記者コラム「見た 聞いた 思った」

2006年10月15日

予告先発なければ…:沢畠功二

 パ・リーグのプレーオフ(PO)第1ステージ第3戦の試合前、阪神で投手コーチを務めたこともある巨人OBの西本聖氏(本紙評論家)が首をひねっていた。記者席での雑談中、先勝した西武が第2戦でルーキー松永を先発させた話題になったときだった。

 西本氏「考えられないね。僕と江川さんは日本シリーズはもちろん、シーズンでも離れることはなかったよ。1戦目が向こうだったら2戦目が僕。僕が1戦目だったら、2戦目は向こう。今回は3つしかない短期決戦でしょう? 西口も調整が難しかったんじゃないかな。松坂で負けていたら多分2戦目だったろうし、連勝なら札幌の1戦目。ブルペンで投げる球数も違ってくるしね。それに3戦目と言われたら、口には出さないだろうけど、考えるところがあったと思うよ」。

 80年代の巨人投手陣は江川卓氏と西本氏が支えてきた。スター街道を歩んできた江川氏とは対照的に、テストからはい上がってきた西本氏。野球を離れれば、互いの自宅を訪問するほどの2人だが、グラウンドでは違った。それがチームに好結果をもたらしたのは言うまでもない。

 2人の間柄は別として、短期決戦における主力投手起用の難しさを痛感した。松坂が完封して、最高のスタートを切ったはずの西武が、連敗してシーズンを終えた。2戦目に今季3勝のルーキー左腕を抜てきした理由には、強心臓、ソフトバンクの左打者対策、現在の仕上がり、雌雄を決する3戦目よりは重圧がかからないはずだなどが考えられる。そして荒木投手コーチは「松坂、西口の順番では(タイプが似ており)これまで良くなかったから」とも付け加えた。ただ、結果が出てしまった今、正否を論ずることの意味はない。

 むしろ予告先発がなかったら、違う展開だったろう。西武は松坂、松永、西口、ソフトバンクは斉藤和、和田、寺原の順番で先発させた。両チームとも日本ハムが迎え撃つ、11日からの第2ステージを意識せざるを得なかった。今年から1位通過チームには1勝のアドバンテージが与えられるからだ。初戦を落とすようなら、そこで王手をかけられてしまう。11日に勝ちを計算できる投手を残しておけるのが理想。もし予告先発がなければ、ソフトバンクは2戦目の西武先発をどう読んだだろうか。西口か、涌井か、松永か。3戦ともオーダーを変えてくるようなチームだけに、相当頭をひねったであろう。

 81、83年の日本シリーズで、江川が先か西本が先か、子供心にもかなり気になった。1戦目直後に主催者から「西武松永、ソフトバンク和田」と発表されたが、ルールと分かっていながらも拍子抜けした。「本当なら奇襲なのに…」と。来年からはセ・パ合同のポストシーズンゲーム(PSG)が導入される。周知の通り、セは予告先発を採用していない。公式戦の試合数まで統一したのだから、アドバンテージ制度を含めて同じ方式でないと不自然になる。そこをどう話し合い、決着させるか。

 競馬もそうだが、予想する楽しみは当日ギリギリまでとっておいた方がいい。

October 15, 2006 01:31 PM