2007年08月12日

ノート

「意地と粘り」広陵の本領見せた山下

<全国高校野球選手権:広陵5-4駒大苫小牧>◇11日◇1回戦

 「生き様を見せてこい」。4年連続の決勝進出を目指す駒大苫小牧(南北海道)を前に、広陵(広島)が今年のチームカラーを最後の最後に見せつけた。

 1点を追いかける9回、是が非でも出塁しなければいけない場面で、先頭の2番上本崇司(2年)が高めストレートを中前へ運んだ。

 「ベンチを見て櫟浦(大亮=3年)さんが涙ながらに“気持ちだぞ! 思いきっていけー!”と叫んでいた。3年生が最後ということも頭をよぎったけど気持ちが変わった。自分のミスもあったので、どうしても出たかった」。

 気まずい思いをしていた。安打で出た5回に二盗に成功したものの、ノーサインで三盗を試みて失敗している。ベンチにいた高西恵司マネジャー(3年)は「チームが沈みかけました」と当時のベンチの雰囲気を明かす。

 土生翔平(3年)も落ち着いて四球を選び、なおもチャンスは広がった。

 しかし、後続2人がいずれも内野フライに終わりすぐに追い込まれた。試合序盤から何度もチャンスを作っては潰し、8回まで11残塁と完ぺきな負けパターン。この回もそれにはまりそうな空気が流れた。

 ベンチではやはり櫟浦が先頭に立って声を張り上げている。この日は2点目の適時打を放ったものの、最初の2打席は勝負してもらえなかった。

 「自分たちは弱いところを気持ちでカバーするチーム。気持ちで勝負だ、ということをずっと叫んでいました」。

 2死一、三塁で打席には山下高久雅(3年)。夏の県大会直前に左手首を負傷して、4番打者の夏はこの日のような途中出場がほとんど。けがをしてからというものの、試合に間に合わないという焦りに毎日かき立てられていた。我慢できずにバットを手にとっても10回振っただけで激痛が走る。ヒビの入った骨はまだくっついていなかった。「やめとけ!」というチームメートの言葉に耳も傾けず、バットを振った。

 「自分が最後の打者になるかもしれないということが少しかすんだ。でも、けがした自分を支えて励ましてくれた方たちを思い出して打ったので自分の力じゃないです。やっとチームの一員になれたかな」。

 打球は遊撃手の横を抜ける同点適時打になった。ベンチでは追いついたこと、「山下が打ったことがすごくうれしかった」と涙を流す部員がいた。続く林竜希(2年)が二塁安打、送球ミスも重なり勝ち越しに成功した。あんなに繋がりを欠いていた打線が最後に見せた意地。

 「本当に力がないんですよ。下手な子ばっかりでしょ。でもね、どんな苦しい練習しても“なにくそ!”と向かってくるんです。食らいつきはなかなかのものだね」。
 
 昨年12月の強化合宿中、必死でもがく選手たちを見つめながら話していた中井哲之監督(45)の言葉だ。最後の夏、このチームが持つ意地と粘りは最高潮を迎える。

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August 12, 2007 02:39 PM | コメント (6)

2007年08月11日

ノート

新潟明訓永井の奪三振美学

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<全国高校野球選手権:花巻東0-1新潟明訓>◇10日◇1回戦
 新潟明訓のエース・永井剛(3年)が、左打者8人が並んだ花巻東(岩手)から14奪三振。新潟県勢の21世紀初白星を見事な完封で飾った。

 右投手が不利とする左打者から奪った三振は11個。徹底的なインコース攻めとシンカーとのコンビネーション。たとえベース寄りに立たれても、インコース攻めは変わらない。左打者の膝元に2度ぶつけてしまったが「攻めていった結果なので仕方がない」と開き直っていた。

 試合前に描いていた通りの攻めだった。
 
 「相手に流れをいかせない時には力の入ったストレートで押す」。
 
 1点先取した直後の5回裏、8番熊林健太郎(3年)が140キロの高めの釣り球を空振り、9番菊池雄星(1年)もストレートを見逃し、1番埜崎隆浩(3年)もインコース142キロを見逃し三振。ライトアップを始めた甲子園で圧巻の三振ショーを演じた。

 「インコースの球を大事にして、外のシンカーでバットを振らせたい」。
 
 インコースストレートの印象を与えた後は、握りはシンカーでフォークのように鋭く落ちる勝負球だ。6回2死一塁の場面、前の打席でストレートを二塁打された5番羽田野恭平(3年)を迎えた。初球140キロのストレートを見せた後、追い込んでからやはりシンカーで空振り三振にしとめた。他にもスライダー、カットボールなどの多彩な変化球がさえ、相手を惑わせた。

