浅岡真一 独断流

2005年06月28日

抜本的改正は望み薄、だからこそ……

球界改革

 先週の私のコラムに対して、反論というか、ご意見が寄せられました。前回は遅々として進まないドラフト制度などの改革に対して憂慮しながら、ファンの世論の声を期待したい……としました。

 この“訴え”について、ある方から「ファンの声を当てにし過ぎ。こんなやり方していれば、どんなにいい試合をしても(ファンは)そっぽを向くだけ。さっさと巨人のオーナーを追放すべき。ケジメもつけずみっともない」という趣旨のメールでした。

 このご意見に私なりの考えを記したいと思います。まず「当てにし過ぎ」という点ですが、私の表現が拙かったかもしれませんが、決して当てにしたのではなく、我々マスメディアが論陣を張るより、ファンの声が盛り上がる方が威力があり、効果的だと主張したかったのです。

 何度か書きましたが、昨年の近鉄の合併問題に対して、抗議の声が上がり、選手会は日本プロ野球史上初のストを敢行しました。このストを多くのファンが支持したことが、2リーグ制堅持、楽天の新規参入という流れを作ったのです。もし、ファンの支持、もしくは止む無しという声がなかったら、選手会は孤立して、今シーズンのような形態になっていなかっただろう、と見ています。

 交流戦についても同様です。終盤近く、新聞、テレビはこぞってファンのアンケートを実施しました。私の知る限り「面白かった」という感想が多く、継続を希望していました。一部の球団は廃止したいと思っていたようですが、これだけ機運が高まれば異論を唱えることが出来ず、6月21日の実行委員会で継続が決定しました。これは“プロ野球ファンの勝利”です。

 もう一つ「巨人のオーナー」と書かれたのは恐らく巨人の会長に就任した渡辺恒雄氏を指しておられると思いますが、1企業の人事に口を挟めないのは基本として、かなり釈然としないものを感じます。それ以上に憤りを覚えるのは、多くの球団首脳が賛意を表したことです。パ・リーグ会長までが「ご指導をお願いしたい」とコメントしたのはあきれました。

 渡辺会長が球界改革の主導権を握ろうとしているのは明白でしょう。だから「追放しろ」と意見を寄せられたのでしょうが、他の11球団はどうも弱腰で、巨人を敵に回したくない--というムードに包まれています。

 その流れの中でのドラフト制改革、私の取材では自由枠を1つ残し、後は抽選、もしくはウエーバー制にするということで内定しているとのことです。結局、部分改革か、抜本策は先送りなのか……失望しか湧いてきません。

 改革元年のスローガンを掲げながら、お茶を濁す改正、パ・リーグの球団もだらしないな、厳しく記します。7月初旬に2度、実行委が開かれ、その後のオーナー会議で承認される見込みです。

 それと、コミッショナーの力のなさも強く批判したいですね。

 ※このコーナーへの疑問、ご意見、反論を募っています。

June 28, 2005 12:28 PM | コメント (3) | トラックバック (1)

2005年06月21日

決まったのは“不平等条約”だけか

腰くだけの実行委

 先週は「遅々として……」という書き出しでプロ野球界の構造改革のことについて言及しました。それだけに20日のプロ野球実行委員会を注目していたのですが、はっきり言って失望しました。

 改革の主なものは(1)ドラフト制度(2)FA制度(3)選手の年俸抑制(4)2リーグ制(5)交流戦などと記しましたが、これらのうち、はっきりとした方向性が出たのは、交流戦の継続だけでした。これは、一部のセの球団が異論を唱えたものの、野球ファンの多くの支持を受けたため、止むを得ず--という事情もあったようです。

 もう一つ、ドラフトに関しては4項目の「倫理行動宣言」が発表されました。新人選手獲得活動において利益供与は一切行わない--、要するに“裏金”を使わないということで(他の3項目の詳細は21日付紙面を参照)、フェアプレー精神を唱っているようですが、こんなことは当たり前のことで、今さら何を宣言しているのか、というのが実感です。さらに、違反の疑いがある場合、調査するとしていますが、その疑いをどう見つけだすか、実質的には不可能に近いでしょう。プロ球界の憲法である野球協約に条文化しないというのも中途半端です。

