2005年05月31日
開催は歓迎だが米国主導では……
野球W杯
プロ野球までもか……というのが、真っ先に感じました。さる5月12日(日本時間)に大リーグ機構(MLB)と大リーグ選手会(MLBP)が発表したワールド・ベースボール・クラシック(以下野球W杯と略)についてです。
ご存知の方もいらっしゃるでしょうが、まずその概要を記します。参加は16カ国・地域で、4カ国ずつ4グループで1次リーグを行い、各組の2位までが2次リーグに進み、準決勝、決勝を行うというものです。米国案によると日本は韓国、台湾、中国と1次リーグを戦うことになっています。
構想としては素晴らしいことだと思います。野球発祥の地としてのプライドからでしょう、これまで「ワールドシリーズ」と名付けてMLBのチャンピオンを決めてきましたが、こういう大きな大会をつくってこそワールドチャンピオンと呼べるでしょう。
私は五輪に一部のプロ野球選手を派遣するのには反対というか、無意味だと考えています。先のアテネでの長嶋ジャパンはほぼプロでメンバーが構成されていました。反対の理由は2点でまず、社会人、大学生などのアマの最高峰、最大目標となるのが五輪であるべきだと考えるからです。かつてロサンゼルス大会で金メダルを獲得した時はそういうメンバー構成でした。
2つ目は米国がメジャーの有力選手を派遣しておらず、いわゆる「世界野球選手権」の形になっていないからです。だからこそ、今回の野球W杯はグッドアイデアだと思ったのですが、米国側の案は大きな問題点が2つあります。
一つは開催時期。案では3月となっていますが、ペナントレースの開幕前に主力選手が欠けては、各チームの調整に大きな影響が出るし、プロ野球ファンにとっても、シーズンへ入る球趣が薄れる懸念があります。実際、異論を唱える監督が多いです。
さらに利益分配が米国有利になっていることです。MLBとMLBPが17.5%、日本が7%となっており、アジア予選のスポンサーの選択権は米国側がある、赤字が出た場合は各国で負担する……等々不平等があることです。
当然、各球団も問題視してさる25日の実行委員会でも原案は受け入れられないという方向性を示し、今後は質問と提案、さらに労組日本プロ野球選手会の意見書などをまとめた文書を米国側に提出し、条件改善の交渉をしていくことになりました。
ここは、各球団、コミッショナーに大踏ん張りしてもらいたいし、野球ファンも世論を盛り上げてほしいと思っています。昨年の近鉄合併問題の時のように……。
ここで米国案を受け入れてしまえば、慣例となり以後も米国主導で大会が運営されることになるでしょう。
イラク自衛隊派遣では米国の言いなりになり、牛肉輸入問題でも圧力をかけられています。別にアメリカを敵視してはいませんが、せめて野球ぐらいは、日本の意地と誇りを全面に見せてほしいと願っています。
May 31, 2005 12:48 PM | コメント (0) | トラックバック (4)
2005年05月24日
岡田監督が王監督に勝った!?
