浅岡真一 独断流

2006年07月28日

走ることは球技の原点

新代表監督に大賛同

 先ごろ、日本のサッカー日本代表監督にイビチャ・オシム氏(65)が就任しました。専門外ながら今ワールドカップでの惨敗、中田英の引退など一度、下降線に向かったチームを立て直すのが難しいのが常ですが彼なら、そんな難局に立ち向かっていけるリーダーではないかと感じました。

 旧ユーゴスラビアを90年のW杯でベスト8に導いた実績、またスター選手が少ないジェフ千葉をJリーグの強豪に押し上げた実績はもちろんですが、彼の“語録”を読んだ時、球技、いやスポーツの本質を理解していると思ったからです。

 (1)走り過ぎて死ぬことはない。

 (2)ライオンに追いかけられたウサギが肉離れするか。準備が足りないんだ。

 (3)人はどれだけでも我慢できる

 これらのセリフはプロ野球の世界でも全く当てはまることであり、各選手が刺激を受けて、その思いを強く持って欲しいと思いますね。

 特に(1)はかなり奥が深い言葉だと感じました。基本的にはゲーム中の選手の動きについてのことですが、それが出来るためには、普段の練習で相当の練習量が必要です。実際、千葉の選手は陸上選手並みのランニング、ダッシュをやっていたと聞いています。

 プロ野球のトレーニングも年々、進化はしてきています。優れた器械が各チームに導入され、筋力強化は20年も前からすれば、やりやすくなったでしょう。しかし、器械にばかり頼っていてはダメだと思っています。下半身の強化にはランニングが最も大事で、多くの一流OBも、そう語っています。

 つい最近、阪神桧山外野手と言葉を交わしたのですが「夏場に入ったら、やはり下半身ですね。走ることはもちろんですが、ウエートトレも下半身に重点を置いていますよ」と語っていました。

 暑い時節は確かに疲労が蓄積します。最近はドーム球場が“癒しの場”にはなっていますが、それでも一般の方と同じように、夏バテをする選手がいることは確かです。だが、疲れがあるからといって、ランニング量を減らすと、下半身は弱まり、プレーに俊敏さがなくなります。

 15年目のベテラン、桧山選手ぐらいになれば、そのあたりのことを十分にわかっているのでしょう。「下半身に自信がなくなるとバッティングも影響するけど守備位置まで変えざるを得なくなる。だから…」と付け加えていました。

 工夫はいくらでもできるはずです。まず睡眠をたっぷり取ること。酒を飲む人は量を減らすこと。さらに炎天下では試合前のフリー打撃の時間を減らすのも1つの手です。そして、時間的余裕をつくり、チームの練習メニュー以外に下半身強化に努めることでしょう。

 1月から始動し、2月のキャンプを経てオープン戦から公式戦へ、このあたりではどの選手も走っているでしょうが、夏場がポイント。私が見てきた一流選手はここでひと踏ん張りして好成績を残してきました。

 “オシム語録”は球界にも、素晴らしい提言をしてくれたと思っています。

July 28, 2006 11:30 AM | コメント (1) | トラックバック (15)

2006年07月21日

来年は交流戦が削減される?

セ・パの対立

 どうやら、来年から交流戦の試合数が減る様相が濃くなってきました。

 それが表面化したのは13日に行われた12球団代表者会議でした。セ・リーグ側が削減案で結束、強い姿勢を示したのです。これにはパ側も予想外だったようで各球団の代表のコメントもショックがありありと出ていました。

 というのも前日、パは緊急理事会を開き、セ側が提案されている(1)ポストシーズン(プレーオフ)制を導入する一方で優勝チームはリーグ1位とする(2)試合数を146(現行は136)にする。の2点を了承、一方で交流戦36試合維持をしてもらうという“条件”を付けたのです。