 そもそもドラフト制の改革はそんな瑣末事を宣言することではないと思います。現在の自由枠2を堅持していくのか、新たなシステムを確立するのか。私は一貫して完全ウエーバー制を訴えています。先週にその理由を記したので詳しくは省きますが、裏金撤廃による球団の健全経営と戦力均衡を目指すにはそれがベストでしょう。

 この最優先課題は各球団の思惑で棚上げされた挙げ句、何と来年3月に開催される国別対抗戦(ワールド・ベースボール・クラッシク)へ参加する方針を固めました。3週前にこのコーナーでテーマにしたことですが、この構想そのものは世界の野球界の発展につながると思いますが、問題は利益配分と時期です。

 メジャーの機構と選手会の取り分が17.5で日本は7%、それにスポンサーの選択権は米国にあるというのは、21日付の本紙で表現していたように「不平等条約」です。ましてシーズン開幕前に行われるとなれば、選手のコンディション、ペナントレースの妙味に大きな影響があります。

 こんな「不平等条約」はあっさりと受け入れて、球界改革は後回し。一部の球団の利益を重んじているとしか思えません。

 7月初旬に実行委員会、オーナー会議が開かれる予定ですが、この状況では、現行で逃げ切り--ということになりかねません。ここは昨年の近鉄合併騒動に端を発したファンの声を大いに期待したいと思っています。現行に賛成の方が多いなら仕方ありませんが、そうではないと思います。交流戦継続の基盤になったように、世論の昂揚を願っています。

 ※このコーナーへの疑問、ご意見、反論を募っています。

June 21, 2005 12:34 PM | コメント (0) | トラックバック (0)

2005年06月14日

急ぐべき、もう猶予はない!

構造改革

 遅々として……というのはこういう状況を指すのでしょう。プロ野球界の構造改革のことです。

 昨年の近鉄の合併騒動、選手会の日本初のストライキ、さらにアマ選手への裏金授受が発覚して、制度改革の機運がファンを巻き込んで起きました。その主なものは(1)ドラフト制度(2)FA制度(3)選手の年俸抑制(4)2リーグ制(5)交流戦などです。

 このうち交流戦はもう間もなく終了しますが、ファンにも好評で、試合数は検討されるとして来年も実施される方向に進んでいるようです。しかし、他の案件については、何ら具体案が示されていません。さる5月25日に行われたプロ野球実行委員会で話し合いが行われましたが、全く結論は出ず。今月20日に実行委員会が開かれますが、ここで何らかの方向性を出さなければ、もう時間切れになってしまうのではないか、と危惧しています。

 特に急ぐべきはドラフト制です。先だって朝日新聞社が12球団にアンケートを求めた特集を組んでいましたが、その記事でも12球団の思惑にはかなり隔たりがあるようです。もう秋のドラフト会議まで5か月しかありません。

 私は完全ウエーバー制にすべきだと考えています。昨秋の金銭授受が発覚したあと、週刊誌などで規定の契約金の上限(1億5千万=出来高含む)に加えたいわゆる“裏金”が横行していたと暴露されました。私もその種の噂は何度もききました。証拠がないのであえて噂と記しまたが「A選手は10億」「いや15億ぐらいかかったらしいよ」と多くの球界関係者から聞きました。

 こういうことがまかり通るようでは健全な共存共栄は成りたちません。(4)と絡んでくるのですが、赤字球団は金満球団に勝てることはありません。完全ウエーバーにして、チェック機関を設けることがベスト。よく「企業努力」という言葉を使うチームがあります。確かにファン獲得やサービスについては当てはまるかもしれませんが、それとドラフト制度は異次元でしょう。

