浅岡真一 独断流

2006年11月24日

もはや“米大”リーグではなくなった

多国籍軍へ

 また1つ“アメリカンドリーム”が実現しました。今季、ナショナルズに在籍していたアルフォンソ・ソリアーノ外野手(30)がシカゴ・カブスと8年総額1億3600万ドル(約156億円)で契約合意したことがつい最近、明らかになりました。

 ソリアーノといえば、かつて2年間、広島カープの一員でした。もともと広島が運営するドミニカ共和国の野球スクール「カープアカデミー」でプレーしていて、その才能を認められ96年に赤ヘル軍団の一員になりました。

 しかし、当時の広島は野村、正田、江藤、金本、前田、緒方らレギュラーが盤石で、ソリアーノ自身も成長が見られず、2年目にわずか9試合、1軍で出場しただけでした(17打数2安打)。そのオフ、契約交渉で高額な要求をしたため、球団は受け入れず、結局、任意引退選手として日本を去ることになりました。

 しかし、人間の運命なんて分からないものです。ヤンキースがその後、ドミニカでプレーしていた同選手の素質に目を付け、広島からトレードという形で譲り受けました。当初は2Aからスタート、メジャーにも一時、昇格しました。

 ブレークしたのは3年目の01年。名門の二塁手のレギュラーの座を獲得。04年にレンジャーズに移り、06年はナショナルズ。ここで46本塁打、41盗塁、史上4人目の40発、40盗塁を達成し、この実績が認められ今回のメジャー歴代5位の大型契約を結んだのです。

 この記事が載った21日付の本紙では大型契約選手の上位選手の表も掲載されました。そのベスト10の出身地を調べると米国は7、ドミニカ2、プエルトリコ1人でした。さすがに、本土出身が多いのですが、中米が3割を占めるのは、メジャーリーグがかなり様替わりしてきたと感じました。

 もちろん中米だけではありません。今季、ヤンキースの最多勝・王建民(19勝)は台湾出身で、今やエース的存在。韓国からも参戦しています。そして何といっても日本人選手。松坂投手(26)にレッドソックスが提示したポスティング入札額60億円は、日本はもちろん米国の野球ファンも驚いた、と外電が伝えてきました。

 それだけ、松坂の素材、若さに魅力があったということなんでしょうが、彼以外にも阪神井川、ヤクルト岩村がポスティング制度を使って、メジャーへ行くことが内定しています。他にも日本ハム岡島がFA権でアメリカ参戦を明かしています。

 野茂がメジャーに行き、イチローが成功してから、日本人選手の本場? 志向が高まる一方です。米国側から見れば、日本プロ球界は非常に魅力的なマーケットと言えます。もはや、多国籍軍であることにわだかまりはないようです。

 これで、来季の日本人メジャーは2ケタを超えることになりました。こういう状況が突き進んでいけば、日本の球界はどうなるのでしょうか。ルールで認められており、選手の希望がある限り、防止できないのでしょうが、私は結構、将来を憂いています。

November 24, 2006 12:51 PM | コメント (7) | トラックバック (0)

2006年11月17日

オーナー会議の権限は?

阪神の減免決定

 誠に申し訳ありませんでした。前回、広島・黒田投手の残留について書いたのですが、同投手の背番号を間違い、広島の最終戦の日時も誤りました。多くの方から叱責、ご指摘をいただき、途中から直させていただきましたが、決して許されるミスではありません。恥ずかしい限りで、お怒り、不快感を抱かれた方にはただただ、お詫びするしかありません。今後、絶対にこんな不手際がないように努めるつもりです。陳謝します。

 さて、プロ野球のシーズンオフの動きが活発になっています。松坂(西武)が約60億円でレッドソックスでポスティング入札され、井川(阪神)も今月末あたりに落札球団が決まる予定になっています。この制度については、いずれ機会を見つけて書いてみたいと思っていますが、今回は14日に行われたオーナー会議の審議決定に触れてみたいと思います。