 この合意でパ側は楽観視していたようですが、そう事は簡単に運ばない結果になりました。私に言わせれば唐突、急きょの対処で、セ側に逆に反撃される緊急会議でした。

 このあたりのことは、熱心なプロ野球ファンはご存知かもしれませんが、ここに至るまでの経緯と各球団の思惑をこれから記していきたいと思います。まず発端は巨人主導で来季セ・リーグがポストシーズン制を決めたことです。そこでどういう運営形態にしていくか、事業委員会(巨人・清武委員長)を発足させ両リーグの試合数の統一、交流戦の試合数も付随懸案になったのです。

 そこで清武委員長が出した案は4つ。その1案目は交流戦数を現状維持しつつ146試合制をパも同調することでした。ところが7月3日の第2回の事業委でこのプランにパが難色を示したのです。選手会への説得などパ側の理屈は分からなくはないですが、それからわずか10日後の方向転換はセ側の論理に正当性を与える結果になってしまったわけです。

 ただ、事の本質は、そんな表面上のことではないと確信しています。結論からいえば観客動員数を巡って両リーグが対立している、ということです。要するに今や大全国区の阪神と凋落したとはいえ未だ人気はそこそこの巨人、この2球団との対戦を多く組みたい、というのが他のセチームの思惑であり、パとしても2年間の交流戦で味をしめたのです。

 今年の交流戦の1試合平均の観客はセが26250人(昨年25135)パが20865人(同21163)で諸条件の違いがあり横ばいと見ていますが、阪神主催では42908、巨人主催が41362と高い平均数が出ています。

 本来なら36試合が適正かどうかを中心に話し合われるべきなのに、それ以外の思惑が先行してしまっています。各球団の経営努力とは一体、何なのか、2球団に多少頼るのは仕方ないとしても、もっと自球団の将来を見据えるファン獲得政策を打ち出すべきではないでしょうか。

 ところで1カ月半にも及ぶ交流戦が長いかどうか、難しいテーマですが、私は30試合ぐらいが適当かなと思っています。ただそうなると2連戦が1つずつ。これはセの現場、フロントともに異論が多く、大勢は24か18で意思一致しているようです。18となれば3連戦が1回のみ。これでは少な過ぎると思います。

 20日の12球団代表者会議で、パがポストシーズン導入見送りの考えを示し、これで交流戦の試合数削減は決定的となりました。


July 21, 2006 11:54 AM | コメント (1) | トラックバック (2)

2006年07月14日

ファンは楽しみ、選手にもお土産が…

球宴の裏側

 今年も夢の舞台の時節がやってきた。21日が神宮、22日は宮崎で行われます。一流が集って、名勝負が繰り広げられ、ファンの興味は尽きないと思います。西武・松坂が9連続三振を宣言したり、阪神・藤川もホームランか三振かの速球勝負を誓っています。セ・パの長距離砲のホームランも華となるでしょう。

 ファンにとって楽しみな2試合ですが、実は選手にとっても学習の場になるのが球宴の側面なのです。直近の米大の祭典で、メジャー最高俸、A・ロドリゲスがイチローに調整法に教えを乞うたことが話題になりました。超一流の選手でもなお向上心が溢れていることにイチローは感動を明らかにしていました。これに似た例は日本でもありました。

 かなり古い話ですが79年、初めて選ばれた近鉄・梨田捕手(現日刊スポーツ評論家)はロッテ村田兆次投手とバッテリーを組んだ時「ノーサインで受けさせてもらえませんか」と申し出た。村田投手は「それは無理だよ」と一度は拒否した。当時はパのエースとして全盛時、フォークのサインを出したロッテの捕手陣が何度も後逸していたものです。

 だから村田としてはノーサインで取れるはずがないと思ったのですが、売り出し中の梨田はチャレンジ精神に燃え、マウンド上で再度お願いし「走者が出るまで」の条件で交渉が成立。1球も後逸することがなく、コンビは交代しました。翌80年はもう何の条件もなく村田投手は受け入れ、またも後逸することなく終わりました。

 「晴れの舞台で恥をかきたくないとも考えたが、もっとキャッチングがうまくなりたいと思っていたので、格好のチャンスだと考えた。次の年も含めて私には大きな自信になったし、村田さんにも感謝しています」と、今でも梨田氏は述懐しています。

