2007年02月23日
日本ハム八木は「そのまんま」でした。
「大っ嫌いなんですよね」。
2年目のジンクス。この言葉を使ったところ日本ハムの八木智哉は怒ったような口調で言った。昨年12勝8敗で新人王を獲得した左腕にインタビューした。
―正直入団前は1年目にどれくらい勝てればいいなと思っていましたか?
八木 「ローテーション守って2ケタというのが一番高い目標。自分のなかで本当に考えていたことは1年間で4、5勝できれば最高。だからこの結果には自分でもびっくりだったんです」。
―それでも147キロの即戦力左腕だと高い評価がありました。
八木 「147キロは出てないと思うんですよね。横浜スタジアムで出したんですが、あそこはガン表示が速いと思うんです。147出していたら僕の腕折れてますよ(笑い)」。
―ローテーション入りし、4月にいきなり延長10回、参考記録ながら無安打無得点試合を経験されました。
八木 「気持ち的にも緊迫していたゲームですごい力も入っていた。この試合のあとが1年間のなかで一番疲労があったんです。次の日がやばかった感じがありますね。前半戦はがむしゃらに投げて、疲れが取れず腕が張ったまま投げたりしていた。いつ故障するんじゃないかという不安もずっとありました」。
―夏場は2度の3連敗も味わい、なかなか勝ち星がつきませんでしたね。
八木 「それまで自分のペースで投げて野手の方が点を取ってくれてポンポンと勝てていたけど、夏場はしっかり投げても勝てなかった。どうやったら勝てるかを考えたときに、少しでも低めに投げようとか気持ちの面で粘ることを体で感じるようになりました。これは大学時代に教えてもらったことなんです。そうしたら今まで以上に冷静にまわりが見れるようになった」。
―特に印象に残っている試合はありますか?
八木 「ソフトバンク・斉藤和巳さんと投げ合った全部の試合が自分のなかでは楽しく投げられました。相手の球場のファンが多かったり相手の応援がすごいと、もしこれで抑えたら“この球場黙るな”とか、そういう考え方が僕にはあって…。だから斉藤さんと投げ合った全部の試合ほとんど楽しく投げられましたね」。
―2年目を迎えます。“2年目のジンクス”という言葉がありますが。
八木 「大っ嫌いなんですよね。ただ、1年目に大学時代と同じスタイルでやって勝てたのがうれしかった。きっと(今年は)研究もされてマークも厳しくなると思います。でも、今年もこのスタイルを貫いていきたい」。
プロ野球選手になっても礼儀正しい態度が全く変わっていませんでした。取材時間の10分前には到着、しかもスーツ姿。同行した広報さんは「八木はしっかりしているので、本当は僕が行かなくても全然平気なんですよ」。もうアマチュアの選手ではないけれど、今回は特別に取り上げてみました。
February 23, 2007 09:59 AM | コメント (3)
2007年02月15日
白鴎大の主将はブラジル人
飯原誉士(ヤクルト)、高谷裕亮(ソフトバンク)と2年連続でプロ選手を輩出している白鴎大。この春正式に浅野啓司監督(57)が就任した。
かつてヤクルト、巨人で通算86勝をあげた右腕だ。引退後、ブラジルのヤクルト・アカデミーに関わっていた縁で白鴎大に招かれた。ヤクルト・アカデミーとはブラジル・サンパウロ州にある全国から推薦された選手たちを育成するチームだ。彼らは米大リーグや日本のプロ野球でのプレーを目指し、練習に励んでいる。ここから羽黒(山形)や日章学園(宮崎)といった高校へ留学していくのだが、現在白鴎大にも3人の出身者がおり留学生球児を迎え入れる大学としてはパイオニア的存在だ。
チームを象徴するかのように今年の主将にはカルデーラ・チアゴ(3年=羽黒)が就任した。本人は「性格が優しいから…」と遠慮がちだったが「それを変えてほしい」と指揮官は考えている。「まだ未知数なところがあるのは確か。だけど、うちのチームにとってブラジル人留学生は顔なんですよ。留学生でも主将ができることを知ってほしい」。焚き火の手を止め、浅野監督が力を込めた。春には中島ユン(羽黒)が入学予定だ。
留学生といえば、昨秋の日本一・亜大にもブルーノ・平田(八王子)が入る。高校時代は1年夏からベンチに入り、捕手としてチームを牽引した。最後の夏、左足をケガして退場した。活躍した代役の選手は「いつも迷惑ばかりかけているから」と必死のプレー。真面目な性格でチームメイトからの信頼も厚かったことが印象に残っている。亜大にもすでにロバート・ブース(3年=八王子実践)、荒木治丞(3年=京都韓国学園)、白倉キッサダー(2年=上田西)の3選手が所属。白倉は昨年暮れに行われたアジア大会で母国・タイのエースとしてフル回転した。亜大は16日から沖縄キャンプが始まり、連覇を目指してチームが動き出す。今年の大学野球は例年以上に国際色豊かになりそうだ。
February 15, 2007 02:32 PM | コメント (8)
2007年02月08日
