浅岡真一 独断流

2006年10月27日

ポスティング制は世の流れなのか

スター選手の流失

 今年は日本シリーズから、日米野球、アジアシリーズと、まだまだゲームが続いていきます。さらに言えば、マスターズリーグも11月4日に開幕、来年1月27日までリーグ戦が行われます。これもオールドファンを中心に人気があり、なかなか妙味があります。

 片一方では、各チームが秋季練習を行っており、中日、日本ハム以外の10球団が来季の巻き返しに汗をたっぷりと流しています。さらに、阪神・藤川が10日間、オーバーホールのため入院しました。こう見ると、野球選手にのんびりと過ごす時期はほとんどない、と言えるのですが、プロなら当たり前でしょう。

 さて、そんな動きとは別に、オフならではのイベント、話題があります。監督問題をはじめとする1、2軍首脳陣の再編成、トレード、大学・社会人対象のドラフト会議などです。各チームの監督は出揃い、後は両リーグの優勝チームだけですが、まあ、留任は間違いないでしょう。

 そんな中で今年、1番話題となりそうなのが、ポスティングでしょう。松坂(西武)、井川(阪神)、岩村(ヤクルト)の3選手がメジャー志向を明確にし、井川は微妙ですが、他の2人は容認の方向で進んでいます。

 さて、このポスティング制度ですが、野球協約の中で「日米間選手契約に関する協定(訳文)」として明記されているもので、98年12月15日に調印発効、00年7月10日に改定調印発効となっています。ちなみにこの年の11月、イチローがマリナーズに14億円(以後金額はすべて推定)で落札されました。

 この落札というのも分かりにくいと思いますが、簡単に言えば、日本の球団が当該選手をポスティングする手続き(11月1日~翌年3月1日まで)をし、メジャーの各球団が入札、最高価格を提示したチームが交渉権を得ます。この落札額は球団に入るシステムになっています。

 この制度はFA制度と絡んでいます。FAの権利を得れば、メジャーに行く権利が与えられます。松井秀喜(ヤンキース)や佐々木主浩(元マリナーズ)新庄剛志(元メッツ)松井稼頭央(現ロッキーズ)らがその例で、この場合は入札ではなく、日本の球団には1円も入ってきません。

 だから、メジャー志向が強い選手には説得しつつ、無理だと判断したら、球団は潤うことを考えるのです。松坂は来年FA権を取得する可能性があるから、いっそのこと今年で…との思惑が感じられます。

 本人が米国で野球をしたいという意欲は非難できないでしょう。しかし、これだけスターが日本から去っていけば、球界の活性化に水を差します。例えば、メジャーへ行った選手の日本球界復帰に制限を設けたら…と考えるのですが、あの新庄フィーバーを見せられると逆効果かな、とも思います。

 もはや日本球界の流れなんでしょうか。何となく釈然としないのですが…。

October 27, 2006 01:43 PM | コメント (8) | トラックバック (3)

2006年10月20日

メリットばかりでは…

外国人監督の急増

 来年のオリックスはかなり様替わりしそうです。メーン本拠地を大阪(京セラドーム)に移したこともそうですが、中村監督の後任にメジャー通算444勝を誇るコリンズ監督(57)を招へい、打撃コーチも腹心のディバス氏(48)を呼ぶことになっています。

 ヒルマン監督の去就が微妙ながら、残留の可能性が高くこれで外国人指揮官は12球団で4人。パ・リーグに至っては半分のチームが占めることになりました。日本のプロ野球の歴史ではかつて無かったこと。人種差別をする気はないのですが、時代は変わってきているなあと痛感せざるを得ません。

 ところで、外国人監督のメリットはどこにあるのでしょうか。まず言えるのは選手を先入観なしに、公平に能力を見極めれることでしょう。今年、5位と低迷しましたが広島・ブラウン監督がルーキー梵(そよぎ)の足・肩に素材を見い出し、ショートに抜擢したのは一例でしょう。

