2006年12月15日
ほぼ正確なのですが…
年俸契約の「推定」
慌ただしい時節に入ってきた折、球界の話題の一つとして契約更改交渉があります。今年度の成績、チームの貢献度を対象にして来年度の給料を選手と球団が話し合って決めるシステム(最近は代理人を立てるケースも出ていますが)は、もう長く行われています。
すんなりサインする選手もいれば、評価が低いと保留する人もおり、まさに悲喜こもごも。ファンの方も「このぐらいもらって当然」「安すぎるんじゃない、もう少し出してやっても……」という思いを抱かれることもあるでしょう。
さて、そんな今年の契約交渉でビッグな? 更改をした選手が出ました。ヤクルトの監督も兼任する古田敦也捕手(41)です。11日、何と1億8000万円(推定)ダウンの6000万円(最大6000万円の出来高払いも含む)で判を押したのです。
監督としては2年契約で1億円の保障がありますが総額としては半分以下。もちろん日本球界では史上最大の減額です。一応、野球協約では「選手のその年度の参稼報酬の金額が1億円を超えている場合、40パーセントまでとする」と減額制限が明記されていますが、その選手が同意すればこの限りではない、とも記されています。古田の場合は納得ずくだったわけです。
ところで、選手の年俸について新聞では「推定」と必ず付記しています。読者の方も不思議に思われているでしょうが、それは選手が正確な数字を滅多に明らかにしないからです。先の古田の場合も「75%減です」と記者会見で語っていました。そこで、ベースとなる昨季の年俸から類推してほぼ各社が“統一金額”を出すのが慣例となっています。ただし、正確性はかなり高いものですし、念押し取材もしています。
その推定金額に関しては苦いというか、今では懐かしい思い出があります。あれは78年のオフ。通算317勝(歴代4位)を挙げた近鉄・鈴木啓示投手の交渉でした。この年、25勝で最多勝、2・02で最優秀防御率のタイトルを手にした同投手は大幅アップを狙っていました。
交渉は1時間ぐらいでしたか。番記者が待っていた6畳ほどのプレスルームで会見が行われ「サインはした」と語りましたが、金額はすぐには明らかにしません。その時、机の上に置いてあった夕刊の1面に「4000」という見出しがあったので「これぐらい行きましたか?」と尋ねると、同投手は、わずかに間を置き首を縦に振ったのです。
すわ、史上初の4000万投手誕生! 確か1面記事になったと記憶してます。ところが翌年、4000万に達していなかったことを同投手が漏らしたのです。何百万という差はなく、わずかに達していなかったことは取材で分かりましたが、結果的に誤報。狼狽すらして、翌年の更改時に修正の原稿を書きました。
鈴木氏の人間性からしてウソをつく気はなかったはずです。元々、サービス精神旺盛、番記者とも友好的だから、話題を提供しようとしてくれたのです。以後、できるだけ多角的に取材して、正確な報道をしようとあらためて反省しました。
まあ、古田の場合にはかなり正確でしょうが、来季「代打オレ」でなく「スタメン・オレ」が多くなることも期待しましょう。監督として自らを戦力として期待しているのですから。
December 15, 2006 12:53 PM
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