2006年12月29日
’06から情熱を考える:浜崎孝宏
06年もあとわずか。07年の新しい灯(あか)りが待ち構える中、各メディアで今年の10大ニュースなどが報じられ、1年間を振り返っている。スポーツ界でもいろんな出来事が起こった。
個人的に言えば、ドイツW杯を最後にユニホームを脱いだ中田英、日本ハムの日本一に貢献した新庄がバットを置いたこと、ソフトバンク王監督が胃がんの摘出手術のため、シーズン中に戦列を離れたことが脳裏に浮かぶ。
中田英と新庄は、その世界ではファンから圧倒的な人気を誇り、中田英が29歳、新庄が34歳での現役引退。単純に年齢だけを見れば、円熟味を増したプレーが期待できたのではという思いもある。スタープレーヤーの大きな火が、また1つ、消えるような寂しさを覚えた。
新庄は足の肉離れなど納得いくプレーがファンに見せられなくなったことが引退理由の1つだという。中田英については分からない。ただ、W杯1次リーグ敗退のブラジル戦後、ピッチで大の字に寝転がり、泣いていた。クールなイメージがあっただけに印象的だった。
2選手とも、絶頂期のうちに選手生活に幕を閉じた格好となったが、記憶の中には、スレンダーボディーから醸し出す強じんな精神力、プレーは現役当時そのままに、熱くファンに語り継がれることだろう。
一方、サッカー界のキングこと「カズ」は39歳にして現役、血気盛んだ。球界でも38歳の桑田が、さらなる活躍の場を求めて、米メジャーに挑戦する。王監督も病気から少しずつ復調している様子で、V奪回へ向けて、来季も指揮を執るハートに衰えはない。
5人は、いずれもカリスマ性のあるスターだが、生きざまが対照的に見える。カズと桑田に関して言えば、心のどこかに不完全燃焼の感があり、活躍のステージがある限り、理想のプレースタイルを追求していくのだろう。王監督が口癖のように話す「グラウンドで死ねたら本望」というコメントは、その究極だろう。
ユニホームを脱ぐか否かは、いずれにせよ本人が決めることで、それが早いか、遅いかに正解はないと思う。ただ、その決断を下す重要なファクターとは何なのだろう。答えは多分、情熱じゃないかと思う。情熱という言葉を辞書で引くと、燃え上がるような激しい感情とある。
家庭的環境や、金銭面の問題など情熱を仕事に存分に注げない状況の人も、世の中にはたくさんいると思うが、この感情を捨てては人生面白くない。プロ5人の生きざまをあれこれ、考えていると自分の情熱とは何なのか、という思いにたどり着いた。ふと思い出したのは「五輪に取材記者で行きたい」と記した14年前の入社願書だ。残念ながら、思いは達成されていないが、こればっかりは、誰でも取材でスポーツの祭典を味わえるわけでなく、周りの後押し、運、タイミング、実力などさまざまなものが必要なことは理解している。今となっては、入社当時の話を口に出す方がちょっぴり恥ずかしい気分になるが、そんな初志が、今の自分を支えてきたのかも知れない。
December 29, 2006 12:32 PM