 今年、パ・リーグを制覇した日本ハムのヒルマン監督にしても武田久をセットアッパーに、マイケルをクローザーに起用したことが奏効しました。もちろん小笠原を主軸とする攻撃陣も活躍しましたが、25年ぶりのVはこの2人の存在が大きかったと思います。

 1軍の選手を有効に使いこなす点では優れている指揮官は多いでしょうが、2軍、育成選手まで目が届くかどうか、多少の疑問があります。米国の野球は完全なピラミッドシステム。マイナーリーグから、這い上がってくる選手を活用するのが仕事で3Aクラスの選手でもそんなにつぶさに見ることはしません。

 そこでふと思い出したのが、かつて近鉄(後に阪神)で中継ぎ、抑えとして働いた佐藤文男投手のことです。彼はテスト入団、当初は打撃投手を務めていました。しかし、74年、阪急から近鉄へ転進した闘将・西本監督は彼の素質を見抜き選手として登録、やがて1軍へ仲間入りしたのです。

 西本氏の眼力には敬服するばかりです。フリー打撃をケージ後ろで見ながら、打撃投手にも目を光らせているのは、なかなか凡庸な監督ではできるものではありません。「70人程度の選手を見れないでどうするんや」というセリフを監督時代に聞いたことがあります。こういう抜擢を目の当たりにすれば、2軍選手も大いに励みになりました。

 ちなみに佐藤氏は引退後、教員免許を取得、現在は府中東の監督を務めています。広島商、広陵、崇徳、如水館と強豪が多く、なかなか甲子園は遠いですが「西本さんには感謝しているし、生徒の指導にも多くの教えを受けました」と語っています。

 江本孟氏は「プロ野球をダメにする致命的構造」(PHP研究所)の著書の中で球団はファームを切り離すべきと提言。けい眼ですが現状の球界ではそんな大改革はできないでしょう。ならば、2軍の指導、育成が将来のチーム作りの根幹ともなるわけです。

October 20, 2006 11:29 AM | コメント (2) | トラックバック (0)

2006年10月13日

すさまじい追い上げ、来季の糧

中日を苦しめた阪神

 既に消化ゲームとなった12日の阪神-中日戦。しかし、スタンドには多くの阪神ファンが詰め掛けていました。今季甲子園のラストゲーム、一大決戦になると信じて予備日程が決まった段階から、前売り入場券は好調に売れて、当日のスタンドは熱気に溢れていました。

 ゲーム中はトラ戦士に温かい声援が送られ、ゲーム後のセレモニーでは、大拍手、慰労の声援がマンモス球場を揺るがしました。もちろん、優勝を逃がした悔しさは残ったでしょうが、それ以上に阪神の終盤の快進撃が頼もしかっただろうし“夢”を長続きさせてくれたことに、感謝の念をトラ党は抱いていたのでしょう。

 中日にマジック40が点灯したのは8月12日。その後5連敗した時期もありましたが、8月27日以降は23勝5敗1分け(11日現在)、勝率は8割をはるかに超える成績。一方の中日はマジックが出てからV決定の巨人戦まで26勝19敗1分け、勝率・578は“普通の戦い”でしょう。

 この快進撃が始まった27日の巨人戦では、お立ち台に上った藤川が「僕たちは絶対に諦めてませんから……」と泣きながら叫んでいました。私にも胸にグッとくるものがありました。普段は陽気で、茶目っ気もある好青年。その救援の切り札が、ファンに熱き心を吐露。チーム全員が同じ思いで戦っていった結果が、高勝率につながったのでしょう。

 そういえば、落合監督の優勝インタビュー。「70年以上のプロ野球の歴史で例のなかった阪神の追い上げがあり……」と語り「逃げる方が楽だと思っていたが、阪神にあそこまで追い込まれるとは正直、思っていなかった」と付け加えていました。かなりの恐怖感があったことを表すセリフだと解釈しました。

