2007年01月25日

ノート

春待つ、宇部商ナイン

 昨年暮れ、宇部商(山口)で年末年始7日間限定の練習を行っているとのことで見学させていただいた。朝8時半、向かった先は宇部市内にあるスイミングスクールだった。一般の人が使用する前の2時間、宇部商ナインたちは25メートルプールでトレーニングをしていた。

ubeshou01.jpg 「僕たちの頃もあったんですよ。毎年恒例ですね」。なつかしそうに振り返るのは中富力監督(41)。今夏、32年間チームを率いた名将・玉国光男監督(58)からバトンを受け取った。これまで部長、副部長としてチームを支え「尊敬している玉国野球を継承していきたい」と抱負を語る。国本鐘悟主将(2年)いわく「謙虚で誠実な方です」とのことだ。

 「うちはセンバツの可能性はどうなんでしょうかね…。出させていただけるなら本当に嬉しいのですが」。昨年秋の山口県大会を制した宇部商は、中国大会初戦で開星(島根)に6-1、つづく2回戦で柳井商(山口)を4-3の1点差でかわし、準決勝に進出した。高橋貴洋(2年)と原田直輝(2年)のバッテリーを中心とした守備力の高いチームだ。

 しかし、準決勝で優勝した広陵(広島)に2-4で敗退。4失点した4回以外は2安打に封じ込めており、悔いが残るイニングだった。「2アウトまで追い込んで、そこから一、二塁のピンチで5番に2点タイムリー。この後にタイムを取ろうか迷ったんです。でも選手たちに任せたんですよね」。

 案の定、直後に決勝の2点本塁打を許す形になった。宇部商に限らず、センバツ当落線上の学校はどこも悔やんでも悔やみきれないシーンが頭をよぎっているだろう。

ubeshou02.jpg ナインは、お互いに水を掛け合いながら水中を急ぎ足で歩いたりと楽しそうだ。クロールで25メートル泳ぎ、時間を置いて(15~30秒などさまざま)折り返すなどメニューは多岐に渡る。なかにはうまく泳げない子もいたが、そこは平泳ぎのような不思議な泳ぎでカバーだ。この水泳トレーニングは肩の可動域を広げるため、そして気分転換にもなっている。

 今度はランニングで2キロ離れた松江(しょうごう)八幡宮に向かった。そこには長い石段が…。その数、92段。私も試しに“歩いて”登ってみたが、見た目以上に急だった。この石段を(1)普通に走る(2)段抜かしで走る(3)2段抜かしで走る(4)うさぎ跳びで走るの合計26本走る。これも宇部商に32年伝わる伝統のトレーニングだ。プールで見せた明るさは封印、黙々と石段を駆け上がっていく。ナインは「うさぎ跳びが一番きつい!」と悲鳴をあげる。休む間もなく、今度は学校までの3キロまでをランニング。この頃にはすっかり半袖姿だった。

 出場が約束されたわけではない。国本主将は「出られなくても夏に向けてしっかり練習しています」と言い切る。「でも、もし出場できるのなら中富監督に甲子園初勝利をプレゼントしたいです」。

 運命の日まで、あと少し。宇部商に春の便りは届くだろうか。

January 25, 2007 01:07 PM | コメント (14)

2007年01月16日

ノート

センバツ出場校をスバリ言うわよ!/後編

 後編は「中国」「四国」「九州」「21世紀枠」「希望枠」を予想してみます。選考会は26日です。

 関東と並んで判断が難しい「中国」。あらためて整理してみると、「中国2」「四国2」「中国・四国で1」「四国の神宮枠1」という扱いになる。まず「中国」は広陵(広島)と関西(岡山)、「四国」も高知(高知)と今治西(愛媛)で間違いないだろう。次に「四国の神宮枠」だが、争いは4強進出の室戸(高知)と徳島商(徳島)になる。スコアは高知7-0室戸、今治西13-0徳島商でどちらもコールド負け。この場合なら、優勝校に敗れた室戸でもいいのだが地域性という問題が出てくる。もう1つは徳島商が徳島県1位に対し、室戸は高知県3位だということ。あくまで参考資料は秋の公式戦。ここは徳島商にしてみる。そうなると「中国・四国枠」の争いは室戸と、中国の4強・宇部商(山口)と華陵(山口)になる。スコアは広陵4-2宇部商、関西6-5華陵。山口県大会の直接対決で宇部商10-3華陵のため華陵はないと見る。室戸と宇部商の対決になると思うが、バランスを考えて宇部商か。ただ、過去には茨城と兵庫から3校選ばれたこともあるので室戸でもおかしくはない。…そもそも大会が違うのに2地区で1校という選出方法は反対だ。

