浅岡真一 独断流

2005年08月30日

すべての“暴力”が本当に悪なのか…

高校野球のあるべき姿

 今夏の甲子園大会は、これまで以上に熱戦が相次いで盛り上がったと思います。一方で明徳義塾が直前に出場を辞退したり、2連覇を達成した駒大苫小牧が直後に部長による部員への暴力が発覚し、危うく優勝が取り消しになる“異変”が起きました。結局、2連覇は認められ、同時に、脇村春夫・日本高野連会長名で「暴力のない高校野球を目指して」とする声明を発表しました。

 まず、最初に記しておきますが、この理想論に反対するつもりはありません。ただ、指導者の選手への度をわきまえた制裁と上級生による下級生へのイジメ、暴力行為は次元の違うことだと考えます。

 かつて、闘将・西本幸雄氏が近鉄を率いていた時、こんな話を聞いたことがあります。

 「大事な子供さんたちを親御さんから預かって、何とかいい選手にしたいという気持ちで一杯だ。また、人間としても成長していくように指導していく責任もある。だから、時によっては鉄拳を振るうこともある。それが選手たちや親御さんへの誠意だと考えているんだ」。

 オールドファンなら、西本氏の厳しい指導はよくご存知でしょうし、番記者として殴られはしなかったけどよく怒られました。この闘将の考え方を、ほとんどの高校野球の指導者がお持ちになっていると私は信じています。

 もう一つ、プロ野球記者として何百人も取材してきましたが高校時代、殴られた経験がないという人は一人としていませんでした。時代が違う……と言ってしまえばそれまでですが、果たしてそうなんでしょうか。

 無気力プレーや全力疾走、ベースカバーを怠った球児に「キミ、それはダメですよ」と語りかけるだけが本当に愛情のある指導でしょうか。大ケガをさせるような制裁は論外ですが、バットでお尻を叩くぐらいは許されていいのではないでしょうか。

 近頃、暴力事件の発覚が多くなったいるのは事実ですが、それは発覚が多くなっただけで、むしろ昔に比べれば実際には減っていると確信しています。その発覚にしても、関係者からの“タレ込み”が多いと聞きました。

 このあたりも含めて、私は近頃の家庭教育に遠因があるのではないか、と考えています。親が子供を殴らなくなったということはあちこちで耳にします。私は団塊の世代の最後ぐらいの育ちですが、ウソをついたり、人に迷惑をかけたりしたら、親に教師に殴られるのが当然、という時代でした。

 殴られることによって目覚めるということは、今でも通用します。痛みを知ることによって、逆に人に暴力を振るってはならないということも学びます。私には1男2女がいますが、時には鉄拳を用います。教師に殴られても、筋が通っていれば「ありがとうございます」という腹づもりです。下級生へのイジメなどは痛みを知らないことも一因ではないでしょうか。

 伏見工ラグビーの山口監督は愛ある鉄拳をしてきました。亡くなられた明大・島岡監督も同様です。今年全国の高校野球部員数(5月31日現在)は16万5293人と、過去最高に達しました。失礼にあたるかもしれないが、全員が品行方正、完ぺきな人格ばかりでしょうか。言葉だけでなく、適度な肉体的制裁は時には効果的だと思います。

 何も軍隊式な指導や理不尽な暴力を礼賛するつもりはないですが、余りに暴力否定ばかりが先走ると、選手と父兄の好き放題のクラブになってしまう危惧さえあります。

 いつものコラムより長くなってしまいましたが、私は“愛に溢れる”指導方法は必ずあると信じています。

 日本高野連からクレームがくるかもしれませんが、それこそ、私の独断流なんですから…

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(次回は9月6日更新予定)


August 30, 2005 11:16 AM | コメント (33) | トラックバック (0)

