2006年12月01日
オリックスの催しに7000人という現実:松井清員
25日に行われたオリックスのファン感謝イベントに集まった観衆は、わずか7000人だった。イチローが在籍していた98年以来、実に8年ぶりのファン感謝イベント復活。だがフタを開けてみれば、11位楽天の1万7454人からも大きく引き離され、12球団で最も少ないファンの動員数だった。内、外野席ともにガラガラのスカイマークスタジアムを見回してみると、主催者発表の人数より、実際はもっと少ないようにも感じた。
そして目を凝らして見ると、防寒着をまとったファンは客席で震えていた。最高気温10度の天候のせいだけではない。フェンス越しのスタンドから、じっとグラウンドでのイベントを“眺めているだけ”だったからだ。メーンは地元女子高生VSオリックスナインのソフトボール対決や、吉本芸人VSオリックスナインの野球対決。清原や吉井のトークショーで瞬間的には盛り上がったが、ファン参加型は○×クイズなど少数で参加できる人数もごく少数。3時間のほとんどがファン不参加型イベントだった。
「これじゃ面白くないでしょ。ただでさえお客さん少ないのに来年はもう来ないって人もいるんやないですか」。中村紀洋は怒りも込めてそう言った。目の前では出番のない選手がウインドブレーカーに身を包んでベンチに座り、手持ちぶさたに時間が過ぎるのを待っていた。「ヒマな選手もたくさんいるんやし、球団も機転を利かせて即席のサイン会とかやったらエエのに」。その時グラウンドでは猿VS北川のトイレットペーパー早巻き対決が行われていた。ある主力も「こんなんテレビでも見れる。一緒に綱引きしたり駆けっこした方が子どもも喜ぶやん」と口をとがらせていた。
少ない観客に加え、お寒いイベント内容。とても寂しい気分になったが半面、選手が球団に怒りの声を上げたことは救いだった。今季はプレーオフ争いすら参加できず、8月末に7年連続Bクラスが確定。それでも毎試合、選手のために声をからす熱心なファンがいた。遠征費や交通費はもちろん自腹。どんなに負け続けようが午後6時の試合開始にはトランペットを吹いてきたファンに、何とか報いたい気持ちが伝わってきたからだった。
オリックスがこの7年間ファン感謝イベントを行わなかった背景には、スポンサーの撤退があった。イチローのメジャー流出を引き金に、成績下降、人気低迷の悪循環。スポンサーが消えると球団は身銭を切ることもなく、ファンに感謝する場と新たなファンを開拓する場を放棄していた。今年は清原や中村の加入もあって再びスポンサーが付いての復活。だが1度惜しんだ営業努力にファンは敏感だった。8年ぶりの開催、そして近鉄との統合で2球団分のファンが一緒になっても、7000人という現実が、事態の深刻さを物語っていた。
強いチームのファンは優勝や優勝争い参戦の満足感で、ある程度報われると思う。だが負けたチームほど、報われる機会は少ない。それだけに弱い時、苦しい時に応援してくれるファンこそ、球団は大切にしていく必要があるのではないだろうか。努力もせず「ファンのために」と叫んでも空々しいだけだ。球団は現実を受け止め、お客さん第1主義の原点に返って欲しい。
December 1, 2006 10:42 AM
