2007年12月22日
トヨタ・佐竹に足りなかったもの
10人目のプロ野球選手だった。トヨタ自動車・佐竹功年投手(24)が早大に入学した02年から今年の服部泰卓投手(25=駒大)まで10人ものチームメートがプロへ巣立っていった。150キロ右腕は大学時代に続き今年も指名漏れ。ドラフト前の「今年はたぶん無いと思います」という予感が的中した。その根拠とは?
「これまでたくさんのプロ入りを見てきました。その人たちは他の選手と考え方や気持ちの持ち様が違うんです。客観的に自分を見つめると僕にはまだそれらが足りない」。
佐竹は上手く言葉にできないと前置きし、「芯があるかないか。もう1つは向上心。プロに行った人たちはそういうものが一枚上です」と話した。例えば、1学年先輩の田中浩康は04年ドラフトにおいて自由枠でヤクルト入りした。だが、佐竹の周りでは田中の技術では1軍レベルは難しいという声が多く、むしろ1年後に同球団に入った武内晋一のほうが評価は上だったそうだ。「僕は田中さんはやれると思いました。田中さんにはまさに芯の強さがあって練習する人。意識がすごく高かった」。
案の定、田中はシーズンを重ねるごとに出場機会を増やした。今季は132試合に出場、3割近い数字を残しベストナインを獲得している。田中の活躍ぶりに佐竹は「やっぱり」と思った。
当の本人は今年入社2年目、つまりドラフト解禁の大事な年だった。「でも…、1人冷めていて気持ちも入っていなかったです」。夏に調子を落とす癖が再発した。フォームを崩し、球速も130キロ台に落ちた。大学時代から合わせて3回目の出来事。春先の好調に満足して油断することが原因だった。「ようやく自分の甘さに気づきました(苦笑)。やっぱり向上心の無さがプロへ行った人たちとの差なんだと思った」。
さらに、エース服部と一緒にいてより痛感した。「服部さんは先発した試合は8回1失点くらいしかしてない。あの安定感は凄いです。それでも“まだまだだよ”ともっと上を見ている。自分とは全然違う」。
残暑の厳しい9、10月。佐竹は技術よりも何よりも向上心だけは見失わないよう過ごした。恐らく今から結果を求めてもプロは難しい。それならば反省を生かした来年につながるピッチングができれば、と。
11月の日本選手権、準々決勝で先発。全国大会の先発は実に1年ぶりだった。最速145キロの表示に物足りなさを感じた人も多いかもしれないが、あの夏を考えれば大きな復活だった。圧巻は決勝戦だ。佐竹は1点ビハインドで迎えた6回1死一、三塁のピンチでマウンドに登った。代打から空振り三振、そして8番・三森大輔(25=関東学院大)からは146キロのストレートで見逃し三振を奪った。7回も3者凡退に抑え、4点を挙げた8回の逆転劇、日本一を呼び込んだ。
佐竹にプロについて聞いてみた。その答えは大学時代と同じままだった。「体が小さいことを理由に投手を辞めてしまう現状を何とかしたいんです。自分のような体型でも150キロが投げられることを教えたい」。
プロ野球選手が与える夢とはホームランやスーパープレーだけではない。恵まれない体格など、あらゆる困難に立ち向かう勇気もそうだ。野球少年たちは169センチの身長で140キロ台後半を連発する姿を見ればきっと目を輝かせるだろう。理想の選手像を語るドラフト候補は多い。しかし、佐竹は現実に自分が出来ることをしっかり考えている。来年は25歳。同じ過ちを繰り返さなければ必ずプロはある。それを信じて08年を戦うつもりでいる。
◆佐竹功年(さたけ・かつとし)1983年(昭58)10月14日生まれ、香川県出身。小学3年のときに野球を始め、土庄中では捕手で県大会準優勝。土庄高では2年夏からエースで3年春に四国大会に出場して注目されるようになる。早大でも1年春からリーグ戦に登板し、4年春には胴上げ投手にもなった。大学通算4勝4敗。トヨタ自動車入社後、先発やリリーフにフル回転。優勝した日本選手権では決勝戦で中継ぎ登板し試合の流れを引き寄せる好投を見せた。169センチ、75キロ。右投げ右打ち。
○…意識の高い早大出身選手といえば青木宣親(ヤクルト)を思い出す。大学4年の秋、リーグ戦開幕前にケガをして戦列を離れた。故障した日は寮で泣きじゃくっていたという。ある日、ベンチに座って練習を見学していた青木は「我慢できねえ!」と周囲の反対を押し切って練習に参加してしまった。リーグ戦で結果は残せなかったが、その気持ちを買った当時の野村徹監督は青木を起用し続けた。
December 22, 2007 03:25 PM
コメント
お久しぶりでございます。
この夏は、「エヌスク」の方でたいへんお世話になりました。
フリーアドレスを取りましたのでこちらの方にお邪魔いたし
ました。
こちらの内容は、やや毛色が違うので全てにコメントをという
訳にはいかないかなぁ~。。。と思っておりますが、今後、
折を見て参加させていただければと思います。
「佐竹投手」
実は、私が少し6大学野球から離れていた時の早大在籍選手。
したがって、当時の記憶は何もなく、矢島さんにご教授頂い
た選手です。
色々と課題はあるのでしょうが、最善を尽くして頑張って
欲しいですね!母校後輩ということもありますが、来年の
活躍を大いに期待したいです。
余談ですが、先日、私もエヌスクの方は一区切りさせてもらい
ました。(日記につきましては)
今後ともよろしくお願いいたします。
投稿者 highman : 2007年12月22日 21:56
highmanさん
お返事が遅くなりまして申し訳ございません。
またこちらのほうでもよろしくお願い致します。
佐竹投手は一度見ると印象に残りやすい選手だと思うので
ぜひ球場で見ていただきたいです。
3月には神宮球場、大田スタジアム、保土ヶ谷球場にて
東京スポニチ大会という社会人の大会も開催されます。
トヨタ自動車には早大・田中幸長選手も入部しますので
highmanさんにとっても注目の1チームになることと思います。
投稿者 矢島 : 2008年01月12日 13:47
トヨタ自動車・佐竹功年(さたけ・かつとし)投手は、11月の日本選手権の決勝を見て強く印象に残っています。
来年はドラフトに上位指名される逸材だと思います。
投稿者 mitsu : 2008年01月14日 15:39
