2006年11月08日
佑ちゃんの4年後楽しみ:鳥谷越直子
♪さよならは別れの言葉じゃなくて♪
10歳の息子が25年前に大ヒットした「セーラー服と機関銃」を口ずさんでいた。先月始まったテレビのリメーク版で覚えたようだ。
♪再び合うまでの遠い約束♪ と続けると、「何で知ってるの?」と驚いた様子。私、全部歌えるんですけど…。
映画「セーラー服と機関銃」がはやった当時、中学2年だった私の周りの女子はみんな「カ・イ・カ・ン」を物まねし、男子の多くは主演の薬師丸ひろ子ファンだった。薬師丸は優等生発言で好感度アップ。人気絶頂期に一時休業して大学進学を選択、周囲を驚かせた。
「優等生発言」「大学進学」と言えば、「ハンカチ王子」こと早実の斎藤佑樹投手である。大ヒット映画から四半世紀がたち、時代が再び「清純派アイドル」を求めたのだろうか-。
球史に残る甲子園での決勝再試合を制した斎藤は、ふだん野球を見ないOLや主婦層にまで強烈な印象を焼き付けた。テレビ各局が生中継した進路表明会見では、ヤクルト、横浜など複数球団からドラフト1巡目指名を示唆されながらも、大学進学を希望した。あるスカウトはいまだに「あの子ならすぐ通用する。あれだけ人気が出たのに地味な大学野球で埋もれるのは惜しい」と言う。
たぐいまれな人気と実力を備えた斎藤に、大学野球関係者も大いに注目している。10月28日からの東京6大学リーグ最終週の早慶戦で、「斎藤が始球式」を行うプランが水面下で現実味を帯びていた。甲子園と国体で2冠を獲得した斎藤の「神宮お披露目」の企画だった。担当校の早大の推薦が条件だったが、早大OBの多くがこれを望まず、実現しなかった。
「伝統の早慶戦で、高校生が大学生を空振りさせるのはいかがなものか」「これから大学生活が始まるのに、1人だけ特別扱いしたらかわいそう」という意見が多かった。斎藤ファンには残念な結果となったが、やはり上下関係を無視した「特別扱い」はしこりを残す。大学球界の雄、早大に進学すれば、昔ほどではないにせよ体育会の上下関係の中で厳しさを味わうだろう。プロと違いマスコミへの露出もそう多くないから世のフィーバーも沈静化するはずだ。「何でも着々」の斎藤のこと、その間に技術を磨き、パワーとスピードをつけて4年後に再びブレイクする、とみる。
先日、明大OBの阪神星野SDが、ある集まりであいさつした。「来年は斎藤君が早大に入るから、神宮にもお客さんが増えるだろう。でもおばちゃんばっかりでしょう。もっと力と力の勝負でお客さんを沸かせる6大学になってほしい」。
斎藤にとって、大学4年間は「アイドル」から脱皮するいいチャンスだ。端正な顔立ちや「ハンカチ」がクローズアップされがちだが、その名を挙げたのは紛れもなく投手としての実力のはず。薬師丸ひろ子は大学4年間で大人の女優へイメージチェンジした。斎藤はどんな顔でプロの門をたたくか、今から楽しみだ。
November 8, 2006 10:43 AM
