2007年06月18日
早大・日本一の勝因はスキのなさ
名門同士の決勝戦を早大が制して幕を下ろした第56回全日本大学野球選手権。あらためて6日間の熱戦を振り返る。
33年ぶりに日本一に輝いた早大の勝因は何と言ってもスキのなさだ。4試合で無失策、5投手の与四死球10という数字がそれを証明している。斎藤佑樹(1年=早実)、松下建太(2年=明徳義塾)、須田幸太(3年=土浦湖北)がリーグ戦同様安定した投球を見せてくれた。なかでも先発経験の少ない松下が大事な初戦で9回途中まで好投したことが大きい。準優勝した東海大と4強入りの東日本国際大の粘り強さも光った。東海大は最終回の、東日本国際大は2死からの集中力が見事。リーグ戦で優勝決定戦を経て勝ち取った出場だったこと、スタメンに4年生が多かったことなど両チームには共通点も多かった。
しかし、全体を見渡すと主体が3年生以下というチームが多かった。特にその傾向が強いのが投手陣で、決勝カードの早大や東海大を筆頭に創価大、関西国際大、八戸大、愛知学院大などがあげられる。1年生では早大・大石達也(1年=福岡大大濠)、愛知学院大・小川優(1年=東濃実)、中央学院大・秋吉亮(1年=足立新田)の成長が楽しみ。3投手ともストレートで勝負できる力を持っているのが魅力だ。
暴投数が昨年より17も減っておりコントロール重視の投手が多く、コールドゲームが2試合のみで比較的僅差の試合が多かった。東北福祉大-九州産大、早大-九州国際大の最後が本塁クロスプレーで終わる薄氷の勝利、最後の最後まで白熱した試合を見せてくれた。全体的に戦力が拮抗していた印象があるが、2勝以上をあげたチームが1つもない西日本勢の不振が目立つ。ただ、選手個人にスポットを当てると関西国際大、九州産大、九州国際大、奈良産大などには来年以降も大会を賑わせてくれそうな選手が多い。また、創価大、愛知学院大、関東学院大などはフライアウトが確実でも多くの選手が二塁ベースまで全力疾走していたのが印象に残っている。
残念だったことが、敗れたチームの取材へ行っても落胆している選手が少ないということ。話しかけるのが申し訳ないくらい落ち込んでいる甲子園や都市対抗のベンチ裏とはかけ離れたものがある。そのせいか準々決勝で0-1で惜敗した東北福祉大・井戸順平主将(4年=県岐阜商)の姿が今でも鮮明に覚えている。取材に応じていた井戸主将は終始視線を落としたまま。そして最後の最後に目を閉じて震えながら息を吐いていた。大会にかける強い気持ちが伝わってきた。
June 18, 2007 03:52 PM
コメント
早稲田大学は実力が高い選手が揃っていますよね。それでも大学日本一できるチームだと思いませんでした。やはりハンカチ王子の実力というか運が強いのでしょうか。この強運がこれからの野球に生きて欲しいですね。
さて早大投手陣ですが、松下がこんなにいいとは思いませんでした。
福井、大前といった好投手もいますが、松下投手は早大にとっては収穫でしょう。
残念がる選手が少ない。それは疑問に思いました。落胆しないということが悪いということではありませんが、負けたのに関わらずへらへらしている選手はダメだと思いますね。これは。
投稿者 プライセス : 2007年06月18日 20:13
たしかに野球は守備力ですネ。
早稲田のニ遊間はそのまま上でも通用するほどのディフェンスだと思います。
ショート本田は4年目で開眼しました。
常日頃の練習を他の部員に聞いた事があります。
セカンド上本は野球センスの塊のような玄人好みのいぶし銀です。
その他ではキャッチャー細山田の肩。
投手陣があれだけキレのある投球をすれば相手はなかなか走る事が出来ません。
センターは川畑も小島もどちらが出ても見劣りする事が無い実力者です。
