2006年07月30日
攻めに出た奈良観光:寺沢卓
奈良の観光がピンチだ。
そ、そんなアホな。奈良っちゅうたら観光の王道やんか…。もちろん、奈良は日本の歴史の玉手箱だ。ただ、奈良の観光関係者が危機感を募らせているのは事実なのだ。
その対応策として今月19日、東京の流行発信地・代官山に「奈良市東京観光オフィス」がオープンした。
事前にこの情報が耳に入り不思議に思った。大仏のようにドデ~ンと構えていれば、東京に事務所なんぞ出さなくてもいいのでは?
「そんなことありまへん。観光客数は減っとります。これからの観光は、待ちではなく、攻めんといかん」と昨年7月に就任した藤原昭市長は話す。
「奈良の観光危機」を裏付けるデータがある。04年に奈良市を訪れた観光客は1293万人だった。前年比だと99万7000人減。03年までは5年連続で増えていただけにガクン、と落ちたのは目立った。ちなみに、昨年の東京ディズニーリゾート(TDR)は2476万6000人、大阪市のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)は831万4000人。つまり、TDRの半分、そしてUSJよりはちょっと多いぐらいの集客力といえる。
身を持って感じたことがある。02年6月、サッカー担当で当時開催していたW杯日韓大会を取材した。日本と1次リーグで同組だったチュニジアのキャンプ地が奈良県橿原市で、3日間密着した。奈良には駅の近くに必ずレンタル自転車がある。これは便利だった。ただ、夕方までに返却が大原則。お願いしたけど「あかん、その日ごとの返却がルールやさかい」と断られた。これで自転車を何日か借りられたら便利だろうなぁ~、とそのとき漠然と思っていた。
「そうなんですわ。自転車だって何日かまとめて借りられたら、観光も楽しくなる。お客さんから保証金3000円ほどもらっておいて、無事に返ってきたら保証金返却、っちゅうシステムでええですやん」と藤原市長は腕組みをした。そして、本質的な問題を挙げた。「奈良は有名だと思ってるからか案内表示も少ない。問題はもてなす気持ちをどれだけ持つか。観光資源は山ほどある。それをどうアピールするか」。
東京観光オフィスには、近畿日本ツーリストの社員2人が出向してスタッフとなる。お役所仕事になりがちな業務に民間のノウハウを導入する作戦だ。
それにはまずアピール材料をつくらなければいけない。今年3月、奈良県内の史跡解説をするガイド27団体が、観光ボランティアガイド連絡会を発足させた。無料で案内した観光客を「ほな、よろしく頼んます」と他地域のガイドに引き継ぐ。奈良を隅々まで案内してくれる。ガイド登録は1200人を超える。
また、今年から世界遺産の平城宮の清掃ボランティアも活動を開始した。その平城宮は4年後に遷都1300年の節目を迎える。そう、ゴロで覚えた「納豆(710)食べに平城京」だ。きっと盛り上がるだろう。ただ、大仏のように座っているだけでは、せっかくの節目も台無し。東京観光オフィスが奈良1300年の歴史を変える窓口になる。
July 30, 2006 09:15 AM
