2006年09月03日
韓国映画から学んだ:村上久美子
韓国で史上最速観客動員1000万人を突破した映画「グエムル 漢江(ハンガン)の怪物」が、きょう2日から日本でも公開される。少女を奪った怪物を追いかける家族の姿を描いた作品だが、ポン・ジュノ監督によると、怪物は、日本の俳優竹中直人をイメージし、ちょっと間抜けな一面もあるキャラクターに仕上げたそうで、今夏の韓国映画の話題をさらった。
一方で、この夏、「グエムル」とともに、韓国のスクリーンをにぎわせた超話題作があった。南北朝鮮と日本の対立を描く「韓半島」だ。エンターテインメントとシリアス。韓流ブームによる日本側から見た韓国への親近感と、依然として根強く韓国に残る反日感情。対照的な作品が同時期に公開されたことで、日本と韓国の間で渦巻く2つの相反する“心”を象徴しているかのように感じた。
「韓半島」の舞台は、近未来の朝鮮半島。韓国と北朝鮮を結ぶ京義線が開通し和平ムード広がる中、イージス艦が姿を見せる。日本は、南北和平を阻止すべく、韓国近海に海上自衛隊を出撃させる。
映画は、03年公開の「シルミド」で、秘密裏に養成された金日成暗殺部隊を描いたカン・ウソク監督の作品。記者が映画を知ったのは、韓国公開の2週間ほど前、6月末だった。映画は、韓国国防省の協力で、実際の軍艦や戦闘機の撮影が許可されている。まさしく、国家あげての映画! 韓国の本音を突き付けられたように思った。
というのも、公開のタイミングが絶妙。問題の京義線は実際に、00年の南北首脳会談で連結合意し、工事に着工。今年5月には試運転が行われるはずだったが、見送られている。南北共同事業が宙に浮いた直後の公開だった。
映画の中では、南北和平に水を差すのが日本。なぜかというと、1910年に締結された日韓併合条約の中に「日本に鉄道の所有権がある」との条項があるからだという設定。その条項が実在したかどうかはさておき、「なんでいまさら…」と言葉を失った。
もっとも、カン・ウソク監督は、日本のメディアに「この映画を反日という視点でのみとらえたとすれば、本質を理解できなかったということだ」と、反日映画としての製作意図を否定。一方で「映画の中の感情は、韓国が100年間抱いていた悲しみの感情だ。日本は文化的、社会的に近い国だが、その間、正確に知ることのなかった韓国人の悲しみの感情を理解してくれるよう望む」と、率直にコメントしてもいる。
実際、この映画の存在を知った時、日韓問題の繊細さを痛感すると同時に、記者の心には、日本で2回も“核実験”をしたアメリカへの嫌悪感がわき上がった。
足は、踏まれた側しか痛みを覚えていない。過去を振り返り、必要なら反省することも重要だが、その先も肝心。相手の立場に立ち、心情を理解した上で、どうすれば事はうまく進むのか-。国家間の壮大な問題ではなくとも、小さな小さな個人と個人、人間関係でも同じことが言える。たった1作品が、そんなところへも、考えを及ばせたのも事実だった。
September 3, 2006 11:20 AM
