浅岡真一 独断流

2006年02月17日

協会幹部はなぜ快挙を称えないのか

早大のトヨタ撃破

 久しぶりに友人に会ったら「おめでとう!」と言われました。一瞬、何のことかと思ったら、12日のラグビー日本選手権で早大がトヨタに勝ったことでした。この友人は徳原永宅氏といい、3年前は同大のヘッドコーチを務め、現在は指導委員長の立場にある人物です。

 残念ながら同大は日本選手権に出場出来なかったが彼は「いいゲームだったよ。ワセダは本当によく頑張ったね」とライバル校の金星に指導者としてエールを送り、私はラグビーをやっていなかったが、母校であるため、祝福を送ってくれたのでした。

 私自身は阪神の宜野座キャンプを取材中、生でテレビは見れなかったのですが、夜のテレビのダイジェストや、翌日の新聞を見てトヨタのサインを解読するなど、あらゆる準備をして試合に臨んだようです。

 一方で自身のチームの戦術はこれまでの戦いぶりを基本にしながら、工夫を凝らし、フォワード戦で優位に立ち、タックルも効果的でした。大学選手権では1度しか試みなかったペナルティーゴールを前半3本決め、主導権を奪ったあたりも、対トヨタ用の戦術と受け取りました。

 社会人の上位チームに大学が勝ったのは18年ぶりのことです。もちろん03年度からトップリーグが創設されてからは初めてで、マスコミをはじめ、ラグビーファンのほとんどが賛辞を送りました。

 ところが、残念というか、納得いかなかったのは、ラグビー協会の一部の関係者の反応でした。本紙にも掲載されましたが(当日は休刊日発行のみ)、稲垣純一トップリーグ・パネル議長は「日本最高峰リーグのチームが学生に負けるのはおかしいし、負けてほしくなかった」と試合後、語っていました。

 たとえ、議長であってもこの発言はいかがなものか。ラグビー選手は基本的に年数、経験が技量の上達に不可欠ですが、世界に飛躍していくには、底辺の拡大が欠かせないし、若い学生が年長の社会人を破ることは歓迎すべきことではないでしょうか。他の学生や高校生以下にも励みになるはずです。

 全く私事で恐縮ですが、亡父は戦前、大阪の天王寺中学(現天王寺高校)でラグビーをやっていました。43年、亡父が5年の時、全国大会で初優勝したのは、自慢でした。後輩には岡仁詩・同大元監督や青井達也・慶大ラグビー部OB会長らがいて、かつては名門だったようです。

 そんな家庭に育ちながら私自身は恐怖心に勝てず、ダ円球には無縁でしたが、見る側としては大ファンであの「ワン・フォー・オール、オール・フォー・ワン」(一人はみんなの、みんなは一人のために)の精神にはずっと共鳴してきました。

 だから、専門外のことを取り上げたのですが、協会関係者にはもっと広い視野で見てもらいたいと切に思っています。ただ、救いは本紙に掲載された元日本代表監督の言葉です。彼とは同期で学部も同じ。当時は学内で英雄で、私のような劣等生とは月とスッポン。現在は三井住友銀行の要職にもつかれている方だけに重みがあります。

 「他校も目線を上にして欲しい。もちろん社会人にも刺激になったはず。何よりこの勝利が、ラグビー界の層の広がりに結びついてほしい」。

 (次回は2月24日に更新予定)

February 17, 2006 11:48 AM

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.nikkansports.com/mt/mt-tb.cgi/3371

このリストは、次のエントリーを参照しています: 協会幹部はなぜ快挙を称えないのか:

» 日本のスポーツに関するコラム1 from 徒然なるままにMの戯言
2/14(火)にTBS系ラジオで放送された「ブジオ火曜日 井筒和幸のどないなっとるねん」で、トリノオリンピックで未だにメダルを獲得できない日本選手団について、電... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2006年02月22日 12:19


コメント

外国人選手がいなければって話になると、大学側もいれてはいけない事にせえねばなりませんね・・・・。
外国人選手が国内からいなければ、残念ながら更に日本のレベルは落ちます。

大学チームにもフィリピーネ(大東文化大)やポンギ(花園大)のような素晴らしい選手がいます。
オト兄弟(兄は元トヨタ、弟は東芝府中)は日本に帰化して日本代表としても活躍していますし、去年のトップリーグ最優秀選手・バツベイ(東芝府中)やポンギも帰化する予定だそうです。
こういう選手に日本のラグビー界が支えられている事も忘れてはいけないのではないでしょうか?。

大学ラグビーですけど、早稲田が強いのに人気が一気に落ちています。
2年前に関東学院大が早稲田を破った試合除くと悲惨な視聴率を記録していますし、興行的に大きな収入源である早明戦の入りがここ2年で2万人近くも減っています。
もう一つ言えば早稲田が戦った日本選手権2試合の動員数も2万人以下なんです。
また、早稲田から関西や九州出身の選手がレギュラーの大半を占めていて、関東学院も同志社もこの2地域出身者が大半を占めている事を考えると、高校レベルでの地域較差も問題だと思います。