 最後に「九州」は4強の熊本工(熊本)、大牟田(福岡)、小城(佐賀)、鹿児島商(鹿児島)。小城(おぎ)は佐賀県佐賀市のお隣・小城市にある県立高校で78年夏に甲子園出場を果たしている。九州4校はいずれも創立80年以上を誇る伝統校だ。

 ここからはさらに頭を悩ませる「21世紀枠」と「希望枠」。「21世紀枠」は過去の選出を見ると、東西1校ずつでそれぞれ文武両道系と過疎などの地理的困難系に分かれる。また、県大会準優勝以上の選出率が高いのも特徴。希望も込めて、東は都留(山梨)、西は宮崎県大会優勝の都城泉ヶ丘(宮崎)にしてみた。県内有数の進学校である都城泉ヶ丘野球部は今年創部107年。いまだ甲子園出場はなく「百年の夢」というスローガンのもと練習に励んでいるそうだ。

 最後に「希望枠」。選出基準は、各地区の補欠校で秋季大会の最終試合からさかのぼった4試合の失点、被塁打、与四死球、失策の9回換算ポイントを比較したものになる。つまり、手元に各データがないと予想は難しい。自力で調べられるものは失点。補欠当落線の学校で有力そうなのは…。

東  北(宮城・東北大会4強) 9失点/35回→2・54失点/9回
成  田(千葉・関東大会8強) 6失点/38回→1・42失点/9回
大垣日大(岐阜・東海大会4強) 5失点/36回→1・25失点/9回

 大垣日大といえば、東邦(愛知)で監督を務めていた阪口慶三監督が指揮をとっている。その阪口監督に見出され、1年前の秋に捕手から投手に転向したのが現エースの森田貴之。最近4試合を1人で投げ抜いている鉄腕だ。

 ただし、この枠には課題も見える。地区・県によってコールドの規定が違い、4連戦から土日だけという日程のばらつきもある。もう1つは球場の広さ。例えば麻生球場(北海道)は両翼92M・中堅111M。対照的に県営あづま球場(福島)や下関球場(山口)は両翼100M・中堅120M。こんなに広さが違うと、特に被本塁打で影響が出てくるのではないでしょうか…。

January 16, 2007 10:07 AM | コメント (16)

2007年01月09日

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センバツ出場校をズバリ言うわよ!/前編

 今月26日、今春センバツ高校野球の出場校が発表される。少し早いが、2回に分けて出場予想をしてみたい。みなさんはどこが出場する、してほしいですか?

 「北海道」は昨秋の全道大会で優勝した旭川南が確実。神宮大会で自分を見失ってしまった左腕・浅沼寿紀の巻き返しに期待がかかる。小池啓之監督は意外にも兵庫県・市立尼崎出身だ。

 「東北」も優勝した仙台育英(宮城)と準優勝の聖光学院(福島)ですんなり決まりそう。聖光学院は夏は3度の出場があるが、春は初。東北新幹線からグラウンドが見えます!(東京から仙台へ向かう右側)

 4校選出の「関東」は4強の千葉経大付(千葉)、佐野日大(栃木)、日大藤沢(神奈川)、桐生一(群馬)、「東京」は優勝の帝京だろう。難しいのが「関東・東京枠」の5校目だ。地域性なら都留(山梨)。神奈川1位の桐光学園にも勝っているため、選出されてもおかしくない。が、あえて成田(千葉)を推す。理由は1つ、145キロ右腕・唐川侑己を全国で見たいから。チームで見ても秋は8試合を戦って9点しか取られていない。この高いディフェンス力をぜひともセンバツで見たい。今年の千葉は唐川以外にも千葉経大付のエース・丸佳浩、市立柏の長距離砲・坂本大空也(たくや)、武蔵府中シニア時代から評判の拓大紅陵・大前勇人など、将来の楽しみな選手が多い。

