2006年11月10日
金で買えない距離感:村上秀明
年末は全国各地のホテルでディナーショーが行われるが、札幌市内のホテルにはトップアイドル松浦亜弥がやってくる。あややにとっても初めてのディナーショーらしく、ちょっとした注目だ。料金3万2000円を高い、安いと感じるのはそれぞれだと思うが、大会場でのコンサートでは味わえない「至近距離」が醍醐味(だいごみ)には違いない。
初めてディナーショーに行ったのは、10年前になる。入社1年目で販売部所属となり、新聞販売店の奥様方と北海道滝川市のホテルに足を運んだ。音楽に合わせてステージ脇から登場したのは布施明。歌っていた曲は「君は薔薇より美しい」だった。
張りのある声以上に驚いたのは、本人と客席が予想以上に近かったこと。会場は100人ほどだったと記憶しているが、「シクラメンのかほり」を歌いながら布施は各テーブルを回って握手するなど会場内を動き続けていた。ファンが布施の腕に触れたり、逆に肩を抱かれたり-。目がハートになっていた年配女性も多かった。個人的には熱烈ファンではなかったが、それ以降、かなりの親近感がわいた。
ファンになる第一歩は、こういう単純なきっかけが大きいような気がする。中学1年で、旭川スタルヒン球場で初めてプロ野球の広島-大洋を観戦したが、大洋新浦とポンセ、広島ランスに向けて、使い捨てカメラのシャッターを押しまくった。写真をアルバムに張って以来、気になる選手になった。大学時代には、何げなく行った女子プロレス会場で人気選手の井上貴子と握手した。触れ合うことで距離感が一気に縮まった気がした。
日本ハムがこのほど発表した選手が北海道内行脚という企画に、とても好感を持った。22、23日に札幌だけでなく、旭川、函館など計7エリアでトークショーやサイン会を行うというものだ。18選手が9組に分かれて、北海道各地にあいさつに出向くが、ここまで大々的に遠方まで訪問するのは初めてのことだという。
北海道のチームとはいえ、今季の札幌ドーム以外のホーム公式戦は旭川、函館の2カ所(2試合)だけだった。札幌以外のエリアでは、日本ハムは「テレビの中のもの」という距離感を持つ人が多いかと思う。日程的にシーズン中は難しいが、こういうオフ期間に金子、森本が最北の稚内市などプロ野球と縁が少ない地域に赴けば、触れ合う絶好の機会になる。まさに「ディナーショー感覚」で大賛成の企画だ。
去就が確定していない選手もいるが、ファン獲得の最大の功労者といえる新庄剛志が引退した。日本一には沸いたが、北海道に定着するための本当の勝負は始まったばかりだと思う。プロ野球球団として、当然ながら最も広大なエリアをフランチャイズにするチームだけに大変な部分はあるが、ファンとの距離感を少しずつでも縮めていってほしい。
November 10, 2006 01:09 PM