 この日の最大の議題は阪急ホールディングスと阪神電気鉄道の合併に伴なってタイガースを新規参入球団と見るかどうか、というのが最大の焦点でした。結果は多くの方がご存知のように預かり保証金(25億円=10年後に返却)、野球振興協力金(4億円)は免除され、加入手数料、1億円だけ支払うことで、決着がつきました。

 阪神とすれば、寛大な処置? に胸を撫で下ろしたでしょう。ただ純粋、論理的に考えれば加入手数料を支払うということは、新規参入と見なされる可能性があり、29億円の減免はやや矛盾してくるのではないでしょうか。日本プロ野球組織によると、“新生阪神”の経営方針などの調査料などの経費ということで、満場一致となれば、私が遠吠えしても仕方ないでしょうが…。

 それよりも、7月5日の同会議で一度は決議されたことが覆ったことには疑問が残ります。阪急と阪神の経営統合が明らかになり、他のほとんどの球団が「実質的な保有者の変更」と解釈、新規参入球団とする考えが大勢を占め、原則論が優先された。

 さらにもう一つの問題は2日前に行われたプロ野球実行委員会。野球協約ではこの会議で決議されたことはオーナー会議に諮られ、そこで承認を必要とされる事項を審議決定されると記されているが、実行委員会では決議はされず、オーナー会議に委ねれられた。この不備も批判されてしかるべきでしょう。

 その後、阪神はもちろん角和男・阪急阪神ホールディング社長も根来コミッショナーと面談、両者とも阪神がタイガースの親会社であることを訴え、球界に未だ残る阪急アレルギー(オリックスに球団を売却した件)を払拭することに奔走、それもまた決議が覆る要因の一つになりました。

 今回の減免に関しては根来コミッショナーや各オーナーは今後、協約改正に積極的に取り組むことも表明していますが、プロ野球ファンの意見を多く組み込む改正を期待したいものです。

November 17, 2006 11:55 AM | コメント (0) | トラックバック (2)

2006年11月10日

一時は阪神入りへ傾いたはずだが…

黒田の残留

 前回は日本ハムのヒルマン監督、小笠原選手の去就をテーマに書きました。その反響の大きさは予想を超えるものでした。詳しくはその欄を見ていただきたいのですが、やはりこの種の話題には、プロ野球ファンの関心が高いことをあらためて思い知らされました。

 さて、同様に、いや関西ではそれ以上に今オフの話題に上っていた広島黒田博樹投手(31)の残留が6日、決まりました。FA権を行使せず4年12億円(出来高含む=推定)という破格の条件をカープが提示、黒田投手も快諾したのです。

 赤ヘル党にとっては、これほどの朗報はなかったことでしょう。FA移籍の可能性はファンの方もよくご存知で、すでに9月24日の時点で背番号「15」が染められたフラッグに多くの方が残留願いのメッセージを書き込むなどの行動をし、10月14、16日の市民球場でのゲームではスタンドでフラッグや赤いボードが揺れていました。

 その熱烈な後押しと8度にわたる球団の熱意あふれる交渉が、黒田の心に突き刺さったのでしょう。記者会見でのセリフには「男」を感じさせるに十分でした。その骨子を振り返ってみると

 「僕はカープに育ててもらった。そのチーム相手に目いっぱいボールを投げ込める自信がなかった」。

 「カープで強いチームを倒すことを目標にやってきた。簡単に優勝できるチームに入り、モチベーションを保てるのか、と」。

 「国内他球団のユニホームを着ることは今後、一切ないです」。

 いずれの言葉も腹の座ったものですが、阪神からすれば、この決断はショックでした。タイガースとしては5年前の金本の時と同様に獲得できる感触があったからです。

 この間、新聞読者を中心に批判、抗議の電話、メールが弊社にきたことは事実です。煽り立てている、既成事実化しようとしている…などのご指摘でしたが、私も日刊スポーツの一員、決して意図的ではないと弁明したいし、実際、黒田の発言の端々にトラへの思いが見え隠れしています。

