2006年09月04日
監督辞めさせる弱さ:井上真
横浜の牛島和彦監督のシーズン終了後の辞任の動きが明らかになった。96年に横浜の担当をしていたが、もろい球団体質はまるで変わっていない。
プロ野球のチームを持つということは何だ? 何を意味するのだろう。建前としては、スポーツを通じての健全な青少年の育成など、きれい事ならいくつもある。本質的な企業としての目的は、ホリエモンが近鉄を欲しがったように大きな宣伝効果であり、その先には企業としての利潤がある。
企業のイメージを高めるためにも、強く魅力あるチームであることが大切になる。選手や監督ら指導者を強化するのもそのためだ。なのに、能力があっても、結局は、球団内の確執によって強化途上のチームは解体させられる。
問題なのは、シーズン中に最重要項目であるはずの監督人事が外に漏れることにある。それもオーナー、球団社長らトップがそれら一連の話し合いと、牛島監督が辞任の意向を持っていることを半ば認めている点だ。そこには球団主導の解雇ではなく、牛島監督主体の辞任を暗に強調したい計算が見える。イメージを損ないたくない球団が、先手を取っているように映る。まるで政治の世界だ。
球団を強くしようという熱意があるとは思えない。今後、横浜の監督を任された人間なら、誰しもが考えるだろう。「この球団は夏場には人事の動きを外に漏らす。自分はどう動けばいいのだろう?」。まともな人間なら、とてもじゃないが夏場のペナントレースに集中できないだろう。
どの球団でも、水面下では来季に向けた編成の動きはある。逆に、検討すらしていなければ、それは企業努力が足りない。不振球団なら、先を見据えた具体的なビジョンが必要だ。誰を解雇し、浮いた人件費で誰を獲得し、そしてチーム全体をどう補強するか。選手に限らずコーチや監督、フロント幹部だってその対象になる。
首を切られる選手にはたまらないが、それが現実だ。そこで肝心なのは、そうした球団内の動きは、極力表に出さないようにする配慮がなければ、現場とフロントの信頼関係は成り立たない。
強いチームは、背広組=フロントも強いものだ。たとえそれが事実でも、球団にとって都合のいい部分であっても、フロントがしっかりグラウンドとファンを見ていれば、平然と徹底して否定できる。そして秋になり、すべてが終わってから上手に納める。それが、強いチームをつくるための、球団トップが守らなければいけない最低限のマナーだ。
一見すれば、牛島監督が低迷した成績の責任を取り、契約満了に伴って男らしく退団ということだろうが、球団は本気で引き留める気があるのか、と疑いたくなる。それほど、球団の本気度の低さがぷんぷんにおった。弱くなるチームは、フロントも親会社も含めてすべてが緩くなる。監督を慰留もできない球団が、本気で優勝を目指しているのか? やる気が伝わって来ない。
September 4, 2006 12:09 PM
