2006年10月02日
今こそ長期的視野へ:松井清員
ホテルでの就任会見から1年足らず。オリックス中村監督の辞任会見は、スカイマークの選手食堂でひっそりと開かれた。「借金30に近い数字に、ケジメをつけざるを得なかった。ファンの皆さんに申し訳ない」。9月27日の今季最終戦終了後、中村監督は沈痛な面持ちで頭を下げた。無念の表情がありあり。真意とは180度違っていたからだった。
「自分から投げ出すようなことは絶対しない」。中村監督は常々、来季巻き返しへの意欲を語っていた。今季は清原や中村をはじめ主力に故障者が続出。戦力さえ整えばの自信があった。だがそんな思いとは裏腹に、フロントからは「一体どないしますのん?」と責任を押し付けられた。気が付けば、辞めざるを得ない状況に追い込まれた。表向きは聞こえのよい「辞任」だが、実際は「解任」だった。
「辞任したいという中村監督の意志は固い」「やむなく受諾しました」。宮内オーナーのコメントが何とも空々しかった。続投要請もなければ慰留もない。同じく辞任に追い込まれた現場NO・2の新井チーフ兼打撃コーチも無念をにじませた。「こちらが辞めると言っても、本当に必要なら『そんなこと言うな!』となるハズでしょ?」。
プレーオフ争いすら参戦できなかった中村監督の責任は重い。疑問に残る采配や選手起用もあった。だが低迷責任は100%現場とする手法に疑問を感じずにはいられない。チームを預かるフロントの責任はゼロなのか。それは全球団に共通する、プロ野球監督の悲哀と言えばそれまでだろうが、今のオリックスに当てはめるのはあまりに酷だ。
オリックスは01年オフの仰木監督退任に始まり石毛、レオン、伊原、仰木、中村、そして来季は外国人監督招聘(しょうへい)と6年連続で指揮官を代えている。長いプロ野球史でも珍しく、異常な姿だ。監督を代えればチームは再建できるのか。この間連続でBクラスに低迷している現実が、その答えにほかならない。その監督に任せたのは一体誰なのかということだ。
監督が代われば編成、戦略、起用、役割と方針すべてが変わる。コーチも代われば指導法も変わり、オリックスの選手はその度に戸惑っている。だが監督は1年で結果を出さなければいけないから、目先の1勝にこだわり、酷使もする。すべてにおいて長期的視野に立てないから、若い選手も育たず、強いチームづくりは遅れる。オリックス主力の平均年齢は30歳代中盤。その年齢構成そのものが、危機的状況を物語っている。
一昔前、低迷していたころの阪神もそうだった。それでも新監督に2、3年の「猶予」はあった。今のオリックスは1年限定で結果を求めている。これでは来季、元メジャー監督を迎えても同じ繰り返しだろう。来年も低迷すればまた監督を代えるのか。今こそ必要なのは長期展望に立った経営戦略。そして現場と責任を分かち合い、一体で戦うフロントの姿勢だ。関西には2球団しかない。だが「栄華の阪神」と「没落のオリックス」との差はますます広がっている。涙しているファンのためにもこれ以上、悲惨な歴史を繰り返してはいけない。
October 2, 2006 11:52 AM