 考えていたことと違ったのは三振の数だけ。うれしい誤算に「(三振数は)意識はしてなかったんですけどね」とはにかんだ。
 
 憧れの選手は市立神港(兵庫)時代に春夏甲子園に出場し、阪急で新人王などに輝いた豪腕・山口高志氏(現・阪神スカウト)。「自分と同じくらいの身長(172センチ)なのにあんなに活躍しているから」がその理由。
 新潟の小さな大投手が今度は野球部史上初の2回戦突破を目指す。

※写真は力投する新潟明訓のエース永井(撮影・岡本肇)

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August 11, 2007 09:07 PM | コメント (0)

2007年08月07日

ノート

甲子園と両思いになれるのは…

 8日に開幕する第89回全国高校野球選手権大会。“甲子園に、恋をした。”この夏、聖地と両思いになれるチームはどこだ!

 大会初日には戦国の千葉を勝ち抜いた市船橋(千葉)が登場。岩崎翔(3年)、山崎正貴(3年)の2枚看板はいずれも140キロ超え。桜内剛監督(39)はかつて同校を3年連続で甲子園に導いた小林徹監督(現・習志野)をコーチとして補佐してきた熱血漢だ。

 155キロ右腕・佐藤由規(3年)擁する仙台育英(宮城)は2日目第3試合。打力のある智弁和歌山が攻略の糸口をつかみたいが、昨年ほどの破壊力はない。意外にも両校の対決は甲子園では初めて。直後には智弁学園(奈良)の試合も控えており、2試合連続で名物・アフリカンシンフォニーの応援が甲子園を包み込む。

 好投手ひしめく大会3日目。甲府商(山梨)は2年生エース・米田易弘(2年)が楽しみ。春の関東大会で評価をあげた注目の右腕だ。大阪桐蔭を倒して甲子園出場を決めた金光大阪は左腕・植松優友(3年)はもちろん控えの弓削翔平(3年)の制球力も光る。新潟明訓は前回出場時に1年生でベンチ入りしていた永井剛(3年)がエースとなって帰ってきた。

 4~5日目にかけてのブロックは強豪が顔を並べた。センバツ準優勝の大垣日大(岐阜)。岐阜県勢の夏は4年連続初戦敗退中。8強まで勝ち上がれば24年ぶりとだけあって県民の期待は大きいだろう。対する金足農(秋田)も8年連続初戦敗退中。秋田県に長い夏をもたらしたい。4日目第4試合は初戦屈指の好カード、駒大苫小牧(北海道)と広陵(広島)が火花を散らす。どちらもエースの好投が命運を握るが、守備・機動力は駒大苫小牧が上か。

 報徳学園(兵庫)は02年夏から続く甲子園連敗記録を是が非でも止めたいところ。近田怜王(2年)は失点こそ少ないが県大会は本調子とは言えない内容だった。相手は1試合平均12得点を誇る強打の青森山田だ。3年ぶり出場の岩国(山口)はエース・高木康平(3年)が県大会6試合完投する大黒柱。2回戦からの登場となる長崎日大は、沖縄尚学優勝監督・金城孝夫監督(53)のもと見事なジグザグ打線が出来上がっている。

 センバツの覇者・常葉学園菊川(静岡)。県大会では延長戦2試合を経験するなど苦しい戦いが続いたが、最後まで真骨頂の粘り強さが発揮された。相手は昨夏の大会で次々と強豪を倒して8強入りした日大山形と手ごわい。13年ぶりに深紅の優勝旗を持ち帰りたい九州勢から春夏通じて初出場が楊志館(大分)。毎年好投手を育てる宮地弘明監督(35)にとっては13年目の悲願だ。今年もエースの甲斐大樹(3年)は最速148キロをマークする。高知・国尾健人(3年)と手に汗握る投手戦を期待したい。

 出場校が出揃う7日目には浦和学院(埼玉)と前橋商(群馬)の隣県対決が。見所は高校通算58本塁打の浦和学院・赤坂和幸(3年)と38本塁打の前橋商・樺沢健(3年)の主砲対決。そして大トリは宇治山田商(三重)。3度目の正直で甲子園初勝利を狙う。

 さて甲子園期間中、ニッカンスポーツコムの新サイト「ニッカンスポーツ・スクエア(エヌスク)」のコミュニティ内で、甲子園日記を書くことになりました。無料で閲覧できますので、ぜひ会員登録をして遊びに来てください。高校球児の熱い戦いを語り合いましょう。お待ちしてま~す!

August 7, 2007 07:07 AM | コメント (11)