2006年07月10日
ジャンケットって何?:小林千穂
芸能担当になって2年と少し、気になっていながらもほっておいたギョーカイ用語があった。「ジャンケット(junket)」だ。主にハリウッド映画で、現地まで行って監督や出演者に取材すること。映画会社からは「今度『○○』という新作が公開されるんですが、ジャンケットでロサンゼルスまで行きませんか」などというふうに取材の依頼を受けたりする。
ある海外出張の時、同行した映画会社関係者に「ジャンケットってどんな意味と定義があるんですか」と聞いたら、「さあ…意識しないで使っているので。プレミアイベントや俳優に直接コメントもらったりする機会がある取材、って思ってますけど。正確には何だろう」という答えだった。私もそこですぐに調べればいいようなものだが、その時「何だろうな」と思っても、帰国するときれいさっぱり忘れてしまったり、意識の外に出てしまったりで、ここまできた。
携帯電話をいじっていたら、辞書機能があることに気付き、調べてみました、ジャンケット。ちょっと衝撃的な意味が出てきた。「公費による大名旅行」。ガーン。公費じゃないけど、私は今まで大名旅行なるものをしてきたのか…。記者としてどうなのよ? いや、携帯電話の辞書機能だから、こんな言葉しか出なかったんであって、まだほかにも有意義な意味があるはずと、気を取り直して、インターネットで調べてみたら、ショックに輪を掛ける意味が出てきた。「物見遊山(ものみゆさん)」。遊んでたのか、私は…。
もちろん「大名旅行」「物見遊山」はあくまでも元の意味であって、映画業界用語としては、単に「俳優たちに直接話を聞ける取材」くらいの意味になっているんだろうが、この言葉を見てあらためて気を引き締めました。すべておぜん立てが整った中での取材に慣れていないか、と。
海外のロケ現場やプレミア試写などの取材は、勝手にほいほいと行けるわけではないので、基本的に映画会社におんぶにだっこされている。いわゆる「あごあし枕付き」という以外にも、取材の段取りから何から何まで。もちろん、監督や俳優たちに直接話が聞けることは、読者に新鮮な情報が伝えられるし、自分にとっても今後につながる良い経験になるので、貴重な機会だと思う。でも、違うって思っても、状況としては「大名旅行」かもしれない。もっと自由に動けたら、動けば良かったと思ったことも多々ある。ジャンケットは頻繁にある取材ではなく、ほんのほんの一部だけど、この文字をじーっと見て、ちょっと考えてしまった。これまで読者にきちんと向かった取材ができてきただろうか。
さて、このコラムを書いて1年。今回で私の担当は終了です。少なくともここでは、書きたいことを書き、言いたいことを言ってきたつもり(くだらないこともありましたが)。とにもかくにも、これからも見るべき方を向いた取材をしていきたいと思う。
July 10, 2006 11:49 AM