これだけの守備力がありながら打撃も良いんですから手がつけられません。
斎藤中心の早稲田というイメージが強いですが周りの選手を見過ごす事は出来ません。
常勝チームになれるかはお互いの意識の向上と練習量ですかね・・・。
投稿者 さがたっち : 2007年06月18日 21:29
昨日はテレビの前で2週間ぶりに感動。
佑ちゃん、これで昨夏の西東京予選からの無敗記録更新です。
応武監督、試合後のインタビューで「不敗神話にかけてみた」。
佑ちゃんの存在ばかりクローズアップされてますが、矢島さんの言うとおり攻守に安定してますね。
全員の力があったからこそ、成し遂げられた「日本一」だと思います。
投稿者 ともみ : 2007年06月18日 21:51
こんばんは。
連日の取材活動並びに精力的な更新、お疲れ様でした。
毎日楽しく拝見させて頂きました。
さて。
流石に全試合とはいかなかったのですが、私も8試合ほど現地観戦しまして、いくつかの敗れたチームの選手の立ち振舞いについて、同じことを感じました。
整列して礼の後、ベンチに下がっていくシーン、確かに泣いている選手や肩を落としている選手も見られたのですが、その隣で笑っている選手やそれ程悔しがっている風もない選手の方が数多く見受けられる感じがしてしまいました。
もちろん全員が全員同じ感情表現であるはずはありませんから、最初は、
「俺は精一杯やった。ここまでこれて、満足」
等々の思いからなのかな、とも考えたのですが、引き続き帰り支度の姿などを目で追っていると、それとも違うような気がしまして…
全く同じではないにせよそれぞれ背負っているものがあり、同じく一発勝負にもかかわらず、ご指摘の甲子園や都市対抗とも違うこの雰囲気、一体あれは、なんだったのでしょうか…
最後まで諦めずに戦い、打球に食らいつく姿勢や全力疾走で観ている者を清々しい気分にさせてくれたチームも沢山あっただけに、非常に残念でした。
投稿者 Eff : 2007年06月18日 23:03
プライセスさん
選手個々の力は早大が今大会で一番だと思われますが
「33年ぶり」という数字が示すように優勝は無いと思っていました。
松下投手本人は「自分はスピードがないのでキレで勝負です」と言っていました。
先発もリリーフも器用にこなしていて日本一の原動力だと思います。
さがたっちさん
投手陣もあれだけ素晴らしいボールを投げていれば、野手も守りやすいですし
逆に野手がしっかり守ってくれるから投げやすい。
この信頼関係ができあがっているように見受けられます。
センバツV・常葉学園菊川と同じようにトーナメントを制すチームには
しっかりしたセンターラインがありますね。
早大は下級生が多い内野で本田選手がよく引っ張ったと思います。
最終学年になって這い上がってくる選手を見ていると気持ちがいいです。
ともみさん
早大はただでさえ注目度も高くプレッシャーも大きかったはずですが
周囲の期待にこたえた見事な戦いぶりでした。
あとは・・・もうすこし斎藤投手以外の活躍した選手もクローズアップしてほしいと思います。
Effさん
私も最初はもう気持ちを切り替えているのかと思いましたが
全国大会で簡単に切り替えられるはずもなく・・・。
しかも今年に限ったことではなく“例年見られる”光景なのです。
常連校のある監督が「開会式を見ていても全く緊張感が伝わってこない」と的を射たことを仰っていました。
ただ、出場が決まってから1ヶ月近く空いてしまうチームもあるため
モチベーションの維持が難しいのかなとも思います。
神宮大会のほうが4年生が最後ということもあるのか
負けると落ち込んでいるシーンをよく見かけますね。
投稿者 矢島 : 2007年06月20日 22:37
こんばんは。
まずは早稲田大学、33年ぶりの日本一おめでとうございます!