2005年08月23日

矢野がキーマンだ、故障せぬことを……

阪神のラストスパートへ

 久しぶりに、阪神のことを話題にしてみたいと思います。最後の広島戦を残し、ロードで2つの貯金増。もうこれは上々の成績といえるでしょう。最も懸念していたのは9日からの中日、巨人の6連戦でした。結果は3勝3敗ながら、中日との直接対決に勝ち越したことは、弾みをつけました。そして、横浜、ヤクルト戦で貯金を稼ぐことができました。

 先週でも懸念がありました。ドームの後、屋外での6連戦、残暑が厳しい中で練習をしていざゲームへ、これはかなり疲労が溜まるというのは、いろんな選手から聞いたことがあります。

 最近はどのマスコミも「死のロード」という表現を避けるようになりましたが、私も全く「死語」だと思っています。20年以上も前ならいざ知らず、ホテルの設備も年々、良くなっているし、交通手段も格段の進化が見られます。自己管理をしっかりすれば、そんなにロードは苦にならないはずです。

 もう一つ、東京、名古屋の2つだけとはいえ、ドームでの試合は選手を楽にさせていると思います。空調がしっかり利いていて、しかもビジターですから、練習開始も遅く、節制はしやすくなっています。

 私がむしろ懸念しているのは、本拠・甲子園球場に帰ってからのことです。週末が巨人戦、来週に入れば天王山となる中日3連戦が控えています。ここで残暑が厳しいと金本、矢野、桧山あたりのベテランに影響が出ないか、という危惧です。

 ロードに出る前、一時期、打線が低迷しました。いろんな原因があるでしょうが、その一因としてバテがあったと見ています。20代の赤星でさえ、フリー打撃を終えたあと「暑いワ……」とつぶやいていました。30を超えれば、疲労が蓄積するのは当然でしょう。

 中でも気になるのは、矢野です。先発投手陣は若くてイキがいいのが揃っているし、心配はないでしょう。藤川、ウィリアムス、久保田のリリーフ陣も勢いで突っ走っていくと確信しています。

 攻撃陣も層が厚いから、誰かが打てなくても他のメンバーがカバーすることでしょう。首脳陣も練習内容に細心の注意を払って、ケアしています。21日のヤクルト戦の試合前、今岡はフリー打撃を行わなかったそうです。

 もちろん、矢野に対しても配慮を十分にして、浅井を何度か先発メンバーに抜擢してきました。ただ、正念場にきて、矢野がケガ、故障すれば、阪神にとっては大打撃です。浅井は着実に成長していますが、何試合も続けてスタメン出場するのは苦しいでしょう。

 そんなことは分かっているわ! と岡田監督に叱られそうですが、疲れるゲームが続く中、矢野が最後まで出場すれば、美酒は転がり込んでくるでしょう。

 私の懸念が「杞憂」に終わることを祈るのみです。 

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August 23, 2005 10:24 AM | コメント (4) | トラックバック (1)

2005年08月16日

今こそフェアプレー精神の原点に……

高校野球の不祥事に思う

 今年も真夏の祭典、全国高校野球選手権で甲子園球場は活気を呈していた。毎年のことながら、球児のハツラツとしたプレーには目を奪われ、テレビ画面に吸い寄せられる。昼間は高校野球、夜には阪神のゲーム……すっかり“オタク生活”が身についてしまいました。

 ところで、今夏の祭典では前代未聞の異変が起きてしまった。高知代表の明徳義塾が大会2日前になって出場を辞退するというハプニングがあったことです。

 その事情については、各マスコミで大きく報じられてきましたので、皆さんはご存知だとは思いますが、もう一度、その経緯を簡単に整理してみましょう。

 高知大会の始まる1週間前に一部の部員による喫煙が発覚、馬渕監督に知らされました。同監督は当事者に1週間の謹慎を申し渡しただけで、部内だけで解決させました。

 さらに地方大会が始まる直前、上級生による暴力事件が保護者の訴えで分かり同監督を含めた学校側は、保護者に謝罪、示談金まで手渡したとのことです。問題はこの2件を県、日本高野連に報告しなかったことです。そして甲子園大会の直前、県高野連に匿名の投書があり、日本高野連などが事情聴取して、事件が公になりました。

