浅岡真一 独断流

2005年11月21日

スポーツの原点はやはり「感謝」

Qちゃんの復活

 「ありがとう」「ありがとう」を連発する高橋尚子をテレビ画面で見ていて、思わず胸が熱くなりました。歓喜のゴールイン直後、フィールド内にいるチームQのスタッフはじめ大会関係者らの祝福、拍手の嵐に対して、高橋は感謝の言葉を送り続けていました。

 21日の東京国際女子マラソン、2年ぶりのレースに再挑戦する33歳に日本中のスポーツファンの注目が集まりました。まして直前に右ふくろはぎなど3か所の軽い肉離れを公表していたこともあって注目度はさらに増して、当然、私もテレビの前に腰を下ろし、見入っていました。

 スタートは順調、右ふくらはぎ後ろのテーピングも痛々しさを感じさせず、走りのフォームもリズムがいいと感じられました。そして36キロ手前から猛然とスパート……。まあ、レース内容についてはほとんどの方がご存知だと思いますので詳述は省きますが、さすがに真っ先にテープを切った時にはバテが表情にでていました。

 優勝を確信した時点で、いろんな思いが五体に駆け抜けていたと想像しますが疲労も何のその、真っ先に出てきた言葉が「ありがとう」。その後、お立ち台に立っても2年間の多くの支援者、この日のスタンド、沿道で声援を送り続けたファンへのお礼を強調していた姿勢にQちゃんの素晴らしさを感じました。優勝したからこそ、感謝の言葉が出てきた……と言えばそれまでですが、むしろ感謝の念が強かったからこそ、エネルギーが爆発したと受け取っています。

 このレースの前日、甲子園球場では阪神タイガースの「ファン感謝デー」が行われました。4万3千人のトラ党が集まる大盛況。いろんなイベントが行われましたが、チビっ子たちがグラウンドで選手たちと一緒にゲームに興じるシーンを目にしました。

 いつ頃からこういう交歓をするようになったか、不勉強で申し訳ないですが、かつてトラ番だった昭和の時代にはなかったことです。ファンとの距離を近くすることは歓迎すべきことで、選手たちも日ごろの応援に感謝しているから、笑顔で触れ合いをしたんでしょう。

 もう一つ、初めての試みとして現役、OBを含めた紅白戦も行われました。江夏、田淵、江本、掛布、真弓氏らのOBが縦ジマのユニフォームを着て、かつての勇姿の片鱗? を見せました。選手のコールのたびに巻き起こる大拍手、声援、こういう先達がいて、現在のタイガースがある--。伝統の重み、先輩への感謝を現役の人は改めて感じてくれた、と確信しています。

 闘争心、心身の鍛練、あくなき向上心……一流になるためには、いろんな要素を兼ね備えていなければなりませんが「感謝」の二文字もまた、重要な要素であると、2日間でつくづく再認識させられました。

 そんなスポーツの原点に思いを馳せると、現在、球界に起きている諸事には、腹立たしくなります。カネ儲け優先の企業買収、邪悪な思惑での球団支配。こういうことに関わっている方にはQちゃんの「感謝」など意に介さない人種なんでしょう。

November 21, 2005 05:08 PM

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