記者コラム「見た 聞いた 思った」

2006年08月22日

予期せぬ災難対策を:村上秀明

 ザ・ドリフターズの人気コント「雷様」は気楽に見られたが、こっちの「雷様」は怖かった。20年以上も前の話だが、自宅に雷が落ちた。ごう音とともに、テレビの裏側から煙が出て、壁が焦げたシーンが、今でも鮮明に記憶の中に残っている。周囲に話すと、よく笑いの「ネタ」として受け止められるが、近所も停電となった正真正銘の直撃だった。

 怖いものを表現した言葉「地震 雷 火事 おやじ」もうなずける。当時、部屋が真っ暗になり、煙が出たテレビの裏に雷様が降りてきた錯覚に陥った。恐怖心から一生懸命にへそを隠した記憶もある。母親によると家財保険で新しいテレビを購入したそうだが、災難は突然やってくるものだと人生で初めて思ったのが、このときだったかもしれない。

 先日、東京都など首都圏で約140万世帯が該当する史上2番目の大規模な停電が起きた。電気が止まり、信号機が一時停止し、交通網がストップし、テレビのニュースを見ているだけでもかなりの混乱ぶりが伝わってきた。影響を受けたエリアの住民にとっては、甚だ迷惑な話だが、個人的にもっと驚かされたのは、停電を引き起こした理由だった。

 重要なライフラインだが、意外ともろいんだなというのが率直な感想だ。旧江戸川にかかる送電線にクレーン船のクレーンアームが接触。確かに信じられない事故で業者のミスだが、1カ所(3本)の送電線が損傷しただけで、あの広範囲なエリアで電気が簡単にストップするとは思わなかった。このような事故は想定外だろうが、人々の生活に絶対欠かせない「生命線」にしては、無防備な印象を受けた。

 札幌市でも今月7日未明、観光名所の時計台近くの市道で、水道管工事中の業者が誤って水道管を損傷させ、大量に漏水した。噴水のように噴き上がった水が、一時は高さ10メートルに達したという。この影響で推定約4万5000戸の水道水が濁った。被害は長いところでは丸1日に及んでいたそうだ。影響をもろに受けた知人によると、近所のスーパーマーケットで水のペットボトルが争奪戦になったという。

 真夏なので涼しい話も加えようと思うが、北海道では真冬の停電が多い。荒れ狂ったような吹雪によるもので、昨年も取材先に車で向かっている途中、突然の停電で周囲の信号がすべて止まったことがあった。吹雪による視界不良で、しかもつるつる路面のアイスバーン。そんな環境下で信号がまったく機能せず、自分で状況判断して運転するしかなかった。

 こういう出来事を振り返ると、天災、人災にかかわらず災難はいきなり降りかかってくるものだと痛感する。電気、水など日々の生活に直結するものが、突然断たれることも十分に想定して、対策を講じておかなければいけないと感じる。停戦決議が発効されたレバノン、飢餓や内戦に苦しむアフリカ諸国などに比べれば、日本は確かに「平和ボケ」しているのかもしれない。ただ、予期せず訪れる災難に対しての対策は忘れないようにしたいものだ。

August 22, 2006 09:16 AM