会心の勝ち越し
先週のコラムでは西武、ソフトバンクと続く6連戦を一つのヤマ場ととらえて、3勝3敗なら御の字……と書きましたが、私の予想をはるかに上回る強さで4勝2敗。それも開幕投手、すなわちエースの松坂、和田を攻略したのですから(その前の楽天・岩隈も同様)阪神ファンにとっては留飲が下がる思いだったでしょう。
投打のバランスがかみ合い、リリーフ陣が踏ん張ってこその勝ち越しでしたが、もう一つ、岡田監督のさい配が冴え渡っていたことも印象に残りました。
特にソフトバンクとの第3戦。先発・能見が不調だと早く見切り江草を投入、さらに攻撃面では左のフェリシアーノに対して桧山をそのまま打席に立たせて決勝点となる右前打を引き出し、8回、ダメ押しが欲しい場面では、このゲーム2安打を放っている藤本に代えて“切り札”浜中を起用、これがズバリと当たって浜中が2点三塁打、勝利をほぼ決定づけました。
このゲームの大きなポイントは本紙の1面で大きく取り上げていたように、3回、1点差に追い上げられてなお無死満塁で江草を投入した場面でしょう。このところの好調さを買っての起用で「ゲッツーを取れ」とベンチは指示を出し、内野陣もその守備体形を取りました。結果はベンチの思惑通りにカブレラは遊ゴロ併殺。同点に止め、ビッグイニングにはさせませんでした。
ゲッツーを取れとは3年目の左腕には過酷な注文でそれを果たした江草は素晴らしいの一語で、このゲームの最大の功労者でしょう。この場面と比較して不可解だったのは、3回のソフトバンクの守り。無死から赤星に三塁打を浴びると打者・藤本に対して、内野は前進守備を敷きました。結果は藤本が中前へタイムリーを放ち、結果的に金本の2ランを誘発することになりました。
序盤で1点リード、しかも走者が赤星なのですから「1点なら、仕方なかばい」と考えるのが、普通の戦術だと思います。実際、前進していなければ二塁ゴロに終わっていたと見ました。私はそれなりにパ・リーグの野球も見ているつもりですが、ソフトバンクがこのような作戦を取ったのは珍しいことです。
野球というスポーツは不思議なもので同点に追いついて走者なし、となるといわゆる“仕切り直し”になって、なかなか追加点が奪えないものです。私のネット裏の経験からしてもそうで、岡田監督が3回に同点にされてもいい(三塁走者の生還は止む無し)という守備隊形を取らせたのとは余りに対照的でした。2死三塁と場面は変わっては、なかなかタイムリーが出ないのがパターンなのです。それが「ゲームの流れ」というものです。
1点を恐れて大量点を与えてしまう、1点で済ましてまた攻撃態勢を整える--この違いが3回の攻防にくっきり表れていたと思いますし、そこが野球の妙味なんでしょう。
あえてソフトバンクの焦り……と厳しい表現をさせてもらいますが、逆に言えば1、2戦を終えて阪神を、阪神打線を恐れ過ぎてしまった、とも言えるかもしれません。
May 24, 2005 12:51 PM | コメント (0) | トラックバック (0)
2005年05月17日
阪神、どんな戦い方をするか興味津々
交流戦の正念場
いよいよセ・リーグとパ・リーグの交流戦も佳境に入ってきました。予想通りというか、熱戦が各地で繰り広げられ、プロ野球ファンもかなり楽しんでいる感が深いものです。紆余曲折を経ながら、実現に漕ぎ着けたことを、私も心底、喜んでいます。
ところで阪神は15日までの9試合で3つの勝ち越し、まあ楽天に3連勝したのが大きく、貯金も4つに伸ばしました。さて17日からの6連戦、これは厳しい戦いになりそうです。西武、ソフトバンク、投打ともにバランスが取れていて、負け越したロッテ以上に手強い相手です。
だが、一方でこの6連戦は阪神の現状の実力を測る試金石になると、非常に興味深いと思っています。エース級相手にどんな攻略法をしていくか、強力打線をどう抑えていくか、岡田監督のさい配、選手起用はファンにとっても注目されるところでしょう。
戦術も当然、変わってくると思います。
例えば楽天との3連戦。1、3戦目と初回から送りバントをするなど、バントを多用しました。先手を奪えば楽天打線が弱いので、ゲームの主導権を取れると考えたからです。さらに、先発投手を早く引きずり降ろせば、楽天の救援陣は質がかなり落ちるので追加点を奪える可能性が高く、実際、そういうゲーム展開になりました。
