記者コラム「見た 聞いた 思った」

2006年12月17日

築地場外のターレー:寺沢卓

 築地市場移転を知ってますか? 2016年、東京五輪誘致計画で、築地市場跡地にメディアセンターを設置する、とある。ん、跡地? 12年に中央区築地の東京中央卸売市場は、直線距離で南東に約3キロ離れた江東区豊洲に引っ越しをする予定になっている。

 勘違いしちゃいけないのは、通称「築地場内」と呼ばれる仲卸エリアが移転して、一般の人たちが自由に買い物できる「築地場外」はそのまま残る。

 なぜか? 分かりやすく説明すると、場内は都の土地。場外は個人所有なので、移転対象は場内だけ。場外残留の認知度が低いため、場外の若い衆はどのようにアピールすればいいか頭を悩ませている。

 昆布の老舗「吹田商店」の5代目吹田勝良さん(41)はNPO法人「築地食のまちづくり協議会」のイベント係だ。「なんとかターレーを使いたいんスよ。築地の顔ですから」。築地に足を踏み入れた人なら見たことがあると思う。ドラム缶みたいなエンジン部分に丸いリングのアクセルとハンドルがあって、その後方は全部荷台。魚を運ぶ、恐ろしく低速で走る市場特有の乗り物だ。最高時速は15キロ。正式名称はターレット・トラックだが、みんなターレーとしか呼ばない。

 車両登録が必要で、公道は走れる。「できれば、これでパレードをやってみたい。でも、以前、警察署に道路使用許可を提出したら、あっさり却下。あきらめきれないから今年10月、近くの公園で試乗会をやったら行列ができた。これ、絶対ウケるんだけどなぁ~」。吹田さんは未練タラタラである。

 で、実際、市場の駐車場で試乗させてもらった。左のギアは前に倒せば「前進」、後ろに引けば「後進」。大きな下のリング(ハンドル)をグルグル回して、その上のリング(アクセル)を下に押すと簡単に動く。右足のペダルがブレーキだ。説明1分で誰にでも運転できてしまう…普通免許は必要ではあるが。

 楽しい。試乗会とパレードを組み合わせれば最強のアピール材料になる。例えば、晴海通りを銀座まで移動して、日曜なら銀座通りは歩行者天国になるから、そこで100台ぐらいで行進したら迫力ありそうだ。「築地場外は残ります」などの横断幕と「ターレーみたいに低速で」とかで交通安全も訴えたい。

 どうせなら荷台に200キロ級のマグロとか、昆布やめんたいこ、市場長靴、竹で編んだ四角い買い物かご、焼きたての卵焼きなど名物を展示しながら低速で走れば親子連れも大喜びだろう。

 日刊スポーツも築地の住人。場外を盛り上げられるなら、ひと肌もふた肌も脱ぎますよ!

December 17, 2006 01:07 PM