶらぶらと1日を過ごすのが普通とされてきましたが、最近は軽く体を動かした方がいいというのが、ほとんどの球団首脳陣の考えです。ゴルフOKの球団も結構あり、休みがもったいないと自主練習をする選手もいます。私も「積極的休養日」には賛成です。

 ただ、野村監督の説教も理解はできるのです。宿舎施設内のミニゴルフ場、大目に見てもいいかもしれませんが、将来性豊かな18歳、今は野球だけに集中しろと言いたかったのでしょう。ミニだけに飽き足らず本格的に凝りだしたら……という危惧もあったかもしれません。

 テスト生から這い上がって、正捕手の座を獲得。三冠王にも輝き、監督になっても優勝を経験している指揮官にすれば、自らの血のにじむような努力、あたら素質がありながら、遊びに走って球界を去っていった選手らを思い起こしあえて「鉄は熱いうちに打て」と判断したのでしょう。

 それにしても、20分近い叱責の翌日には大賛辞。これがノムラ流の“アメとムチ”ということなんでしょうね。

February 13, 2007 12:25 PM | コメント (3) | トラックバック (12)

2007年02月06日

やはり浪人の道しかないのか…

中村紀の去就

 球春の序章であるプロ野球のキャンプがスタートしました。沖縄、宮崎、オーストラリアから連日、ホットな情報が各マスコミから届けられ、ファンも注目されていることでしょう。今年は例年にも増して話題が豊富。例えばソフトバンク王監督が7カ月ぶりにユニホームを着て、グラウンドに姿を現し、楽天のルーキー田中将大投手の素材の素晴らしさが賑わせています。

 1、2軍に分かれてとはいえ、集団で練習することは互いのライバル心をかきたて、それが技術の向上にもつながっていくものです。守りの連携プレーも含め今年を戦う態勢が整っていくものです。そんな中で、集団から離れ、たった一人で練習をしている選手が中村紀です。

 今や元オリックスという肩書きになってしまったかつての近鉄の主砲。今オフの契約交渉の経過をたどってみると12月初旬の下交渉で1億2000万円ダウンの8000万円を受けて、間もなく第1回の交渉を開始。中村紀は左手首の故障を公傷として認めてもらうように主張。しかし、球団は首を縦に振らなかった。

 この「公傷」とは12球団で統一した制度は確立されておらず、現実には各球団の任意の判断に任されています。フロントがイエス、ノーの権限を握っているわけで、どこに基準を置いて公傷とするかどうか、ある程度のラインを引くシステムも必要でないか、とも思います。

 そして新春の第4回で、球団はトレードの可能性を伝え、6回目の交渉(1月12日)で退団が決定。球団はなおトレードを進めることを伝えたのですが、もはやこの時点で各球団は今季の陣容を決めており、実現性はほとんどなし。球団の本人、マスコミ、ファンへのポーズとしてしか、受け取れませんでした。

 この翌日から、中村紀の“浪人生活”が始まったのですが、野球に対する情熱だけは全く消えていなかったようです。自主トレをしながら、フリー打撃を開始し、ひたむきに“待つ身”に徹して、ここまできています。

 2月に入っては、堺市内のノンプロのグラウンドを借りてガンガン打ち込みを行っているそうです。3日には198スイングでオーバーフェンスが56本。いくら大学生の元野球部員がフリー打撃投手を務めたとはいえ、まだ33歳、そのパワーに衰えがないことを証明しています。

 ずっと取材している我が社の記者によれば、昨年9月に手術した左手首は完治しており「痛みは感じない。手袋せずに打っても大丈夫」と語っているとか。さらに彼の守備力。ゴールデングラブ賞5回の実績はそう衰えないはずです。
 ただ現状、獲得に乗り出すチームがないのは確か。もったいないなあ……というのが実感です。あとは萎えずに浪人生活を続けれるかどうかです。チャンスが来る保証はありませんが……。

February 6, 2007 11:55 AM | コメント (33) | トラックバック (3)