2006年12月14日
甘すぎる外国人契約:沢畠功二
最近、プロ野球の外国人市場で、異変が生じている。米大リーグではなく、国内他球団への移籍だ。昨オフの例を挙げれば、李がロッテから巨人、デイビーは広島からオリックス、パウエルはオリックスから巨人、セラフィニはロッテからオリックス、そしてフェルナンデスが西武から楽天に移った。11月30日までに所属球団と合意しなければ、他球団と交渉できるからだ(李はロッテと契約後に移籍する異例パターン)。
プロとして、より条件の良いチームを求める。当然だろう。最も鮮烈だったのがヤクルトのペタジーニだ。最低でも「2年総額20億円以上」(土井球団代表、当時)を提示した巨人を迷いなく選んでいる。
ヤクルトとの契約が切れる02年オフ、去就が注目されていた。帰国する際の成田空港。本心を探ろうと殺気立つ報道陣に、25歳年上のオルガ夫人がキレたことがある。「おカネ…」の単語が聞こえるやいなや「おカネ、ノー。たとえクッションとして座ることができるほどのお金があっても、私たちが欲しいのは(チームからの)愛なのよ」。庶民感覚でこんな例えは、冗談でも思い浮かばない。来日後の6年間で、少なくとも30億円は稼いだ夫妻。さぞかし優雅な生活を送っていることだろう。
本題に戻り、今年も有力助っ人の去就が決定していない。ヤクルトはノーヒット・ノーランを達成したガトームソンが、7倍増の要求をしてきたことで決裂。ソフトバンクのズレータ、日本ハムのセギノールらが合意しないまま、保留者名簿から外れた。ある渉外担当者は「これが日本慣れした代理人たちのやり方」と嘆いた。メジャーでは高額契約は期待できない。それなら日本で、もうけよう。外国人との契約に甘い市場を熟知した代理人たちの手口である。
なぜこうなったのか。豊富と思われがちな米市場だが、実際に3Aなどを視察したことがある球界関係者は「現実は違う。日本が獲得できるような選手は限られている」と言う。日本での実績を重視した方が計算できる。そういう国内球団の考えが、見透かされている。メジャーで高条件を引き出せなくても、日本の市場は魅力だ。今季なら西武カブレラの6億円、中日ウッズの5億円、巨人パウエルの2億円などは、まさに日本価格だ。
ほとんどの外国人選手は1~2年契約を結び、オフの11月30日をもってFA扱いになる。慌てて契約しなければ、より条件の良い球団を選べる。しかし自由に移籍できない日本人選手からすれば、不平等極まりない。メジャー契約が微妙な選手を高額で引き留めるから相場が高くなる。
古くは開国後の1858年(安政5)、日米修好通商条約が不平等条約として有名だ。優良助っ人の契約には甘すぎる傾向がある。12球団で構成する実行委員会のメンバーでもあるヤクルト倉島専務は言う。「契約するときに、例えば3年は国内移籍を禁止するなど統一したほうがいい。すでにそのような条件をつけている球団はいくつかあるんだから」。資金力豊富な球団以外は深刻だ。
December 14, 2006 10:12 AM