しかし、西武、ソフトバンク相手には“小刻み作戦”だけでは通用しないと見ています。両チームとも打線に破壊力があり、ビッグイニングを作ることができます。現に西武は対巨人戦(14日)、延長戦で敗れはしましたが、5点差から同点に追いつきました。阪神のリリーフ勢はリーグ随一ですが、細心の注意が必要でしょう。特に四死球とエラー、これは大量失点につながるから、細心かつ大胆に攻めて欲しいと思っています。
あと、願えるならばビッグイニングを作って欲しいということです。15日に岩隈をKOした(6回に6点)ようにつながりを大切にする攻撃を各打者に望んでいます。
その点、正田打撃コーチの指示は適確だと思っています。彼に聞いたところ「配球とかをあまり気にせず、自分のバッティングをしたらいい」と選手に言っているそうです。確かにデータは十分に集めて、選手も各投手の特徴をインプットしていますが、打席に立って余りにデータにとらわれ過ぎると自分のスイングができなくなる……ということでしょう。無心で感性で本能で打て!とも言い換えられるのではないでしょうか。
岡田監督はこの交流戦の前に「ウチの野球をやるしかない」と語っていました。いわゆる普段着野球。このあたりも正田コーチの指示と共通するのを感じています。
さて、どんな戦績になるか。私は勝ち越したら言うことなし。3勝3敗なら御の字。2勝4敗でも止む無し。まだ貯金が2あるわけですから。ただ、1勝5敗だけは避けてもらいたい。当然貯金がなくなるわけですから。私の考えは甘すぎるでしょうか?
May 17, 2005 12:55 PM | コメント (0) | トラックバック (2)
2005年05月10日
阪神、好発進したけれど…
セ・パ交流戦
いよいよセ・リーグとパ・リーグの交流戦が始まりました。これまではオールスターか日本シリーズしか見られない投手対打者の対戦は実に“球趣が深い”と感じました。
例えば8日の楽天対巨人戦。パを代表するエース岩隈との対決。強力打線を相手に表情にはあまり出さずとも絶対に打たせまいという岩隈の内なる闘志を感じました。とりわけ、かつて猛牛軍団の僚友だったローズや清原との力勝負は胸をワクワクさせてくれました。
マスメディアも日本プロ野球始まって以来の画期的な試みを大きく扱い、プロ野球ファンも大いに歓迎していることを肌で感じさせていただきました。
もう多くの方がご存知だろうとは思いますが、交流戦は36試合、ペナントレースの序盤から中盤へかけて約1カ月半、どのチームにとっても重要な時期に行われるゲーム。だからこそ、オープン戦とは違って、真剣勝負の醍醐味を味わうことができるのでしょう。
さて、リーグの優勝争いにもポイントに関わる交流戦、阪神にはかなりのハンディがあると言わざるを得ません。それは、猛虎が人気チームであるという点で、巨人にもそれは共通することです。
近鉄の担当として記者生活をスタートした私は、パのセ・リーグに対する対抗意識を身にしみて感じてきました。いつのまにか「人気のセ、実力のパリーグ」というフレーズが使われ出しましたが、恐らく先達がそのムードを痛感して表現したのでしょう。
一例を挙げましょう。近鉄のかつての監督であった西本幸雄氏はオープン戦で阪神と対戦する時は「掛布に打たせるな!」とバッテリーに厳命をしました。当時の阪神の大スター、ヒットはもちろん、ホームランでも打たれようなら、関西のスポーツ紙は大きく1面で取り上げ、近鉄は引き立て役に甘んじてしまう屈辱を味わうからです。
パひと筋の西本さんならではで、余談として付け加えるなら、2リーグ分立直後のパのチームには共通の思いがあったようです。1950年の第1回日本シリーズ、毎日オリオンズが松竹ロビンスを下しましたが、その当時現役時代だった氏はアドレナリンが噴き出してきた……と回顧していました。
今年の場合は巨人が低迷してるから、なおのこと阪神が標的にされることは必定。オリックス仰木監督はシーズン前から「特別ローテーションを組もうかな」と関西決戦に炎を燃やしていました。
取りあえず緒戦の日本ハム戦には勝ち越してホッとひと安堵していますが、これからも苦難のゲームが続いていくと思います。タイガースには2つ目の正念場にさしかかったと私は見ています。
まあ、一つの安心材料は岡田監督が「相手がどうのこうのより、ウチの野球をやるしかない」と語っていたことです。リキみ、気負いを指揮官が持っていなければ、選手にも敏感に伝わるはずです。
データを盲信することなく、普段着野球をやっていけば結果は“吉”に出るだろうと思いながら、1カ月余のネット裏生活を過ごして行きたいと考えています。
May 10, 2005 01:00 PM | コメント (0) | トラックバック (0)
2005年05月03日
うろたえるな、浮き足立つな!
