2006年12月30日
PCの副産物 変換ミス:村上秀明
年賀状を書いていて、書きたい漢字がとっさに出てこない。こんな経験はないでしょうか。あて名や裏面の基本デザインはパソコンで印刷するにしても、たった一言書き添えたい文章の漢字が出てこなかった。昔は簡単に書けたはずなのに…。いかにパソコンの「変換機能」に頼っているかを痛感している。
パソコンを使うと確かに早く、きれいに文章が仕上がる。書きたい漢字もキーボードを使い変換していけば、いくつかのパターンから「これっぽい」「これだろう」と、ほとんどは正解にたどり着ける。この選択できてしまう形式が、個人的には漢字能力(特に書く力)の低下につながっているのだろうと思う。
先日、興味深い新聞記事を目にした。財団法人の日本漢字能力検定協会(京都市)が「漢検“変漢ミス”コンテスト」の結果を発表したというものだ。一般から応募された「変換ミス」の文章を、インターネットのオンライン投票で順位付けをする年間コンテストだ。2079作品が集まったという。
最優秀賞の「年間変漢賞」には「遅れてすいません。回答案です」を変換ミスした「遅れてすいません。怪盗アンデス」が選ばれた。会社員の男性が、終電間際に会議の資料を仕上げ、確認せずに焦ってメールを送信したときのミスで、同僚から「怪盗が遅刻しちゃだめだろう」「腰の低い怪盗だな」と大笑いされたという。
他のエントリー作品も「正しい変換」→「変換ミス」の形で紹介する。
「ラフにハマってしまって…」→「裸婦にハマってしまって…」
「花屋で献花買って行くね」→「花屋で喧嘩勝って行くね」
「阿寒湖の毬藻」→「アカンこの毬藻」
「運転席側に置きっぱなしだけどよろしくね」→「運転席がワニ置きっぱなしだけどよろしくね」
どれもこれも、状況を想像すると笑えるが、エントリーリストをずっと見ていたら徐々に笑えなくなった。常にパソコンを使って言葉を変換し、記事を書く仕事をしていると、新聞上の変換ミスは笑って済まされないからだ。変換ミスは誤字、脱字などを含め「赤字」と呼ばれる。完ぺきに対処しなければいけないが、恥ずかしながら、永遠のテーマでもある。
「“変漢ミス”コンテスト」の作品は極端な例だが、個人的に「変換」でミスするのは、おっちょこちょいもあるだろうが、漢字の能力に自信がない証拠だと自覚している。今年は、漢字学習のゲームソフトが発売2カ月で想定売り上げの10倍を上回る55万個を突破したという。パソコンが必需品のようになり、漢字を手で書く機会が少なくなったといえる時代だからこそ、分かる気がする。
読めるけど書けないという現状を打破し、「変換」だけに頼らない漢字の知識を身に付けなければ、と感じている。記事を書いている立場で情けない限りだが、漢字を書き間違えて無駄になった数枚の年賀状を見ていたら、何かやらなきゃと思った。
December 30, 2006 12:04 PM
