2006年11月25日
馬券を買わせる企画:岡山俊明
中央競馬の売り上げ減に歯止めが掛からない。特に秋G1の落ち込みがひどい。メンバー構成は昨年と大差はない。むしろ馬券的な興味は増しているにもかかわらず、軒並み前年比マイナスとなっている。スプリンターズS85・9%、秋華賞96・7%、菊花賞80・5%、天皇賞(秋)82・0%、エリザベス女王杯98・4%、マイルCS83・6%。権威ある天皇賞の20%近い減収は尋常ではない。
一因には凱旋門賞のディープショックがある。禁止薬物検出が明らかになって1カ月近くもファンに対して何ら説明がなく、憶測が憶測を呼んで疑惑が増幅され、競馬に対する信用が失われた。しらけたのだ。
楽しくなければ競馬に参加する気になれない。その点、体育の日に訪れた盛岡競馬場は、お祭りの雰囲気を十分味わえて競馬の良さを再認識させてくれた。メーンレースはG1の南部杯、全国各地の特産品を販売する屋台がズラリと並び、もうもうと煙を上げる川魚の塩焼きが食欲をそそる。名物ジャンボ焼き鳥を手に、生の迫力を堪能した。
その日は「キリンデー」と銘打たれ、外れ馬券2000円分でキリン商品が抽選で当たるイベントも開催されていた。レースが終わるたびに外れ馬券を手にしたファンが抽選会場に駆け集まり、抽選箱から取り出す玉に一喜一憂。1Rは「キリンのどごし生杯」、4Rは「麒麟淡麗生杯」、6Rは「小岩井まきばアイスクリーム杯」というように、全レースでスポンサー商品が用意された。外れ馬券が抽選券に化け、ちょっとお得な気分を味わえる。
「よし、じゃあ買ってみるか」と自分もその気になった。幸か不幸か馬券がよく当たって抽選には1度しか並べなかったが、ファンはかなり楽しんでいた。
仕掛け人は盛岡県競馬組合の佐々木幸人営業係長。「馬券を買うきっかけになればと思って始めました。競馬にはいろいろな楽しみ方があると知って欲しかった。スポンサーさんは商品の宣伝になるし、岩手競馬はイメージアップになる。非常に好評で、来年もやらせていただく予定です」。企画の大成功に声も弾む。賞品は勝ち馬の関係者にも授与され、喜ばれた。今月はJAと提携して新米プレゼントを実施。岩手の新しい品種「どんぴしゃり」のPRを兼ね、こちらも話題になった。
盛岡競馬で外れ馬券を元に賞品をプレゼントするアイデアは、昨年には実現していた。その名も「リベンジ大作戦」。年間4回、5000円分の外れ馬券を1口として募集し、10万円相当のホームシアターセットや高級ブランド品、旅行券が当選者に配られた。応募総数は多い時で7万口余りにも達した。外れ馬券にも夢が詰まっているならば、購買意欲も刺激されよう。ファンの求めに応えようと知恵を絞る主催者の努力は、必ず報われる。
中央びいきの当方も、一連のディープインパクト騒動にはへきえきした。中央競馬は一から出直すしかない。
November 25, 2006 12:10 PM