 振り返ってみれば、今岡、久保田の長期離脱、藤川も一時期離脱、赤星の不調と誤算がありました。しかし、一方で浜中、関本、鳥谷が成長、誤算をカバーする活躍をしました。さらに投手陣、特に先発の安藤、福原、杉山に安定感が出てきました。ちなみに9月のチーム防御率が1・99、これは先発陣が踏ん張ったからこそです。

 80勝を超えたことも素晴らしいですが結局、中日に7つ負け越したことが響いたといえるでしょう。ただ終盤の戦いで、各選手は悔しさは持ちつつも、大きな自信を得たと確信しています。

 その自信はきっと来季につながることでしょう。まず秋季練習、さらにオフのオーバーホール、明けて自主トレから春季キャンプと各自が課題を持って臨むと思います。そして、チームの一つのスローガンは「打倒中日」。

 まだ先は長いですが、岡田阪神の前途は明るいと見ています。

October 13, 2006 01:37 PM | コメント (5) | トラックバック (1)

2006年10月06日

厳罰は仕方ないことだが…

金村の舌禍問題

 9月中旬から下旬にかけてパ・リーグでは、シ烈なペナントレースが繰り広げていました。日本ハム、西武、ソフトバンクが首位を目指してシノギを削っていたのです。関西では阪神の猛烈な追い上げが大きな話題を呼んでいましたが、北海道、関東、九州ではタイガースの快進撃以上に盛り上がっていたことだと思います。

 プレーオフ進出は既に決まっていた3チームですが、皆さんがご存知のように、今年から首位チームには第2ステージでは1勝のアドバンテージがあり、4試合のうち2勝すれば、日本シリーズに出場できます。プレーオフ制のメリットが出たとも言えます。そんな激闘の最中、一つの“事件”が起きました。日本ハム・金村暁投手(30)の監督批判発言でした。

 その内容を簡単に振り返ってみます。9月24日のロッテ戦に先発した金村は4回まで1失点に抑えていたのですが、5回2死満塁のピンチで交代を命じられました。4-1のリードの場面、あと1人アウトに取れば5年連続10勝、あと1回3分の1投げれば6年連続規定投球回数に達する状況だったので、ゲーム後、怒りを爆発させました。

 「外国人の監督は個人の記録なんてどうでもいいんじゃない。絶対許さない」「(首脳陣)の顔も見たくない」などと感情を露にしたのです。

 これに対して球団の対応は敏速でした。翌日、札幌から東京へ金村を呼び寄せ事情聴取。発言を認めたため、罰金200万円、プレーオフ出場停止。これに金村は「社会人として情けないことをしたと反省しています。解雇されてもおかしくない状況。寛大な処分をしていただいた」と改悛の情を示しました。

 確かに「暴言」と言えますが、表面化したのはマスコミに対して公然と発言したからです。プロの、注目されていたチーム、ゲームだったからこそで、これが独り言だったら、当然のごとく事件にはなってなかったのです。

 サラリーマンの世界でも上司批判をしない人はほとんどいないでしょう。飲み屋で時には同僚に罵倒することもあるでしょう。私も隣りの席で嘆いているのを何度も聞いたことがあります。でも、マスコミに扱われることはまずないから、憂さ晴らしで済むのです。

 その意味ではプロ、プロ野球の世界は大変だと思います。ただ、軽はずみだったとはいえ彼を100%“悪者”にする気にはなりません。これまで私個人に首脳陣批判をした選手は何人もいました。でも、こういう場合は一度も記事にしたことはありません。記者失格かもしれないですが、同僚には言えないから憤まんをもらした、表面化させればその選手が傷つくと考えてきたからです。

 それと、プロならそれぐらいの激しさは必要でしょう。ここ数年、エースとして活躍してきたプライドもあって当然。ただ、個人記録にこだわったのは時期が時期だけに、反省してもらいたいとは思います。

October 6, 2006 12:15 PM | コメント (6) | トラックバック (1)