記者コラム「見た 聞いた 思った」

2006年10月01日

「明暗」から「明明」へ:村上秀明

 2つの並んだテレビ画面にプロチームの現実が見えた。

 27日、プロ野球の日本ハムがリーグ最終戦でプレーオフ1位通過を決めた。会社内でテレビ観戦したが、歓喜で沸き返った札幌ドームの熱狂ぶりが画面からも十分に伝わってきた。北海道本社の編集部では8台のテレビで、各局の映像が同時に見られるようにしているが、日本ハムの熱戦の横の画面に映っていたのが、北海道のもう1つのプロチーム、サッカーJ2のコンサドーレ札幌だった。

 同時間帯に、札幌ドームから車で約15分、わずか6キロほどの札幌厚別公園競技場で公式戦を戦っていた。雨模様の悪天候もあるが、観衆は同競技場の開催ではクラブ史上最少を10年ぶりに下回る3896人。消防法で定められた収容人数4万3473人の超満員だった札幌ドームの約11分の1。あまりにも対照的な映像だったが、はっきりと現状を映し出していた気がした。

 この試合で6-0と大勝し、J2の5位に浮上したが、J1昇格のチャンスが生まれる3位以内には厳しい状況は続く。J2降格から4年目。J1定着のための若手育成のスタンスもあり、我慢のシーズンが続いているとはいえ、上位争いでなければ世間の注目は徐々に薄れてしまう。必然的に報道も縮小気味になってしまっている。

 J1に再昇格した01年には「岡ちゃん」こと岡田武史監督のもと、強敵相手に健闘し、7月の横浜戦では札幌ドームに過去最多の3万9319人を動員した。札幌ドームが完成したばかりのタイミングもあるだろうが、シーズンの平均観客動員数は2万人を突破。華々しく輝いていた時期が確かにあったし、27日の寂しい観客数もまた、現実だった。「プロは強くなくては」。この言葉に尽きると思う。

 2つのテレビ画面から、お互いへのメッセージが発信されているような気もした。日本ハムは今季終盤戦で快進撃を見せたが、リーグ優勝は81年以来遠ざかっていた。その間、Bクラス(6チーム中4位以下)が15回。苦しんだ長い年月を経て、ようやくたどり着いたレギュラーシーズンの1位通過。コンサドーレ札幌に対する「悔しさの分だけ喜びがある」という激励に見えた。

 コンサドーレ札幌は、北海道初のプロチームとして大観衆に支えられた時期に比べると、成績とともに観客動員数は低迷。ある文献に北海道民の気質が「新しいもの好きでミーハー感覚が強い」と表現されていたが、その真偽は別として、栄光とどん底を味わってきたのは確かだろう。日本ハムに対する「強さの継続こそ大事だぞ」という教訓に見えた。

 今季の札幌ドームの日本ハム戦には、4万人を超す観客が何度も詰めかけた。昨年までは、3分の1も入っていない閑散とした試合も見てきただけに、ファンの反応は素直だとつくづく思う。当然、ファンがいなければ成立しないのがプロチーム。テレビ画面に映し出された道民2球団の「明暗」だったが、「明明」の日が来ることを心待ちにしたい。

October 1, 2006 12:49 PM