 校長が事件を知ったのは8月1日とのことですが、野球部長と馬渕監督は責任を取って辞任しました。同情的に考えれば、一部の選手の不祥事で他の部員に連帯責任を負わせたくないとしたのでしょうが、それはモラルに反することです。今回の事件で私が一番感じたのは「フェアプレー精神の欠如」です。

 今夏、ある地方大会の決勝戦を見ていましたが、攻撃側の選手が走塁で相手野手に何度かヒジ打ちを食らわせ、遂に審判から注意を受けるシーンがありました。こんなアンフェアな行為をする選手も選手なら、これを注意しない指導者も指導者だと怒りすら覚えました。

 野球の原点とは何でしょうか。小さな白球を追って全員が、グラウンド外も含めて集中力を結集させることだと思っています。ワン・フォー・オール、オール・フォー・ワンは何もラグビーの専売特許だけではないでしょう。特に高校野球にはこれが原点になるはずです。だからこそ、ベンチに入れない選手がアルプススタンドで懸命に声援を送ることができるのです。

 フェアプレー精神と全部員の結束力。日本高野連が「教育の一環」と理念を掲げているのも、そこにあるのです。この事件を機に、選手はもちろん、指導者、学校関係者は他人事と受け取らず、原点をかみ締めてもらいたいと思います。

 最後に、子を持つ親の身として、事件を起こした高校生をきちんとケアして欲しいと願います。若者に過ちは付き物です。一度のミスでその後の人生が傷ついてしまうのは余りにも酷です。反省すべきところは反省して、厳しい練習に耐えてきた誇りは心にしまっておいてもらいたい。それには周囲の愛情が不可欠でしょう。

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August 16, 2005 10:40 AM | コメント (7) | トラックバック (2)

2005年08月09日

しっかりせんかい!誇りをなくしたんか…

巨人の低迷

 先週は阪神の長期ロードについて勝ち越しが最低ラインと書きましたが、残念ながら2勝3敗に終わりました。今週は最初の天王山・中日との3連戦、さらに巨人との3連戦が控えています。その総括は来週以降にするつもりですが、今回は体たらくな巨人(かなりきつい表現ですが)について触れてみたいと思います。

 現在、広島と最下位争い、上昇の兆しは全く見えてきません。このままなら、巨人のファン離れはさらに増すのではないか。情けなく、腹立たしく、憤りさえ覚えている今日この頃です。

 プロ野球が誕生して70年、ここまで国民的娯楽になったのには、多くの功労者がいました。先達には大いに敬意を払っているつもりですが、中でも長島茂雄氏が1958年に巨人に入団、翌年、王貞治氏が加わりいわゆる“ON時代”を築いたことが今の隆盛の基盤を作ったと見ています。

 ふと幼少時代を思い出しました。内風呂などない貧乏生活。銭湯に通う日々でしたが、下駄箱、脱衣場で「3番」が空いているのが小さな楽しみでした。同世代の方々には、そんな経験をされた人もいらっしゃるのではないかと思います。

 そしてテレビ中継。野球は巨人戦がほとんど。昼間は公園で野球に興じ、夜になれば勉強そっちのけで、ナイトゲームに見入っていたものです。地方の方に巨人ファンが増えていったのも巨人中心のテレビ中継があったからこそだと受け取っています。

 私は大学こそ東京にいきましたが、大阪市内で生まれ育ち、就職も大阪日刊スポーツにしました。根っからの大阪人と自認していますし、早大時代も大阪弁で通し、標準語、江戸っ子弁などクソ食らえ!と思ってきました。かつて関西にはパで南海、阪急、近鉄がセで阪神と4チームがあり、そう、高校に入る頃からは打倒巨人派に転向したのです。

 トラ番記者になったのは83年から、巨人に勝った時には「勝った、勝った、又勝った、弱い巨人に又勝った」と甲子園球場内外、甲子園駅、梅田駅でファンが絶叫するのを数多く聞きました。この心理はいかなるものか。私は「弱い巨人」とは「強い巨人」という意味だと理解してきました。王者に勝つことでナニワの人々は胸のつかえがおり、満足感がこみ上げてきたのでしょう。

