2006年07月27日
監督、話をしましょう:沢畠功二
セ・パ交流戦が終わろうとしている先月中旬、「ヤクルト対楽天」の試合前に神宮球場三塁側ベンチをのぞいてみた。ベンチにどかっと座り、大勢の担当記者と話し込む野村監督。捕手の配球について「なってない」「なんで4番打者にあんな攻めをするんだ」など、語り出したら止まらない。
気が付けば、試合開始40分前まで行われるビジターチームの練習は終了していた。メモを見返すだけでも、ひと苦労のコメント量。ここで仕込まれた「ボヤキ」が「野村の考え」として日々、紙面に掲載され、ファンにも伝わっている。同時に楽天担当にとって、この上ない勉強の場になる。 指揮官がここまで話し好きなのは極端な例だが、野球論を語ることが嫌いな監督って、そうはいないのではないか。03年12月、名球会旅行のためハワイ滞在中の巨人堀内監督(当時)が、同行した担当記者にこう語りかけた。「オレは(試合前に必ず囲み取材に応じるヤンキースの)トーリ(監督)みたいになりたいな。シーズンが始まったら野球を教えてやるよ。前の日にあった試合のことを解説してやるから」。
一見、とっつきにくそうな堀内氏だって、野球論ならウエルカム。状況により、何が、どう変わったのか。プロならではの駆け引きは、担当記者そしてファンにとっても興味深いものであろう。結局、スタートダッシュに失敗したことが響き、「講義」は数えるほどしかなかったが…。
そんなこんなでヤクルト担当だった01、02年、若松前監督が連日ベンチで打撃理論、体調管理など熱弁を振るってくれたことを思い出した。「現役時代は6月にどれだけ走り込めるか。これが夏場の体のキレにつながるんだ」。「肉離れしたときは自転車店に行って、タイヤのチューブをもらってくるんだ。それをテーピング代わりにしたんだよ」。「(左打者の)バッティングは左手でバットコントロールするんだ。特にバットに面する人さし指でな」。(左打者なら右の)引き手でコントロールすると思っていたが、生涯打率が3割を超えた「小さな大打者」は違った。当然、前の試合のポイントなども解説してくれた。
現在、試合前に囲み取材に応じる指揮官は半数程度。もちろんその日のチーム状況、そして気分もある。試合後は興奮していて、冷静さを欠くときもあるだろう。だからこそ5分の立ち話程度でもいい。報道陣は指揮官との会話を求めている。相手チームの対策、作戦は支障があるだろうから、雑談程度で構わない。監督にはスポークスマン的な役割もある。
「大将」がモノ言えば、選手にも正確な質問ができる。そして何と言っても、プロの考え、技術論を聞き、伝えることで、どれだけ多くのファンが喜ぶことか。プロ野球の監督は日本に12人しかいない。国をつかさどる、大臣よりも少ないのだ。
なかなか梅雨が明けずにジメジメした今の時期。若松前監督の言葉を思い出しながら、外野の一角に目をやる。「よく走り込んでいるな」「すごい汗の量だなあ」と感心しながら、その選手の成績を見てみる。やはり、と思う。
July 27, 2006 12:33 PM