 というのも、外国人獲得で資金豊富な球団が優位に立てるのですから、ルールを遵守しなければ、不公平が生じるのは当然です。もともと1965年に導入されたのは契約金抑制、戦力均衡が目的だったのですから、原点に戻るのが道理のはずです。

 これが実現すればFA制度の改革もできるでしょう。現在は取得年限が9年ですが、これを短縮することもいいと思います。もちろん、選手会との意思一致が必要ですが……。

 選手会と言えば、年俸抑制についてよく話し合っていかなければならないでしょう。大リーグでは球団年俸総額が基準額を超えた場合、課徴金が科せられる、通称“ぜいたく税”が03年から導入されました。この制度も参考にするべきでしょう。

 いずれにしても、まずドラフト制度の改革が最優先。20日の実行委員会を注目しています。

June 14, 2005 12:41 PM | コメント (1) | トラックバック (1)

2005年06月07日

審判は大事な進行役、毅然とせよ!

仰木監督の退場

 それは、異様な光景だった。

 オリックスが守備側に回っているのに、広島・ラロッカが右翼フェンス際でファンと握手を繰り返していた。野村はボールにサインしてスタンドに投げ入れていた。オリックス・北川もスタンドから投げ入れられた帽子やボールにサインをして投げ返していた。

 4日の広島-オリックス戦。私はデーゲームの阪神-ロッテ戦の取材を終えて自宅に帰り、ケーブルテレビでゲームを見ていました。トラブルはチャンネルを切り替えた直前に起きていたが、延々と続く仰木監督の抗議に対して審判の優柔不断さに怒りが込み上げてきました。

 翌日の本紙でも大きく取り上げていましたが、もう一度トラブル発生の状況を再現してみましょう。

 3-0とバファローズがリードしていた8回裏、広島が反撃に出て、代打・浅井がタイムリーを放ち、2点差でなお2死一、二塁。ここで仰木監督が土山球審に歩み寄り、2、3言、声をかけた。その内容が同監督と球審では、全く食い違った。

 球審は2番手の加藤に代えて菊地原と告げられたとし、場内アナウンスした。しかし仰木監督は「そんなことは言ってない。浅井に打たれる前の球はストライクじゃないか、と言っただけ」と交代を拒否した。

 ルール上では一旦、コールしたら、交代させなければならない。しかし、4人の審判団は“説得”に手間取り、スタンドのファンはほったらかし。遂に44分もかかってから、仰木監督を退場処分にした。

 不手際は二つ。まず、今年の監督会議で5分以上、抗議をしたら退場にすると確認されているのに、ダラダラと説得したこと。もう一つは最後に「仰木監督を退場にします」としか球審が場内アナウンスをしなかったこと。本来なら「仰木監督は告げていないと主張しましたが、私ははっきりと菊地原と聞きました。だから、遅延行為として、退場にします」と言うべき。でないと1万2658の観客には状況がのみ込めないでしょう。余りにもファンを無視した退場劇でした。

 救いは、冒頭に記した“異様な光景”でした。両軍の選手がスタンドのファンを気遣い、即興でサービスをしたことです。昨年の近鉄合併騒動を契機にして、プロ野球選手はファンをもっと大事にしていかなければ……という意識が高まったと思っています。私はテレビを見ていて「健気」という言語が浮かびました。

 その健気さに比べて審判団は……。翌5日、セ会長から仰木監督と4審判に厳重注意処分を科しましたが、観客やテレビ視聴者にはムダな時間は返ってきません。

 審判とは単に判定をするだけが職務ではなく、スムーズにゲームを進行させる義務があります。だから、いろんな権限も与えられている訳です。その義務を果たしてこそ、ファンの満足度を増すのです。

 かつて二出川審判が「私がルールブックだ」と名セリフを吐きました。二出川さんも天国で嘆いていられるんではないか、とも感じました。

 権限を振りかざすのではなく“陰の演出者”に徹してもらいたい。もう今回のような失態を繰り返さないよう、4人だけではなく全審判の猛省を促したいものです。

June 7, 2005 12:45 PM | コメント (1) | トラックバック (2)