 今年の不振は私自身、取材していないので“独断”で分析するなら(1)先発陣を主に投手陣の質量不足(2)打線が「線」にならず、個々が勝手に打っているの2つが最大の要因だと見ています。その責任は首脳陣、フロント、さらに選手にもあると思います。

 ここまで、巨人にこだわるのは、このチームが強くないとプロ野球の魅力が薄らぐと考えるからです。視聴率が、読売新聞の部数が落ちようが、私の知ったことではないですが、球界の活気に水を差すのは哀しいことです。阪神ファンの方でも歯がゆさを感じられておられるのではないでしょうか。

 最後に記したいのは、チームが貧窮状態なのに、球界改革のリーダーにまだしがみつくのか、ということです。「球界の盟主」と主張するなら、その前にすることがあるでしょう。

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August 9, 2005 12:22 PM | コメント (26) | トラックバック (2)

2005年08月02日

さあ勢い付けろ! 序盤戦

長期ロード

 勝負事は勝ったり、負けたりするのが常。プロ野球の世界も当然で、先週末の阪神がそのいい例でした。甲子園でのヤクルト3連戦、土曜日は先発ブラウンが早々と打ち込まれ大敗。日曜日はあの絶対的なセットアッパー藤川が伏兵リグスに一発を浴びて連敗してしまいました。

 15カードぶりの負け越し。しかし、14カードも負け越してないというのはすごいことで、2か月以上も連敗がなかったということです。投打のバランスがいかにすばらしかったか、という証明でもあります。

 いい日旅立ち……とはならなかったけれど、8月に入り、長期ロードに旅立ちました(16~18日は大阪ドームで横浜戦)。その序盤、横浜との3連戦、広島との2連戦は再ダッシュをかけるための重要な戦いになると思っています。

 もちろん、どんなゲームでも大事なのは当たり前で今週末には結果が出ているでしょうが、それは2つの理由からです。

 一つは、両チームともストップ・ザ・タイガースのための先発投手を起用してくるだろうと予測しているからです。横浜は恐らく門倉、三浦、土肥とくるでしょう。優勝争いはムリとしても牛島監督は3位に付けているのですから、首位いじめに躍起になってくるでしょう。

 最下位に低迷している広島にしても思いは同じ。多分、エース黒田を温存してぶつけてくるのではないか、と考えています。

 二つ目は、9日から始まる中日3連戦に弾みをつけたいということです。この3試合は阪神が優勝するための第一関門だととらえています。今年は6勝6敗と五分に戦って、かなりコンプレックスが薄れたとは思いますが、7月中旬からの大連勝で、末時点では3ゲーム差に迫ってきました。

 落合監督も選手も“ソノ気”になってきた感があります。先発投手も川上、山本昌、野口あたりを用意してくることでしょう。これの好投手を打ち崩さないと勝機を見つけ出せないでしょう。

 7月中旬あたりから、打線は下降線を描いています。私は最大の原因は疲れだと見ています。金本、矢野あたりのベテランには特に感じます。やはり夏場に入るとこれは致し方のないことで、ホテル生活でスッキリと体調回復を図って欲しいと思います。

 阪神は交流戦半ばから首位に躍りでましたが、それ以前は中日が独走するのではないかという気配さえありました。阪神が上昇気流に乗り、中日がずっこけたのが最大8ゲーム差をつけることになったのです。でも、過去は振り返ってられません。正念場が訪れているのです。

 一つ、阪神ファンにはイヤなデータがあるのです。中日はセ5球団に対して6割7分強の勝率を残しています。一方の阪神は6割を切っています。その意味でも直接対決で叩かないといけないのです。

 その前哨戦となる5試合、最低でも勝ち越しが必要条件です。

 ◆記録は8月1日現在です。

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August 2, 2005 11:42 AM | コメント (6) | トラックバック (2)