記者コラム「見た 聞いた 思った」

2006年12月10日

北海道発「もっこり」:村上秀明

 北海道東部にある阿寒湖で先日、国の天然記念物マリモの「冬支度」作業が行われたというニュースが流れていた。秋まで展示されていた場所から移動させ、来春まで鉄かごに入れて湖底に沈められるという。その光景を見て、あらためて思った。そういえば、今年はマリモの活躍が目立っていたなあ、と。

 年末になると10大ニュースとして、その1年を振り返るが、北海道関係だけでもいろいろなことが記憶に残っている。全国区の話題としては、日本ハムの日本シリーズ制覇、コスモバルクの海外G1制覇、駒大苫小牧が夏甲子園準優勝などがすぐに出てくるが、独断と偏見で隠れ上位候補だと思っているのが「まりもっこり」旋風だ。

 「まりもっこり」とは、マリモをモチーフにしたキャラクターだ。愛嬌(あいきょう)のある大きなタレ目で、下腹部が「もっこり」と膨らんだスタイルが最大の特徴。決して品のあるキャラではないが、若者を中心に「キモカワイイ」という評判を呼び、10万個が大ヒットと言われる業界で1年余りで30万個を超える爆発的ヒットをかっ飛ばした。

 人気は津軽海峡を渡り、2月のトリノ五輪に出場したフィギュアスケートの「ミキティ」こと安藤美姫が携帯電話のストラップに使っていたことで、全国的に火が付いた。先日取材したニュージーランドからのラグビー留学生のバックにも「まりもっこり」はぶら下がっていた。北海道内のお土産店には欠かせない有名キャラクターとして定着している。

 「もっこり」部分を引っ張ると振動する種類も発売されたが、商品化のきっかけもばかばかしい。もともとは、札幌市内の観光物産品総合卸会社社長のダジャレだった。社員の反応は冷たかったが05年2月に発売開始。地元の阿寒湖畔では当初「マリモに失礼」と不評だったといい、ホテルでの販売扱いを断られるなどしたそうだが、メディアを通じて人気が広がった。

 今では「べにいもっこり」(沖縄バージョン)「もっこりんご」(信州バージョン)など北海道以外にも続々と進出。北海道発信のものが全国に広がると、たとえ「もっこり」と品のないキャラクターでも誇らしく思うし、うれしい気分になる。全国へのブーム発信は何より「北海道は元気だぞ」と感じさせてくれるようで、頼もしい。

 全国からの観光客が絶えない旭川市の旭山動物園は冬期営業も活気がある。ラーメン、ジンギスカンに負けないぞと、札幌市内に200件以上の専門店があるスープカレーが北海道の食文化に加わった。札幌の初夏の風物詩となったYOSAKOIソーラン祭りなど、ここ十数年で北海道から全国にその名をとどろかせているものがある。

 威勢のいい部分だけを並べたが、夕張市が巨額赤字を抱え財政破たん、多額の赤字を抱えるばんえい競馬の存廃問題など、明るい話題だけではない。何かに立ち向かわなければならない人も多くいる。ただ、そんな北海道だからこそ、北海道発の「元気印」から何かを学びたい。そして、発信していく精神を忘れたくないと思っている。

December 10, 2006 11:16 AM