甲子園の魔物退治に挑む関西
関西は5季連続甲子園出場。明徳義塾(高知)が01年夏から04年夏にかけて、7季連続で出場して以来の快挙である。岡山県勢としてはもちろん初めてのことだ。ただし、その道のりは決して平坦なものではなかった。
旧チームから残ったレギュラーは主将でエースの中村将貴(2年)と三塁手の川辺郁也(2年)のたった2人。ほぼ総入れ替えとなった野手陣は実戦経験に乏しい選手が多かった。新チーム結成当初は練習試合でも白星が続いたが、順調に思えた矢先に高知、京都外大西といった強豪校相手に立て続けにコールド負けを喫する。さらに主砲と正捕手が持病を再発させるアクシデント。地区予選では格下と思われた相手に大味な試合を展開し、県大会代表決定戦では3-2という薄氷の勝利。ネット裏に偵察に来た他校からは「今年の関西は弱い。中国大会の出場も難しいだろう」という声が漏れていたという。
だが、ナインの心には甲子園出場への強いこだわりがある。過去2年、甲子園で味わった劇的な試合(サヨナラ負けなど)をベンチで、スタンドで目の当たりにしているからだ。「なんであんな試合ばっかりなん? と思った。じゃあ何が足りないのか。2年間客観的に見てきた僕たちが一番よく知っている」(中村)。故障者続出、個々の能力も旧チームよりも劣る。それでも中国大会準優勝まで勝ち上がってこれたのは、このチーム独特のしぶとさと結束力だろう。
中国大会準決勝の華陵(山口)戦がそれを象徴している。延長12回サヨナラ勝ちだったが、それまで1度も勝ち越しができず苦しんだ。ただ、見方を変えると華陵は4度あった勝ち越しのうち、3度も直後に同点に追いつかれている。こうなれば自然と気持ちの勝負になってくる。
「今年は大きいのを打てる選手がいないです。だからみんながつなげていくことを意識している。練習試合や紅白戦でもそういう試合ができたときが一番嬉しいんです」(中村)。相手が2本塁打だったのに対し、関西はゼロ。短打でしぶとく食らいついてきた結果が勝利をもたらした。
サヨナラ安打を放った谷重寛(2年)の言葉がチームカラーを物語る。「たまたま僕が打っただけで、みんなが打たせてくれたんです」。
江浦滋泰監督(37)が02年秋に就任して以来最強のチームワークを持つ今年。これを最大の武器に甲子園の魔物退治をするつもりだ。
February 8, 2007 10:11 AM | コメント (10)
2007年02月01日
広陵を支える高西マネジャー
「僕のせいなんです。本当失敗してしまったと思っています」。広陵(広島)の高西恵司(さとし)マネジャー(2年)は申し訳なさそうな顔で当時を振り返った。
昨秋の明治神宮大会、1回戦で帝京(東京)に勝ち翌日の高知戦を迎えた日の話だ。広陵ナインは朝の散歩を日課としており、高西マネジャーは散歩時間を見込んで朝食時間を調整した。しかし、予想以上に散歩に時間がかかり、あわてて朝食を食べることになってしまった。
「みんなをあせらせてしまった。いい状態で試合に入れなかった。それが自分の仕事なのに…」。試合は守備の乱れもあり、3-8で敗れた。うつむく高西マネジャーの隣りでエースの野村祐輔(2年)は「全然おまえのせいじゃないよ。自分が打たれたのが悪いんだ」とかばっていた。
選手として入部したが、腰を痛めてマネジャー転向を決意。05年11月6日。今でもはっきり覚えているあの日から1年経つと、中井哲之監督(44)が「僕の片腕のような存在です」と認めるまでに成長した。グラウンドでは真っ先に訪問者を見つけ座布団を渡し、コーヒーも入れてくれる。練習中はストップウォッチ片手に、ティーなどの相手を務め、寮の管理も行っている。話をしていると敬語の使い方や態度があまりにしっかりしているので、自分が恥ずかしくなりそうだった。
いい裏方がいるときは強いとよく言われる。今年の広陵は監督も選手も「とにかく弱い」と自負するほどチーム力は劣る。それでも勝てているのは、高西マネジャーのような裏方の存在が大きいのも1つだと確信した。実はグラウンドを訪れたとき、私は昼食を食べずにずっと練習を見学していた。それを知っていたのか、帰るときに「昼ごはん食べられてないですよね?」と昆布入りの特大おにぎりを握ってくれていた。今までのどんなご馳走よりも美味しかった。
そんな高西マネジャーには国家試験である言語聴覚士習得という夢がある。言語障害のある家族を思ってのことだ。しかし、家族には「今やれることをやっていいよ」と言われたそうだ。
「マネジャーの仕事が好きなんです。いずれは大学でもやってみようかなと思っています。その前に“高西のおかげだ”とみんなに言われるように頑張りたい」。
甲子園ではベンチから乗り出すように大声を出している高西マネジャーにも注目してほしい。
<お知らせ>
大垣日大の件で投稿していただいた方のメールアドレスに誤りがあったため返答ができませんでした。
February 1, 2007 10:52 AM | コメント (3)
