2006年09月29日
プロ入りだけで満足しないで
若者よ大望を
9月25日、高校生を対象にしたドラフト会議が開かれました。1位指名が競合して当人、各球団は悲喜こもごもになりがちですが、今年の悲はソフトバンクとの抽選でロッテが交渉権を得た大嶺佑太投手(八重山商工)ぐらいでした。私見では“浪人覚悟”の彼には、そんな回り道はして欲しくないと思うのですが、他人が本人の選択に口を挟むことはできないでしょう。
他の31人は、選ばれたことに喜びを示し、基本的には入団を表明しています。彼らは恐らく、入団発表の場では1日でも早く1軍入りして、レギュラーの座を獲得したいと、意気盛んに抱負を語ることでしょう。その初心を決して忘れて欲しくない、と願うばかりです。
とはいえ、松坂投手(西武)のような天才ばかりではありません。ある程度の時間がかかるのが、一般的です。そこで向上心を萎えさせないかどうかが、一番大事でしょう。指導者の熱意、保護者や友人、先輩のサポートもまた、励みになります。
古い話で恐縮ですが、71年のドラフト会議で近鉄は梨田昌孝捕手(浜田)を2位、羽田耕一内野手(三田学園)を4位で指名しました。彼ら2人は1年目、1軍のキャンプには帯同したのですが、2年目は2軍。その時、宿舎で「僕らはやっぱり1軍は無理かなあ」。「そうかもしれんなあ」という会話を何度か交わしました。ただ、彼らは希望は捨てていませんでした。
そして、翌79年、西本幸雄氏が阪急の監督を辞任、近鉄の監督に就任すると、梨田の強肩好打、羽田の長打力の素質を見抜き、1軍で使い始めました。そこから彼らの運命が開けたのです。付け加えるなら同期の1位が佐々木恭介、6位が平野光泰。リーグ2連覇の主力が、この年のドラフトだったのです。
青春の挫折はプロ野球選手だけではありません。でもドラフトで指名されるのは逸材だからこそです。しがない野球少年だった身からすれば、うらやましい限り。だから、プロ入りした喜びは早く捨て、遮二無二トレーニングに励んでもらいたいと思うのです。
それには、まず体力をつけることです。よほどの傑出した選手でない限り、プロと高校生では、1シーズンを乗り切る体力はないものです。近頃はウエートトレが大はやりですが、ランニングで下半身を強化することが第一というのが持論。それとかつての阪神・掛布のようにノックを1時間以上受ける、肩を壊さない限り投げ込みをするという時期もあっていいでしょう。
さらに節制と社会常識を学ぶ、人付き合いを選ぶことも必要なことです。ほんの何年間、タバコ、酒を覚えず、野球漬けの中で新聞、本を読んだり、甘い誘惑に負けないこと。ここでプロ野球人生が大きく変わってくるのです。
例え、プロ人生で花咲くことなくても、この3つを心掛け、全力を尽くして練習すれば、次の職域で大きな活力になると確信しています。
September 29, 2006 11:50 AM | コメント (0) | トラックバック (6)
2006年09月22日
奇跡は十分にあり得る
阪神の逆転V
首の皮一枚、崖っ淵、土俵際……。現在の阪神が置かれている状態は、こんな表現がされるでしょう。一般的な苦境を表現する言葉ですが、日刊スポーツ評論家の木戸克彦氏(前阪神2軍監督)が面白いセリフを吐いていました。
「いけすの中の魚」。一応は捕獲されたけれど、まだ料理としてお客さんに出されていない。生きているということです。いかにもユーモアに溢れる木戸氏の表現ですが、確かに言い得て妙だと思います。
15日からの中日との直接対決。川上の力投に完封負けし、2戦目は山本昌にノーヒットノーランを許してしまいました。もう絶望かと感じたのですが最後に安藤の好投と金本の決勝2ランで一矢を報いました。
このゲーム後、鉄人は「トカゲの尻尾のように切られても切られてもな。首の皮一枚やけど、まだ終わっていない」とネバーギブアップを強調していました。そして本拠・甲子園に戻ってヤクルトに連勝。2戦目で4打点の大活躍をした矢野も「可能性ある限り絶対あきらめません」と力強く宣言しました。
38歳主力コンビの意欲、不屈の闘志は他の選手へかなりの勇気を与えたことでしょう。名古屋ドームにも取材に出かけ、ヤクルト戦もネット裏で見ましたが、試合前の練習は全員がはつらつとしていて“追う者の強み”を感じました。