 最近では昨年の清原と阪神・藤川の呉越同舟です。フォークで三振を取られた当時の巨人の4番が「ち○ぽこがついてんのか」と発言して大きな話題を呼びました。その直後の球宴のベンチで二人は話し合いをしました。その内容を藤川は極秘としていますが、周辺を取材したところでは「あれだけ凄い速球を持っているんだから、交わそうとせずもっと大成してもらいたいと思った」というような意図を清原は説明したようです。愛情を込めた発言であったことに藤川も得心したようです。

 今年も各選手がいろんな抱負を明かしています。火花散る真剣、力勝負で一流のプレーをし、ファンを魅了するゲームを期待していますが、一方で各選手、特に若手の方々には、先輩たちから何かを盗み、時には教えを受けて“お土産”をたくさん持ち帰ってもらいたいものです。

July 14, 2006 11:46 AM | コメント (3) | トラックバック (2)

2006年07月07日

阪神は改革の前例にされた?

30億円支払い決定

 青天の霹靂(へきれき)と言えば、少しオーバーになるでしょうか。5日のオーナー会議で、阪神タイガースが預かり保証金25億円、加入手数料1億円、野球振興協力金4億円を支払うことが可決されました。これまでの実行委員会承認機関のような同会議では異例の決定で、そのスピーディーさにも驚かされました。

 阪神電鉄と阪急が統合され阪急阪神ホールディングス(10月1日発足予定)と社名が変わり、タイガースもその傘下に加わることは両社で合意していますが、この統合をほとんどのオーナーが阪神の「身売り」と解釈、根来コミッショナーも同意し、タイガースを新規参入球団と認定、納付を義務付けたのです。

 阪神は宮崎恒彰・新オーナーが出席、球団は大会社の孫会社となり、経営の心配はない。71年間も球界に貢献してきたし、短期間に球団を手放すことはあり得ない―という考えを申し出、保証金の免除を訴えたのですが、賛意を得たのは西武、広島、巨人の3球団のみで、押し切られる形に終わりました。

 惜しむらくはもう少し根回し、票読みが出来なかったのかという点ですが、現状の阪神電鉄内には他球団のオーナーとのパイプ役がおらず、宮崎氏も新任ということで、付き合いが薄かったから、仕方のないことかもしれません。

 今回の決定の要因として各オーナーの阪急に対する不信感が取りざたされました。かつてオリックスに身売りした例があるからですが、私はそれはほとんど関係ないと思っています。タイガースは統合後も阪神の超優良子会社、急速に人気が衰えることはないでしょうし、阪急にとっても“ドル箱の孫”になるわけで、企業の論理からしても、手離すことはまずあり得ないことです。

 だから今回は、球界改革、野球協約の改定の端緒としてターゲットにされたと見ています。根来コミッショナーは「これまでルーズ(おおらか)でも問題なかったが、今後はタイトな(きっちりした)状態にしなければならない」と語りましたが、この発言にその意図を感じました。

 コミッショナーが積極的に改革に取り組むことは歓迎すべきことでしょうが、それなら楽天のTBS株保有も早急に解決すべき。もう一つ、協約改正で閉鎖的な球界になってはならないと思います。プロのみならず日本の野球界の発展を第一にすべきでしょう。

 さらに感じたことは12球団の勢力図に多少の変化が起きていることです。巨人も擁護の姿勢を示していました。これまでGTが連合軍を組めばほとんどのことがその方向に進んでいたのに、今回は違いました。何かが変わろうとしているのかもしれません。

 最後に付け加えたいことがあります。同日、阪神は横浜に6回途中、コールド負けしました。ゲーム後の岡田監督の会見、ロッカーへ引き揚げる時に「今日はゲームのことは(もう)エエやん」と。一体、どんな意味であったのでしょうか。私にはたった1つしか思い当たりませんでした。

July 7, 2006 11:07 AM | コメント (0) | トラックバック (3)