 阪神、広島の担当記者も真剣に取材をした結果が日々の報道になったのです。ぜひご理解願いたい。実は私自身もある球界関係者から、かなり気持ちが傾いていると聞いたことがあります。球団関係者ではないのでタンパリングにはならないでしょう。その人によれば、本人とも話をしてかなりの確率でFA移籍する考えがあったようです。

 もう1つ、広島には年俸2億円を上限とするという不文律があると言われています。これは広島の経営方針ですから批判すべきことではないでしょう。阪神もそのあたりを計算していたと思いますが、今回の広島は異例の提示をしたわけです。カネが全てではありませんが「誠意」の形としては最も具体的です。

 黒田が法外な要求をしたはずはないし、広島の熱意と黒田の「男の意気地」が合致したということでしょう。

November 10, 2006 12:42 PM | コメント (0) | トラックバック (13)

2006年11月03日

第2、第3のスターも去るのか…

日本ハムのオフ

 今年の日本シリーズは日本ハムの圧勝に終わりました。中日が本来の実力を発揮できなかったのに対して、日本ハムは2戦目以降、特に札幌ドームに戻ってきてからは、すごいファンの後押しを受けて、伸び伸び野球の真価をいかんなく発揮しました。阪神戦での中日の粘り強さ、しつこさをかなり見てきた私には信じられない展開でした。

 44年ぶり、2度目のリーグ優勝。新庄がリーダーシップを発揮して、フィナーレを飾り、稲葉、セギノールらを中心にする攻撃陣と投手陣がぴったりとかみ合った栄光でもありました。

 もちろん、選手たちの活躍が一番ですが、ヒルマン監督のさい配、選手起用も見事でした。2年目のダルビッシュを1戦目に起用、2戦目はルーキーの八木、さらに3戦目もルーキーの武田勝を抜擢。そして4戦目は「監督批判」をした金村を先発マウンドに送り出しました。この順番も絶妙で、はまりました。

 実はかつて近鉄のヘッドコーチを務めていた頃の真弓明信氏(現日刊スポーツ評論家)から「あのヒルマンって監督は優秀だよ」と聞いたことがあります。1年目、5位に終わったのですが、選手起用、戦術を敵の目から見て、非凡な指揮官に映ったようです。

 その才能が4年目に開花したわけですが、美酒とともに日本ハムは厄介な? 問題を抱えてしまいました。メジャーが同監督の手腕に注目、レンジャーズ、アスレチックス、パドレスの3球団が来季の監督に招へいしたいと名乗りを上げたのです。

 10月31日に渡米、3球団と面談し、4日に再来日。アジアシリーズに備えることになり、その終了後に進退を明らかにしますが、今のところ情勢は日本ハムに苦しいようです。ロッテ・バレンタイン監督、オリックス・コリンズ新監督はメジャー指揮官の経験がありますが、ヒルマン監督は無し。担当記者によるとその夢は強く持っており、面談の内容次第では、日本を去る可能性が高いとのことです。

 そうなれば、まさに不測の事態。さらに、もう1つ難問は主砲・小笠原がFA権を行使する可能性が高く、その際は巨人が獲得に乗り出し、中日も興味を示しています。巨人は小久保がソフトバンクへ復帰するのが決定的だけに、その穴を埋めるべく、三塁を守れる小笠原は格好のターゲットです。

 本紙の報道ではFA行使について迷っているようです。北海道の熱烈なファンへの思いもあり、迷いは人間性を感じさせますが、やはりプロ、情だけで働き場を決めることはしないでしょう。

 もし2人が別れを告げれば、来季の日本ハムには暗雲が漂います。外野の守りの要・新庄に続いて、今季の2冠王と、有能な指揮官とチームの柱・3本を失うことになります。小笠原の期限は7日まで。2人の結論は遅くても今月中旬ごろに出そうですが、美酒から一転、シーズンオフでは“イヤな主役”を務めることになってしまいました。

November 3, 2006 01:50 PM | コメント (14) | トラックバック (1)