岡田監督はじめ首脳陣、選手はトーナメントのような戦いを続けていくことは間違いないでしょう。1敗も出来ない、と総力戦で臨むことでチームが一丸となっています。
数字的に苦しいのは確かですが、一つの救いは29日から中日3連戦を残していることです。名古屋ドームは1勝10敗と大きく負け越し鬼門となっていますが、甲子園では2勝2敗1分。
その要素の一つとしてトラ党の強烈な後押しがあります。今季、京セラドームなど含めホームゲームでは43勝20敗2分けと大きく勝ち越していますが、甲子園でも20勝13敗2分けと、かなりの勝率です。やはりあの独特のムードが、選手への無形のエネルギーを与えているのでしょう。
その決戦は既に前売りで入場券は完売。ファンの期待が大きいということでしょう。ただその前に、巨人と2試合、広島3試合が組まれています。中日の動向によって状況は変化しますが、悪くても4勝1敗で乗り切ることでしょう。
言葉を換えれれば、ベストが3ゲーム差以内、最低でも4ゲーム差にしておくことです。今の阪神なら可能だと考えていますし、決戦で3連勝を出来ないことはないと思っています。
寿司屋、料理店ではあり得ないことですが「いけすの中の阪神」は再び、海へ放流されることが、あり得るのです。
September 22, 2006 12:29 PM | コメント (5) | トラックバック (2)
2006年09月15日
4年間の“空白”は大きいのでは…
斎藤君の進学表明
これほど注目を浴びた高校野球選手は近年ではないでしょう。野球ファンだけではなく「ハンカチ王子」の愛称もつけられ、普通の主婦の方々なども関心を寄せていたようです。さらに進路表明をテレビで生中継するなどかなりのフィーバーぶりでした。
早実・斎藤佑樹投手の今後。11日、彼はプロ入りへ揺らいだことも明かしながら、大学進学(実質的には早大)を表明しました。両親らと家族会議を開き、両親の賛同を得て決意したとのことです。
「自分は野球選手としても人間としても、まだまだ未熟。大学4年間を通じて成長していけたらいいと思った」と現在の心境を明かし「投手としてのレベルを1ランクでも、2ランクでも上げ、それからプロに挑戦できたら目指したい」と将来の希望も付け加えていました。
18歳の青年として実にしっかりした考えを持っているんだなあ…と感心はしたのですが、一方でもったいない、いう感も沸いてきました。彼には彼の人生があり、親類縁者でもない私が異論をはさむ権利はないのですが、彼なら即戦力ではないかもしれないけれど、プロの投手として大成する可能性が高いと見ていたからです。
大学野球の練習を馬鹿にする気はありません。学生生活を謳歌(おうか)するのも、人生では大事でしょう。ただプロなら“野球漬け”の生活ができます。そこでの差はかなりあります。だから私は素質に恵まれた選手は早くプロ入りした方がいいと思っています。
2リーグ分立(1950年)以後にデビューした投手の中で200勝以上した投手は16人。その中で大学出身者は故村山実氏(関大-阪神)ただ1人。山田久志や平松政次らノンプロ経由もいますが、4年もの長い空白はありません。
2000安打以上はあの長嶋茂雄氏をはじめ、大学出身者やノンプロ出はかなりいますが、村山さんは格別の能力があったので、投手の場合には肩、ヒジの磨耗もあり、寿命は一般的に、短いものです。
何も200勝が、一流プロがすべてではない、と言われればそれまでで、選手生活は人生の中で長くないことは確かです。中には素質豊かでありながら、指導者に恵まれなかったり、故障などで球界を去っていった人を何人も見てきましたが、斎藤君ならプロ意識を自らかきたて大成していたのではないか、と思っています。
人生、何が大切か。この歳になっても、まだつかみ切れてません。一流プロ野球選手だけを礼賛する気もありませんが、ただ、メジャーという夢も持っていると聞いただけに、惜しいなと感じてしまいます。
まあ、もう既に斎藤君が決断したこと。25日の高校生ドラフトで指名されることはなくなりました。こうなれば早大で3ランクも上になり、故村山氏以来の快挙を達成してくれることを願うしかありません。
September 15, 2006 11:38 AM | コメント (3) | トラックバック (9)
2006年09月08日
日本シリーズの価値、権威は?