それにしても早稲田、強かったですね!矢島さんが「勝因はスキのなさ」と分析してらっしゃるように、非常に安定した試合ぶりだったと思います。そう言う意味では、早稲田の初戦の相手の九国大は「大魚」を逃がしたと言ってもいいのではないでしょうか。
色々なところで言われていますが、斎藤君はその実力もさることながら、勝ち運を持っているというか、特別な星の下に生まれた人間のかな?と思いたくなってしまいます。今後、ますますの活躍の期待したいと思います。
ところで…。
敗れたチームの取材へ行っても落胆している選手が少ないというのは、はっきり言って「由々しき事態」ではないですかね?下級生主体のチームが多かったことと関係があるのでしょうか?しかし選手には、下級生だからと言って「来年があるさ」という感覚だけは持って欲しくないですね。真剣勝負だからこそ、観る者にも感動を与えることが出来ると思うのですが…。
他校が「打倒早稲田」を目指し、夏に鍛え、切磋琢磨しながら秋を迎えたら、大学野球は春以上に盛り上がることも可能なのではないかと思います。
その前に、斎藤君他、全日本に選ばれた選手達には、日米対抗でも頑張って…、いや、是非勝ってもらいたいものです。
投稿者 すったり : 2007年06月21日 00:32
初めてコメントします。いつも楽しく読ませてもらっています。
決勝戦だけは見に行きました。鳥谷・青木・比嘉・由田の黄金カルテットでも果たせなかった悲願の日本一、感無量でした。
早稲田ですが、スキのなさ、というか私は好守にそつのないチームになったなあ、としみじみ思っております。リーグ戦のなかで見事に成長しましたね。日本一どころかリーグ優勝もどうかと思ってたんですけど、全員で勝ち取った優勝でした。
上本くんや本田くん、松下くんの名前が出てることもあるので、個人的には、田中幸長くんを推したいと思います。
3年前の連続代打アーチという衝撃的なデビューを見て以来、幸長くんには「何かでかいことをする男」とずっと注目していました。翌年春からいきなり4番を任され、武内くん(現東京ヤクルト)の後で打てずに苦しんでいる姿を目の当たりにしてきました。それだけに優勝のかかった早慶戦で放ったグランドスラムは今でも忘れられません。
昨年は好機での勝負強さが発揮できるようになってきて、さあ今年。打者としてもリーダーとしても真価が問われるこの春のシーズンでした。代々早稲田の主将は春に打撃不振となる選手が多く(例外は仁志くらい)心配していたのですが、無用でした。
自己最高となる.390をマーク、積み重ねた12打点のほとんどが勝負どころでの欲しい1点でした。立教戦では外野の守備の緩慢さをついて二塁を陥れるなど、自ら掲げた「1」へのこだわりをプレーの一つひとつに見せてくれました。このキャプテンがいたからこそ、スキのない今季の早稲田ができたのだと思います。
リーグも選手権も、MVPは斎藤くんがさらっていきましたが、真のMVPは間違いなく幸長くんです。
ずっと応援してきたので、今日の雄姿に目頭が熱くなります。春は故障上がりで一発はなかったけど、日米大学野球ではぜひその鋭いスイングでアメリカの空に豪砲を打ち上げて欲しいものです。
投稿者 たかぞう : 2007年06月26日 01:07
すったりさん
お返事が遅くなりました、すみません。
振り返ると早大が最も苦戦したのは九国大でした。
初戦ということもあったと思いますが、9回の攻めは見事でした。
斎藤佑投手にとっても忘れられない一線になったと思います。
下級生主体のチームが多かったから、というわけではなく
これは毎年見受けられる光景なのです。
この大会を最後に引退する4年生も少なくないので
達成感を得る選手のほうが多いのかもしれませんね。
たかぞうさん
優勝するチームには抜群のリーダーシップのある主将の存在が必要不可欠ですね。
特に今年の早大は出場選手の多くが3年生以下で
経験者こそ多いもののまとめるのは大変だったと思います。
一昨年の同大会で中央学院大に苦戦した際も田中選手は出場しており
そのときの無念を晴らすためにも田中選手には活躍してもらいたかったです。
ド派手なデビューを果たした日がなつかしいですね。
黄金世代でも成し遂げられなかった日本一。
長い歴史に名を刻んだすばらしいキャプテンだと思います。
投稿者 矢島 : 2007年07月02日 22:49
