2007年07月23日

ノート

駒苫・対馬、どん底からの復活

 5年連続の甲子園出場を決めた駒大苫小牧(北海道)。喜びを爆発させるナインのなかで、ひときわその味をかみ締めている選手がいた。

 「…本気で言っているのか?」。香田誉士史監督(36)は耳を疑った。昨夏の甲子園メンバーにも入っていた対馬直樹(3年)からの突然の“退部宣言”だった。

 すでに昨夏から苦しい毎日を過ごしていた。大会前にろっ骨を折り、甲子園期間中の練習は常に補助に回っていた。試合中の投球練習もただのダミー。仲間が笑顔で取材に応じているなか、自分の存在を消すかのように片隅にいた対馬はこんなことを話していた。

 「チームが勝ち上がるのはうれしいです。でも、この場にいるのは辛いです。(北海道へ)帰りたい」。

 自他ともに認めるマイナス思考な性格だ。それが態度にも出やすく、香田監督はそこを課題にあげている。そして、日本中を沸かせた早実(東京)との決勝戦の後、今まで我慢していたものが涙となって溢れた。

 「疲れのたまっている田中(将大=楽天)さんや菊地(翔太=3年)を見ていて、自分は一体何をやってるんだろうって…。僕も監督に背中を押してもらってマウンドへ行きたかったのに…」。

 9月になってもケガは完治しなかった。秋のメンバーも外れ、完全に練習を手伝う側に立った。自分の必要性を感じなくなりマネジャー転向も考えたが、追い込まれた対馬は退部という結論を出した。

 しかし、香田監督は「あせらなくていい。ゆっくり治していこう」と投球再開のメドなどを具体的にあげていき、通院のために札幌市内からの通学も勧めた。新チーム結成当初より「このチームは対馬の復活次第」と考えていた監督が与えた復活計画という薬は、次第に対馬に気持ちの変化をもたらした。退部を撤回し、3月には本格的に投げ込むようになった。順調に回復を見せていたものの、春の大会は特待生問題の影響でベンチ入りは叶わず。

 「だから、この夏が1年間の思いを全てぶつける大会になった」。

 プレッシャーよりも喜びや感謝の気持ちのほうが大きかった。繰り返し口にする「投げられるだけでうれしい。野球をできていることが満足」という言葉がそれを物語っている。今大会3試合に先発し、決勝戦も7回途中まで要所を締める粘りの投球。どん底から見事な復活を遂げた。

July 23, 2007 09:25 AM


コメント

対馬君頑張って貫いたネ!!
甲子園でも今までつちかった精神力!来年はプロに来て田中と勝負ダ!!

投稿者 ミスタープロ野球 : 2007年07月23日 16:34

彼自身は肋骨を疲労骨折し、
チームも色んな事が有り辛かったと思います。
彼が鎬を削る様にエースナンバーを争っていた
他のライバル(菊地・片山・久田)投手)は、
今や助け合う良き仲間として彼を支える存在となり
粘れる投球に繋がっていると思います。
甲子園でも好投を願ってます!

投稿者 : 2007年07月23日 20:44

南北海道出身です。ここ二年甲子園に駒大苫小牧を応援に行きました。香田監督を尊敬しています。
嬉しいブログをありがとうございます。

投稿者 arazaran : 2007年07月23日 21:30

ミスタープロ野球さん
甲子園でも今度は周りの選手を助けられるような投球をしてほしいですね。

Mさん
「ライバルだけどみんなで勝つためのいい仲間」。
片山、久田、菊地投手のことを対馬投手はこのように話していました。
お互いにそのような気持ちがあるからこその強さだとも感じました。
3年間の集大成を甲子園で期待したいと思います。

arazaranさん
今年もぜひ甲子園で応援されてください。スター不在ですが良いチームです。

投稿者 矢島 : 2007年07月24日 21:28

こうした選手の復活と言うのは、監督の力を感じます。
これが駒大苫小牧の4年連続決勝進出、2年ぶりの優勝に向けて、
大きな力になることを期待します。

投稿者 Applecustard : 2007年07月24日 22:38

この話は、確かにいい話です。
でも、香田監督は尊敬に値するような人ではありません。
駒苫が勝つために、野球のうまい選手、対馬選手のような特待生に辞められると困るから退部させなかっただけです。
みなさんが考えているような、監督ではありません。

投稿者 詠み人知らず : 2007年07月29日 08:37

香田監督が尊敬に値する人でないのなら
対馬君はこの時に退部していたと思いますけど。

それと、対馬君に退部されて困ると香田監督が考えるのは当然ではないでしょうか?
彼は駒苫にとって特待生問題など関係なく
大切で必要な投手なんですから。
そんな香田監督の思いが対馬君に伝わったから
退部という道を選ばなかったんだと私は思いますけどね。

香田監督は厳しさと優しさを兼ね備えた素敵な人です。
対馬君と駒苫の活躍を期待しています。

投稿者 あさ : 2007年07月30日 17:59

Applecustardさん
昨年の雪辱の思いと、香田監督に恩返しする気持ちを持って
甲子園のマウンドに立ってくれることと思います。がんばってほしいですね。

詠み人知らずさん
尊敬に値するか否かは人それぞれですが
昨秋の時点で勝利へのキーマンとして対馬投手をあげていたので
特待生だから困るという理由で辞めさせなかったことはないと思います。

あささん
そもそも、辞められて困る一番の理由が「特待生だから」と考える指導者は少ないと思います。
必要な戦力だから残ってもらう、当然のことですよね。
余談ですが対馬投手は昨年の夏に「(香田監督は)すごい人」と言っていました。

投稿者 矢島 : 2007年07月31日 21:39

香田監督勇退らしいですね。
高校野球の監督としてはまだ若いのに少々残念です。
対馬投手についてはそれほどまで深刻だったとはしりませんでした。
それでもよくがんばったと脱帽です。
マウンドに立つだけでも重圧。しかも昨年の田中投手のことを
考えれば、すばらしい度胸だと思います。
マイナス思考は責任と高みを目指す志の現われです。ひたむきな姿に元気をもらいました。

投稿者 ヒラパン : 2007年08月12日 23:56

ヒラパンさん
勇退は残念ですが、北海道の野球界にもたらしてくれたものを
他の指導者の方々が受け継いでほしいです。
対馬投手、背中を撫でてもらっていました。
この経験を次のステップでいかしてほしいです。

投稿者 矢島 : 2007年08月20日 23:36

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