PSG導入
今年2月、阪神の宜野座、安芸キャンプのメーン球場のセンターポールにはリーグ覇者の旗が掲げられていました。ロッテに苦杯を喫した悔しさをかみしめながら、13年ぶりのリーグ連覇、日本一へ向けての序奏で、そのフラッグは選手の励みになっていたことは確かです。シーズンを通しての首位の重み。トラ戦士はその誇りも持っていましたが、来年からは様相が変わるようになりました。
さる4日のプロ野球実行委員会でレギュラーシーズン144試合制(リーグ戦120、交流戦24)で統一、同じ形式でポストシーズンゲーム(PSG)を実施することが決まりました。現在のパのプレーオフ方式と同じく2、3位チームで3試合、勝者と1位チームが5試合し、日本一を争う7試合への出場権を争うというものです。
ただし、リーグ優勝はレギュラーシーズンの勝率1位チームとするというもので、実質「日本シリーズ」とはいえず、呼称の変更も検討されることになりました。この決定まではセ・パ、各球団の思惑が入り乱れ、半年近く要したのですが、交流戦24を確保したいパ側がセに歩み寄ったということになります。
ご存知の方も多いでしょうがメジャーでは東中西の各地区の1位とリーグの勝率1位の4チームで地区シリーズ5試合(3つ先勝制)を行い、続いて7試合のリーグチャンピオンシリーズ、その勝者でワールドシリーズが行われます。
近年では03年、勝率1位、要するにリーグ4位のマーリンズがワールドシリーズ制覇。02年にはエンゼルス対ジャイアンツの4位チームがWシリーズに進出(エンゼルスが優勝)。この時はジャイアンツに敗れたカージナルスのGMが「何のためにシーズンを戦ってきたのか」と嘆いたと聞いたことがあります。
現在、パは西武、ソフトバンクの3強が激しい首位争いを展開しています。セは、中日が3位ヤクルトに10ゲームもの大差をつけている(8日現在)のに、来年なら、短期決戦ということもあり、ヤクルトが日本一を手にする可能性が出てきます。
メジャーはア・リーグが14分の4、ナが16分の4の確率ですが、日本では2分の1。これでは先のカージナルスのトップと同じ嘆きを吐く球団や監督が出てきても不思議でないし、シーズンを通した成績の重さ、“日本シリーズ”の価値が低まるのではないかと、私は思います。
労組日本プロ野球選手会前会長のヤクルト古田監督は「ファンが望んでいることだから」と賛意を示し「価値のあるゲームを増やさなければならない」と語っていますが、果たして本当にそうなのでしょうか。
2年間限定で、既に決まったことに我々が疑問を呈してもどうしようもないことです。野球人気のさらなる盛り上がり、球界の活性化になるかどうか。これこそ、ファンの判断に委ねるしかないですね。
(次回は9月15日に更新予定)
September 8, 2006 11:45 AM | コメント (14) | トラックバック (4)
2006年09月01日
ケガしないのも素質の一つ
故障に泣いたチーム
オリックスのプレーオフ進出が8月27日、絶望になりました。開幕前、私は“台風の目”になり得るチームだと思っていました。関西在住の身、多少の肩入れもありましたが、清原、中村紀の新加入もあり、チームのムードも活性化したし総合力で楽天以外の4チームとは、大して遜色はないと見ていました。
しかし、7年連続Bクラスが確定した同日、いみじくも小林球団本部長補佐が「戦力はうまく整えられたけど、投打の主力に故障が多く出てうまくいきませんでした」とコメントしたように、ケガ人が相次ぎ、固定したメンバーで戦うことが出来なかったのが最大の敗因でしょう。
主力の故障と言えば、巨人も同様でしょう。小久保、高橋由らクリーンアップが離脱。他にも1、2番が固定できず、先発投手陣が不安定だったことも絡んでいますが、何よりも主軸の故障が第一。現時点で全試合出場者が二岡ただ一人とは、巨人の凋落を象徴しています。
ところで、ケガ・故障は本当に不可抗力なのでしょうか。それは時によってはあり得るかもしれませんが、基本的にはしっかりと練習をすることが第一です。シーズンオフのオーバーホール、春季キャンプ前からインして内容、さらに開幕へ備えるオープン戦の時期、さらに公式戦に入ってからです。
世界の盗塁王、元阪急の福本豊氏とよく話をするるのですが、氏は「故障をしなかったから、走れた(通算1065盗塁)んだよ」と何度か語られています。ケガをしないためには、何が一番大切か、しない工夫、準備をすることです。
例えばヘッドスライディング。けん制球を投げられた際の帰塁、ホームベースへの生還など、近頃は多く見られます。一塁への走塁は駆け抜けた方が速いのは科学的に証明されています。何より突き指、さらに体に故障をきたす危険性が高いのです。高校野球などでは「闘志溢れるプレー」と礼賛されますが、とんでもないことです。
アマでは将来に影響を及ぼすこともあり、プロでは選手生命を壊すこともあります。走塁はもちろん守りでも打球がどこへ飛んできたら、どういう動きをすべきか、それを予測するのが準備でケガを極力防ぐことにつながるのです。
チームにも痛いですが、自身が傷つくのです。無気力プレーは許されないですが、ちょっとした不用意でン億円を棒に振った選手を何十人も見てきました。もったいない。いらぬお節介と言われればそれまでですが、どうも、最近はそういう自覚が少なくなっている気がしてなりません。
かつての長嶋、王はオープン戦でも出場することが宿命でした。さらに鉄人・衣笠、最近では阪神の金本らはプロ中のプロだと痛感します。素質と努力で一流になるのですが、ケガをしないことも素質の一つ付け加えたい、と昨今は思います。
September 1, 2006 11:58 AM | コメント (2) | トラックバック (4)
