2006年09月22日
「ホーム」と呼べるか:松井清員
これでもか、これでもか。今年のオリックスは最初から最後までけが人に泣かされた。先日の西武戦でも2日間で菊地原、本柳、ユウキの3投手が故障で抹消。とうとう人員補充も追いつかず、本来ならベンチ入り投手9人のところ7人で戦った試合もあった。
清原、中村、北川、谷、阿部真、平野恵、後藤、吉井、川越、大久保、セラフィニ、デイビー。主力だけでこれほど登録抹消者が出ては、5位低迷は仕方ないのかもしれない。どの球団を見てもここまで故障者が出たチームは過去にもない。来季巻き返しへ、けが人撲滅は重要なテーマの1つになることは間違いない。
「でもこのままなら、来年はもっとけが人が出るんじゃないですか」。そんな中で、選手からはさらなる不安が聞こえて来た。オリックスは来季から専用球場を神戸から大阪に移す。スカイマーク(以下スカイ)での主催試合数は約20試合強に減り、京セラドーム(以下ドーム)での試合数は約40試合強に増える。ダブルフランチャイズ制の認可期限が切れる再来年は、より“大阪のオリックス”色が強まり、約9割がドームでの試合となる見込みだ。
スカイは12球団唯一の内外野天然芝。一方のドームは人工芝。当然選手の足腰への負担はまったく違う。ただでさえレギュラークラスの平均年齢は30歳以上。優勝へベストプレーを見せるどころか、故障が増えるのではと心配するわけだ。
何より1番の問題は、具体的対策が後れを取っている点にある。選手会長の川越はすでに、球団に足腰に優しいハイテク人工芝への張り替えを要望している。「今のドームの芝はちょっと硬い。選手の体に負担のかからないようなものに変えてもらいたいんです」。
97年に開場したドームの人工芝は03年に1度張り替えられた。だが摩耗などもあり、他球場の最新式に比べると硬い。ある外野手は「コンクリートの上で野球をしている感じ」と言うほどだ。「ドームは嫌いだし試合が増えるのはイヤ」とはっきり言う投手もいる。
だが残念ながら今の球団に、深刻な叫びに耳を傾ける空気は乏しい。ドームは今年オリックスが90億円で買収し、自分たちのものになった。「でもすでにオフにはイベントが入っていて、張り替え工事をする時間が取れるかどうか」(球団関係者)というものだ。
もちろん選手会も球団任せではいけない。本当に張り替えを望むならもっと声を大にし、切実に訴えていく必要がある。だが現状は人任せ的で空気は薄い。選手会長の川越1人に任せるのでなく、1人1人がもっと声を上げるべきだろう。
一体誰のためのグラウンドなのか。そこは来シーズンこそ屈辱を晴らすべく、それこそ自分たちが命懸けで戦う場所ではないのか。ホーム球場で有利に戦えないならこれほどの悲劇はない。故障してからでは遅いし、あとで不平不満や泣き言を言っても遅いのだ。
選手会の心からの叫びが結集してこそ、球団にも思いは届く。工期の再検討など、是が否でもベストの環境を提供しようと誠心誠意、努力するのではないか。7年連続Bクラスのチームが勝つためには、球団と現場が「本気」にならないと無理だ。人工芝張り替え問題が1つの象徴だと思う。
September 22, 2006 09:58 AM
