記者コラム「見た 聞いた 思った」

2006年11月17日

“ギタカバ君”が群馬活性化の鍵:寺沢卓

 カバがギター? はて、何だろう?

 「社会面担当者さま」という封書は月に200通はくだらない。その郵便物の山の中に、このカバがいた。そのギャップに引き寄せられた。だって、カバはギターを持たないでしょ。名前は「ギタカバ君」。来年3月4日、群馬県前橋市で行われる「フォークソングス・カバーズ・コンテストinぐんま」(通称カバコン)のマスコットキャラクターだ。

 気になって実行委員会事務局に聞いた。「あのマスコットで『何だ、こりゃ?』と思ってほしかった」とは副委員長の加藤和広さん。まんまと術中にはまった。

 カバコン企画会議中に加藤さんがパソコンで、マウスを動かしながら約1分で描き上げた。横から別の委員が口を挟み「これ、マスコットにすんべ」ということになった。なんとも単純な理由で、イラスト業者に発注することなく決まった。この委員会は民間主導で、企画は仕事を持つ一般市民の有志で考えている。

 昨年、群馬県を舞台にしたNHKの朝の連続テレビ小説「ファイト」が放送された。放送期間中、観光誘致にもつながったこともあり、県民が元気になるイベントをつくるための「ファイトぐんま県民会議」を県が発足させた。

 県を5分割して前橋市を含む中部、西部、東部、吾妻、利根・沼田に県民局を設置した。「ファイト」冠イベントを開催するための土台だ。中部県民局ではカバコンを実施することになった。

 県職員が地域で元気な人に声を掛けた。加藤さんが赤城山をベースにするフォークソングデュオ「ガーネット」を奥さんと組んでいたことから白羽の矢が立った。「この手のコンテストは自作曲ばかり。でも会場は群馬。昔のフォークならお客さんも口ずさめて盛り上がる」。確かにそうだ。

 来年07年は団塊世代が大量退職する初年度。バリバリに働いているころに勇気づけられたフォークで「ファイトを出してもらいたい」との理由もある。アコースティックギターで勝負するコブクロやWaTの人気で10~20代の参加にも期待を寄せる。私もアリスだったら歌詞なしで全部歌える。

 地方で町の活気がなくなったことを嘆く声は多い。若者は都会を目指すし、地方主導の道州制は本当に運用されるのか。結局、独自で立たなければ地方活性化なんて無理。群馬県が活性化のモデルケースになるかもしれない。

 「ファイト」では地元民オーディションから映画もつくった。大規模な物産展も成功した。ソフトボールやサッカーの大会にも「ファイト」をつけて地域ぐるみのイベントに変わった。地方発の文化が生まれれば、住んでいる地域がより誇らしく思える。

 カバコンでは来年1月15日まで参加者を募るという。全国で予選を勝ち抜いて、前橋市がフォークの聖地となって全国大会……そうなったら楽しいべなぁ。

November 17, 2006 11:00 AM