大丈夫だとは思うけど
昨週末は気が重くなりました。阪神ファンも同様でしょう。中日に信じられない逆転負けを喫した後、敵地、神宮でヤクルトに3連敗、ついに貯金を使い果たしてしまいました。
やはり、28日の敗戦の後遺症が残っていたのでしょう。実際、30年近く、野球を見てきて、あんなゲームは滅多にありませんでした。残り3イニングで7点差、セ随一の中継ぎ、抑え陣を誇っているタイガースが8点も取られるなんて、考えもしませんでした。
中日も負けゲームを覚悟して、2番手・久本を引っ張り、谷繁を休ませるべく、柳沢にキャッチボールをさせていたぐらいですからね。極秘情報? なんですが、緒戦(26日)を制したあと、落合監督は2敗してもいい……と考えていたようです。余裕たっぷり、その気楽さが大逆転劇を生んだのかもしれません。
ヤクルト戦を見ていて、投手陣も攻撃陣も自分が何とかしなければ……というリキみが見受けられました。難しいことですが、ショックを受けた時こそ、気持ちを切り替えて、平常心で臨むのが特効薬なのです。
貯金がなくなったといってもまだ5割。十分に優勝争いに加わっていける立場にいます。3日からは本拠・甲子園に戻って出直し。多くの虎党の声援を背に切り替えてもらいたいと思っています。
幸いと言っていいのは、首脳陣がうろたえていない点です。これは非常に心強いことです。
例えば27日の中日戦。4回に円陣を組みました。正田コーチは「1つ負けたぐらいで何をおたおたしてんのや。各自、自分のバッティングを心掛けたらいいんや!」という意味のゲキを飛ばしたとのことです。
前日、天敵・山本昌に抑えられ意気消沈しているムードを感じたから、早い回に全員集合をかけたのでしょう。その効果が表れたのか、その回、3点を入れて2点差を逆転、次の回に矢野の2ランで勝ちゲームに結びつけました。
さらに岡田監督。28日の大逆転負けのゲーム後取材でも井川の不甲斐なさは指摘しながらも「ミスがなあ……」と言いつつ「まあ、みんな一生懸命やっているんやけどな」に止どめ、赤星の落球、沖原の手痛いエラーについては、責めることはしませんでした。そして「野球は怖い。この経験をこれから生かしてくれたら……」と結んでプレスルームを後にしました。
もう一つ、投手陣の起用方法です。先発陣はシーズン当初、100~120球をメドに交代させる方針が確立しています。また、藤川、ウィリアムス、久保田の3人は基本的にリードされている状況では投入しないということも岡田監督、久保、中西両コーチの間で確認されています。
「まだ、そんなにしゃにむになる時期じゃあないですよ」と中西コーチ。7月、オールスター後には方針変更があるかもしれませんが、トップギアに入れるのはまだ早い、というのは146試合をにらんだ地に足つけた戦略でしょう。
このあたりの首脳陣の“ゆとり”を選手がきちんと理解すれば、逆襲は十分可能だと思っています。
May 3, 2005 01:03 PM | コメント (0) | トラックバック (0)
