2006年10月22日
日程は中日有利だが:松井清員
「こんなんタイガース史上初めてちゃうか?」。私が阪神担当だった昨年、岡田監督は事あるごとに青空を見上げてつぶやいていた。昨年の阪神は雨天中止がたった2回。それも1回目は交流戦の楽天戦(仙台)で3日後の月曜日に振り替えられ、2回目はシーズン終盤、8月30日の中日戦(甲子園)だった。感覚的には中止なしも同然。ドーム球場なら分からないでもないが、本拠地が甲子園だけに梅雨も台風もかわした奇跡が際立った。
だが順延試合がない影響で、シーズン最終戦から日本シリーズ第1戦まで16日間ものブランクができた。実戦形式の練習で打球が前に飛ばず、岡田監督が「感覚が鈍っとる。心配や」と嘆いた時は遅かった。阪神が空白の16日間を過ごす間、シーズン2位通過のロッテはプレーオフ第1、第2ステージで計7試合の激闘を制し、中4日でシリーズ突入。勢いの差は歴然で阪神は完敗の4連敗だった。
敗因に「ブランクの長さ」を挙げた評論家も多く、実際そうだったと思う。あれほど強かった虎が変わり果てていたからだ。シーズン中は“アメチュウ”が少なく、主力からは「少しは休みたい」とボヤキも出た。だが先発ローテーションも狂わず、営業収入も確実に計算できるなど、メリットの方が大きかった。最後に落とし穴があるとは誰も予想しなかったが…。
そんな阪神を思えば、今年の中日は理想的だ。ドームを本拠地としながら、地方主催試合やビジターで実に11回もの雨天中止があった。先発ローテのやり繰りは大変。営業的痛手もあっただろうが、シーズン最終戦は10月16日まで延びた。実戦感覚を鈍らせず、中4日でシリーズに臨めるのだ。10日の優勝決定後、「残り4試合を有効に使う」と話していた落合監督は満面笑顔だった。
ウッズや福留ら主力に適度な休養を与える傍ら、川相の引退試合を華々しく飾った。また川上ら先発陣にも3イニングずつの最終調整舞台を与え、成績下降選手にはシリーズ要員かどうかのテストまで行えた。日本一への機運を高め、消化試合を絶好の“プレシリーズ”にできたのだ。もし昨年の阪神がこの日程なら…と思わずタラレバを考えてしまうほどの万全さだ。
一方、日本ハムのレギュラーシーズン最終戦は9月27日。1位通過でプレーオフも第2ステージからの登場。あっさり2連勝で優勝を決めて“しまった”。シリーズまで中8日。紅白戦は行ったが、第1戦までの23日間で対外試合はプレーオフの2試合だけで、登板機会がなかった守護神マイケルや中継ぎの武田久らは実戦感覚で不安が残ることは否めない。
阪神が天のいたずらで泣いた日程の妙では、今年は中日が有利だろう。だが日本ハムがそんなハンディをものともせず、底力発揮で日本一を勝ち取るのか。ちなみに今年の交流戦は日本ハムの4勝2敗だった。シリーズはいよいよ、今夜開幕する。いろんな邪推をしながら、ワンプレーワンプレーに注目したいと思う。
October 22, 2006 10:44 AM
