2006年10月12日
負け越しが日本一?:松井清員
パ・リーグのプレーオフ第1ステージ(PO第1S)は、ソフトバンクが西武を倒して勝ち上がった。白熱したレギュラーシーズンの延長戦のように、1球1球手に汗握る大接戦。「興行」は大成功だろう。セ・リーグでも阪神が中日を猛烈に追い上げ、10月まで盛り上げた。日本シリーズでも熱パ熱セの勢いそのままに、両リーグ代表が熱い戦いをしてくれそうだ。だが、楽しみな半面、来年こそが課題のように思う。
来年から両リーグ合同でポストシーズン制を導入する。セもPO形式の試合が導入される。具体的なルールはまだ決まっておらず、アドバンテージの問題など、今年のPOの成否は重要な参考資料になるという。だが、今年のパは近年にない大激戦で、最終戦まで順位が決まらなかった。最後は1位日本ハムと3位ソフトバンクの差は4・5まで開いたが、3球団に優勝チャンスがあった。文字通りの3強は、どこが1位通過してもおかしくなかっただけに、仮に3位のソフトバンクがPOを制しても、納得するファンも多いだろう。
だが、過去の球史を振り返った時、2強のデッドヒートはあっても三つ巴はめったにない。1位独走の1強5弱シーズンも往々にして存在する。来年はセにも3位まで日本シリーズ(来季は名称未決定)に進出する可能性が出てくる。当然、3位VS3位の日本一決戦もあるわけだ。両リーグとも3位が最後まで優勝争いに絡んだ末の展開なら、それもいいかもしれないが、シーズン負け越し3位同士の組み合わせになる可能性もゼロではないのだ。
今年のヤクルトは3位を確定させているが、2強に10差以上引き離されて勝率5割前後。最終的に負け越し3位となるかもしれない。実際、昨年の西武は負け越し3位でPOに進出した。1950年の2リーグ分立以降、昨年までの56年間で、負け越し3位はセで7回、パは6回ある。それも現ルールでは3位に入りさえすれば、第1Sをビジターで戦うことぐらいしかハンディはない。2つ勝てば第2Sに進める。
それも勝負の1つで、面白いという意見があるかもしれない。だが、140試合前後戦ってのシーズン1位は、かけがえなく尊いものだと思う。今年はゲーム差に関係なく第2Sのアドバンテージ1勝が与えられたが、それでもたった1勝かと思えてならない。ましてや負け越しチームが日本一の可能性を残す現制度に、強い疑問を感じずにはいられない。昨年POに進出した西武の選手にも「僕たちが勝っていいのか複雑な気持ちだった」と明かしている。
そこで個人的意見だが、負け越しチームは、3位であろうとPOへの進出権利は、はく奪すべきではないだろうか。その場合のPOは第2Sだけでいい。勝率5割以上でも、1位と10差以上離されれば出場資格なしなど、もっと厳しい条件を付けていいと思う。うまくいき過ぎとも言える今年の盛り上がりにばかり目を奪われていては危険だ。実際戦う選手はもちろん、ファンは心理はどうなのか。関係者には是非慎重な議論とルール作りを望みたい。実際に負け越し3位の日本一が誕生し、慌ててルール改正するようでは、日本球界が笑われるだけだ。
October 12, 2006 09:26 AM
