記者コラム「見た 聞いた 思った」

2006年08月31日

確認したら、また確認:浜崎孝宏

 「指さし確認」は継続しなくちゃならないことを再確認した。業界のベテランでもあったんです、こんなことが。

 24日から4日間、開催された男子ゴルフツアー・アンダーアーマーKBCオーガスタでの出来事。初日にハプニングが起きた。

 18歳からゴルフを始めキャリア34年を誇るジェットこと尾崎健夫(52)が、首位と1打差の5アンダーでホールアウト。テレビでしか見たことのない大物の話しぶりを聞くと、威風堂々とした雰囲気に一流プレーヤー独特の「オーラ」を感じさせてくれた。今ではシニアツアーに活躍の重きを移しながらも、レギュラーツアーで十分、戦える実力ぶりを証明してくれた。

 しかし、その数分後。スコア提出の際に自分の名前をサインし忘れ、まさかの失格となってしまった。失格が判明する直前の取材。大粒の汗をぬぐいながらジェットは「暑い中、頑張っているので(5アンダー発進は)ご褒美かも知れない」と声を弾ませていた。それだけに本人も、関係者も信じられないといった様子。アマのちょっとしたコンペでさえ、最後に自分の名前をサインすることは知っている。ジェットも何度となく行ってきた最後の“儀式”を忘れたのは、気温30度を越す暑さのせいか、はたまた、グリーンを降りて気が緩んだせいなのかは定かではない。ただ、1つ言えるのは本人が「指さし確認」が怠ったという事実。もちろん本人のミスである。

 かつて箱の中に入れたら最後だったスコア提出だが、今では最終グリーン横にスコア・エリアが設けてあり、大会の競技委員やボランティアの人たちが、選手のスコア提出を手伝い、ミスを極力防げるようサポートしてくれる。サイン忘れなどのケアレスミスは減少傾向にあったが、事件は起こった。

 先日の夏の甲子園でもそんなことがあった。八重山商工(沖縄)対智弁和歌山(和歌山)の一戦。1死一、三塁の八重山商工の攻撃。デッカイ犠飛で三塁走者はタッチアップでホーム生還。しかし、外野手の頭上を抜けたと判断した一塁走者は二塁ベースを回っており、外野手が捕球した瞬間、二塁ベースを踏まず、一塁に慌てて戻ったのだ。もちろん、同じルートで帰塁しなかった一塁走者はアウトになったが、甲子園出場を果たすほどの野球少年でもそんなことが起こった。

 夏の鹿児島大会予選で強豪・鹿児島実の宮下正一監督(34)と話す機会があった。「せっぱ詰まった場面では、ウソでしょうというミスが選手に起こる。日ごろからそういうことも確認しておかないといけないんですよ」。宮下監督が信じられない事例として挙げたのが八重山商工とまったく同じ帰塁ミスの出来事だった。

 ゴルフ、野球で起こった「珍事ファイル」の一例だが、日常生活の中にも潜んでいる。のど元過ぎれば何とか…というけれど、うっかり、焦ったり、時間に追われたりすると頭の中から「当然のこと」が消えることは多々、ある。夏休みもあとわずか。最後の思い出づくりに行楽地にお出かけ予定のご家族もあるでしょうが「火の元、戸締まり」には「指さし確認」で御用心を。

August 31, 2006 10:42 AM