2006年10月08日
美しい国のクマは…:寺沢卓
クマの出没が止まらない。1日には秋田県仙北市でSMAPの草なぎ剛の遠縁にあたる草なぎ幸雄さんがクマに襲われた。持っていたなたで反撃して事なきを得たが、今年はこんな事件が頻発している。
長野県では昨年度からクマ出没をデータ化している。昨年度は出没1044件、狩猟も含めた捕殺は123頭で、9人が負傷した。今年度は出没が8月末で早くも1953件になり、捕殺は9月25日現在で232頭、人的被害は今月5日まで12人で、うち1人は死亡している。
今月2日には大野市(福井)が2年ぶりにクマ対策本部を設置。人的被害はないが、5日までに市内で痕跡も含めた出没情報は91件で、9月以降は82件。昨年10件に満たなかったことを考えると異常な増え方だ。これでは山歩きや山菜採りもできない。
秋田県田沢湖地区猟友会の真崎薫さん(59)は「大声で話していても襲われる。憶病で音のする方には近づかないのに。山によっぽど食い物がないんだ」と言う。山梨市牧丘猟友会の藤波敏会長(69)は「山にワナのオリを10個仕掛けた。ハチミツをたっぷり仕込んだけど、引っ掛からない。そりゃそうだ、里に行けば、巨峰、ナシ、リンゴの畑からいい香りがプンプンしてるんだもの」とため息をつく。
環境省の自然環境局野生保護課では、クマを含めた野生動物の各県統計を出しているが、これは捕獲件数であって出没件数ではない。しかも発表されるのは2年後。自治体や個人での対策はもう限界で、ここは政府主導の「全国クマ対策本部」を設置するしかないだろう。
安倍首相は9月29日の所信表明演説でこう言った。「世界最高水準の高速インターネット地盤を戦略的にフル活用して生産性を大幅に向上させます」。そこで、ネット普及政策の中でできそうなクマ対策を提案したい。まず、各地の猟友会に協力してもらってクマに麻酔弾を撃ち込み、GPS(衛星利用測位システム)ICチップを体内に埋め込む。ホームページ上でクマの居場所を情報公開すれば被害は減る。
山間部での携帯電話の受信状況を向上させることも必要だろう。電波が通じれば山岳遭難も減る。NTT出身の世耕弘成首相補佐官の腕の見せどころか。
猟友会に新規登録するハンターは減少傾向にある。クレー射撃で五輪出場経験のある麻生太郎外相に頭数調査会の名誉総裁になってもらい、若いハンターを育成するのはどうだろう。五輪選手が育ち、メダルでも獲得すれば「クマのおかげ」のコメントが世界を駆け巡る。
ツキノワグマは九州、四国、中国地区や紀伊半島で絶滅危機にあるという。研究者にとっては頭数調査に加わることで、生態系の実情を把握できる。野生グマが、絶滅したニホンオオカミのようにならない保証はどこにもない。
クマの出没は、動物と人間と自然の共存関係崩壊の警鐘である。「美しい国、日本」へ、再チャレンジ、憲法、教育基本法改正以外にもやるべきことはある。
October 8, 2006 11:13 AM
