記者コラム「見た 聞いた 思った」

2006年09月26日

人気も育てる調教師:岡山俊明

 先日、開催中の船橋競馬場で催されたベストドレッサーコンテストをのぞいてみた。来場した女性ファンを対象にしたイベント。平日の昼間でどれだけ盛り上がるのか、正直疑問に思っていたけれど、予想を覆す盛況ぶり。華やかに着飾った女性数十人が集うと、スタンド2階の特設会場は男性ファンで埋まった。馬券オヤジたち(私もその1人)がレースそっちのけで注目する姿は、ちょっと意外な感じがした。皆、競馬ファンである前に男なのである。

 午後から始まったコンテストは延々と続き、メーンレースの前にようやく終了した。参加者は地元だけではなく、箱根から足を運んだ人もいた。あでやかなチマチョゴリをまとった美人が一般の部で優勝し、民族衣装を着たガーナ人女性が3位と国際色も豊か。60歳以上の部で1位に輝いた地元の女性は「お馬さんが大好きで、毎日通っているんですよ。馬券でもいい思いをさせていただいています」と明るい笑顔で会場を和ませた。自作の着物が涼やかだった。また、紫で統一した受賞者によると、船橋はあんかけ焼きそばがおいしいらしい。そんな通な情報も得られて楽しめた。

 競馬場でベストドレッサーコンテストとは、全国でも珍しい。昨年から始まって今年が2回目。実は仕掛け人は川島正行調教師(58)。自ら企画立案して審査員も務めた。競馬ファンなら川島師を知らない人はいない。地方競馬で今年4億円を超える獲得賞金は、2位を大きく引き離して全国リーディング。昨年はアジュディミツオーでドバイWCに挑戦するなど、世界にも目を向けている。それほどのトップトレーナーが、時間を割いて地元の活性化に取り組んでいる。

 審査員には歌手小金沢昇司、千葉県調教師会会長の出川龍一師、騎手会長の秋田実騎手らも顔をそろえた。地方競馬を愛するロッテの大塚明外野手もプレゼンターとして一役買った。調教師は管理馬が出走する際に立ち合い義務があるが、川島師の意向で主催者に特例を認めさせ、イベントを優先した。秋田騎手も数クラを犠牲にしてファンサービスに努めた。なかなかできることではない。

 川島師は言う。「ファンあっての競馬。女性が来てくれれば競馬場が華やかになるし、男性客にも楽しんでいただける。昔と同じことをやっていても進歩はない」。自身もだて男で立派なヒゲがトレードマーク。ドバイでは羽織はかまで指揮を執った。耳にはダイヤのピアスが光る。厩舎スタッフには正装を義務付ける。全面改装された厩舎は立派の一言。「宵越しの金は持たない」と公言し、馬で稼いだ金は馬に返す。イベントで使用したテントは自費で購入した。「レンタルでも50万円かかる。買えば3回で元が取れる」。

 ちなみに一般の部優勝者の賞品は、ドバイワールドCツアー招待! ほかにもバッグやテレビなど豪華賞品が用意された。競馬に縁のない人でも気軽に参加できるから、我こそと思う方は来年チャレンジしてみてはいかが?

September 26, 2006 10:21 AM