 「東海」は常葉学園菊川(静岡)、中京(岐阜)の決勝カードで決まりだろう。中京は小島雅人監督、真太郎外野手の親子鷹に注目だ。常葉学園菊川は04年に初出場し、初戦で八幡商(滋賀)に惜敗。今年こそ甲子園初勝利をと意気込んでいるはず。

 「北信越」も日本文理(新潟)と創造学園大付(長野)だろう。北信越大会は4連戦のせいか、毎年決勝戦は打撃戦になりやすい。日本文理と創造学園大付も9-2とコールドの内容だが、一昨年も同様に高岡商15-8日本文理で無事に日本文理が選出されたため大丈夫だろう。創造学園大付は塚原青雲から校名変更後初出場になる。大学は群馬県高崎市にあり、高校は長野県松本市にある。

 屈指のレベルの高さを誇る「近畿」。4強の報徳学園(兵庫)、大阪桐蔭(大阪)、北大津(滋賀)、市川(兵庫)は確定だろう。残り2校が難しい。1校は優勝校に敗れた北陽(大阪)か。最後は地域性で智弁和歌山(和歌山)か近江(滋賀)になる。どちらも準々決勝でコールド負けだが、ここは滋賀県1位の近江と読んでおく。1回戦で優勝校に1-2で惜敗した熊野(和歌山)も見てみたい。市川は兵庫県神崎郡市川町にある禅の教えを教育に取り入れている私立校だ。(中国、四国、九州は次回掲載します)

 ◆訂正 04年に常葉学園菊川が初戦で敗れた相手は東北ではなく八幡商でした。訂正しました。

January 9, 2007 10:18 AM | コメント (21)

2007年01月02日

ノート

有言実行の男・楽天田中に期待!

 「できれば、当りなくないですね」。夏の甲子園、青森山田戦を直前に控えた日。駒大苫小牧の田中将大(3年)は、こんな言葉を漏らしていた。人懐っこい笑みを少し浮かべながらだった。

 「ライバルはいない。そういう感情がないんです」、「相手は関係ない。自分のピッチングをするだけ」といつも強気な言葉を並べる田中。それだけに、初めて耳にした弱気な発言を今でもはっきり覚えている。やりたくない相手とは、実は早稲田実の斎藤佑樹(3年)のことをさしている。取材前日の大阪桐蔭戦をテレビ観戦していた田中の頭にはしっかりと斎藤の投球が焼きついていたのだ。

 「いやーすごいなあ、と。9回まで普通に投げていて、球も速くてインコースをどんどん投げてくる」。このとき、まさか斎藤と球史に残る熱戦を演じることになろうとは思ってもいなかった。最後、空振り三振したあとに見せた笑顔に似た表情で、このとき斎藤のことを語っていたような気がする。“王子”と呼ばれる斎藤とは対照的に、ちょっぴりぶっきらぼうな印象がある田中。だけど、たまに見せる高校生らしい少年のような笑顔が好きだった。

 いつも有言実行だった。2年春のセンバツのあとに話を聞くと「夏までに必ず150キロを出す!」と堂々の宣言。そうしたら京都外大西戦で本当に150キロを出した。「北海道に神宮枠を持って帰る」と誓えば、全4試合登板のフル稼働で明治神宮大会を制覇。高い目標を掲げ、本当に達成していく姿を見て末恐ろしさを感じた。その少年は、今春からプロ野球・楽天でプレーすることになった。奇しくも本拠地は同じ雪国。そういえば、駒大苫小牧入学後初めての冬を「雪が凍ると滑って怖い…」と話していた。

 しかし、雪国・北海道の地を選んだのは「関西は力(技術)に頼っている。頭を使う野球をしたかったから」だ。だから楽天入団が決まったとき、野村克也監督の理論とマッチするのではないかと思った。野村監督のもとで田中がどんな投手に育っていくのか楽しみだ。

 そして、自他共に認める負けず嫌いの田中なら絶対思っているはずだ。「斎藤とプロで対決したい。今度は勝ちたい」と。

 ○…あけましておめでとうございます!昨年11月から始まり、まだまだ試行錯誤状態の当ブログですが今年もよろしくお願いいたします!

January 2, 2007 01:56 PM | コメント (12)