一番の問題は日本には実質的なプロ選手はいません。
プロ契約していると言っても殆どが運動専門社員として雇用されている「嘱託社員」ばかりです。
もし、タイガースの金本や井川の年俸があれば、今回の冬季オリンピックでは金メダルが最低でも1,2個は取れましたし、ラグビーだったら正社員のみのチームだったら2チーム分の運営ができるだけに、スポーツへの資金投入をもっとバランスよくしてもらいたいのが一スポーツファンとしての願いです。

投稿者 総合的なスポーツファン : 2006年02月23日 22:03

 もう40年近く大学ラグビーを見てきたが社会人のラグビーに殆ど興味が無い。今の筋力トレーニングばかりのスピードも展開も無いラグビーで外国人に勝てるわけが無い。ワールドカップに勝つには日本人の特性を如何に生かすかだ。その点で小良く大を制すで学生のラグビーが社会人に勝ったことは一筋の光明である。
 現在の様な外国人頼りのチーム編成で日本人の能力が伸びるわけでもチーム戦術が進歩するわけでもないだろう。今後の日本ラグビーの発展は頭脳を如何に使うかである。その為にも日本選手権は学生に対する社会人チームは外国人を排除して対戦しなければならない様にルール改正すべきである。
 

投稿者 甲賀の隠者 : 2006年02月20日 21:22

この試合テレビですが見ていました。
先行され追いつこうと必死なトヨタ、何とか勝利をと
あの手この手をうつ早大と手に汗握る展開で
とてもおもしろかったです。
さて、「日本最高峰リーグのチームが学生に負けるのはおかしいし、負けてほしくなかった」の発言です。
強い方が勝つのは当たり前。応援しているチームに負けてほしくなかったのも当然でしょう。
ですが、「おかしい」と感じることは残念です。
いずれ日本代表が、各強豪国との試合でupsetを起こすことを「おかしい」と予見している様です。強豪に対してあの手この手で工夫する、そこに本来活路はないのかもしれません。事実東芝府中には敗戦でしたし。ですが見ていた観客はその戦いぶりに満足でした。
強くなろうとする早大の姿勢に大いなる拍手を送ります。

投稿者 田中敬一郎 : 2006年02月20日 09:36

トップリーグの議長なのだから稲垣氏の発言は妥当だと思います。
むしろ「早稲田が勝った!歴史的快挙だ!」と早稲田が勝てばど
の競技でもバカ騒ぎをするマスコミの体質に嫌気がさします。

大体、ラグビーの底辺拡大を願うなら協会のやり方にこそ異を唱える
べきではないでしょうか。大学ラグビーは体育科がある早稲田が大学
のブランド名もあり圧倒的に優位な上に、優秀な高校生選手が皆関東
に行ってしまう現実を変えないと、いつまでたっても関東大学万歳の
体質は変わりません。早稲田ばかりでなく、関東学院が関西出身の
選手ばかりなのは笑えました。

大学や社会人では最強を誇る関東なのに小中高校が規模や体制の面
でも関西に後れを取っているのは何故かを考えてみてください。

サッカーのように地域に根ざして草の根の活動をせず、一部の有力
校と日本代表にばかり力を入れたツケが関東と関西にねじれを生み
、一部の恵まれた環境のエリートしか脚光を浴びない現在のラグビー
は、トップリーグでも代表でも所詮外人頼みの自己満足スポーツ
にすぎないのです。

そんな状態を助長したのが、早稲田万歳主義だと思うのですが。

投稿者 匿名元関係者 : 2006年02月17日 15:14

自分はラグビーファンでもありますけど、確かに早稲田の戦いぶりは見事でした。
あそこまで良く研究していたし、フィットネスもあったし、早稲田の人も金も投資しただけのものはあったと思います。

ただ、今回の結果に関してはトヨタの事を素直に「よく頑張った」とはいえません。
ラインアウトは1997年に社会人選手権で優勝した時から下手だったけど、最後まで修正できなかったし、相手が徹底的に研究して挑んだのに対し、前半終了間際にトライを奪って簡単に勝てると思っていたのではないかと感じたくらいです。

協会の方のコメントですが、一人くらいそのような台詞を残しても良いのではないかと思います。
何も早稲田の為だけに、日本のラグビーがある訳じゃないからです。
トップリーグ立ち上げながら観客動員数に伸び悩む協会にとって、早稲田の勝利を「準決勝が満杯になる」と自身のブログに掲載した役員の方がいましたけど、未だに大学ラグビーの早稲田、明治、同志社の動員力頼りの運営から脱却しないとトップリーグはすぐ、行き詰まると思います。
こないだの入れ替え戦でも秩父宮で行われた試合は遠方から遠征してきた下位リーグのホンダヒートや九州電力のファンの方が多く、セコムやリコーのファンが非常に少なかったし、上位チームのカードでも空席が目立ちます。

また頼りだった早明戦も早稲田の一人勝ちになった影響で年々動員数が減っていて、ついにこないだの試合では4万人を割り込みました。
早稲田の一人勝ちに対し、必ずしもラグビーファンのすべてが快く思っていない事を考えなければラグビーはこのまま衰退するような気がします。

投稿者 MK : 2006年02月17日 12:55

コメントしてください



保存しますか?