2006年10月31日
ひちょり意外な活躍:村上秀明
日本ハムの興奮は意外なところにも波及していた。44年ぶり日本一は、多くの北海道民に夢、感動を与えたのは間違いないが、あるマイナースポーツにも「感激」と「刺激」を与えていた。プロ野球とは、まったく異なった競技といえるスピードスケート界だ。
日本一決定の翌日、長野・エムウエーブで全日本距離別選手権の公式練習が行われた。北海道出身者が多く、会場に行くと顔見知りの関係者から握手を求められるなど、自然と日本ハムの話題があがった。テレビ観戦したという選手は多かったが、話題の中心は引退試合だった新庄剛志外野手より、圧倒的に森本稀哲外野手だった。
なぜか? ビールかけの映像で、スピードスケートの競技用ワンピースを着ていた姿が映し出されたからだ。スポーツ用品メーカーのミズノが、日本ハム選手側の「北海道らしいものでもっと目立つものを」というリクエストにこたえ、数種類のアイテムを準備。「ジャンプスーツもあったようです」(ミズノ広報)という状況の中、森本がスピードスケート用を選択していた。そんな姿に「親近感がわいた」とスケート関係者は口をそろえた。
「日本ハムには勇気を与えられた」と話したのは帯広市出身で、長野五輪金メダリストの清水宏保だ。「マッサージそっちのけで試合を見ていた。森本選手は(スケート競技用の)サングラスも付けていたし格好はばっちりでしたね」と、ワンピースの着こなしに合格点を与えていた。
トリノ五輪で選手団主将を務めた岡崎朋美(清里町出身)は「ひちょりさん、すごい感激です。北海道ならジャンプの格好かなと思っていたけど、スピードスケートなんて。会場で待っています」と熱烈ラブコール。森本自身は「笑い」の演出用だったかもしれないが、「間接的に競技PRをしてくれた」と大まじめに喜ぶスケート関係者も多かった。
スピードスケートは冬季競技の中では、過去に多数の五輪メダルを獲得した花形だが、マイナースポーツのイメージをぬぐえていないことは関係者も認識している。特に五輪直後のシーズンは、どうしても注目度が下がってしまう。だからこそ、ファン開拓のアクションの必要性を、新庄を筆頭とする日本ハムから感じ取っていた。日本スケート連盟の鈴木恵一スピード強化部長は「ああいうエンターテインメント性は大事だよな」と刺激にしていた。
水面下では、ファン拡大のための改革の動きが始まっている。チアリーディングチームが競技の合間に競技を披露するなどのコラボレーションを考案中。まだ正式な形にはなっていないが、どこまで可能か現在、検討している。スケート場の気温が低いことなどクリアする面は多いが、集客作戦の動きには違いない。
数万人のファンが集まる大会もあるスケート王国オランダでは、楽団がポップな曲を奏でながら会場内を歩き回り、ファンを飽きさせない。本拠地の札幌ドームに4万人を超すファンを集めた日本ハムも、試合以外でも観衆を楽しませた。「喜んでもらえるなら着ぐるみでも着ますよ」と岡崎。刺激を受けたスピードスケート界の改革に期待したい。
October 31, 2006 11:32 AM
