記者コラム「見た 聞いた 思った」

2006年06月30日

行ってきます、南極に:小林千穂

 突然ですが、ご報告します。ちょっと先の話ですが、11月下旬から4カ月間、南極に行くことになりました! 第48次南極地域観測隊に同行取材するのです。今は、観光で行く人もいるくらいなので、果てしなく遠いイメージはなかったんですが、観測隊と一緒に行動するってことはこれから多分、一生ないだろう、と思っています。このコラムも今日を含めて、私の担当はあと2回。書き残したことはないか、というデスクの言葉に、自分のことを書かせてもらいます。

 南極行きが決定して、頭を悩ませていたことの1つは、岐阜の田舎で暮らす両親にどう伝えるかってこと。彼らにとっては、東京での仕事でさえ未知の部分がいっぱいなのに、南極なんて言ったら、どれほど心配するか。決まって1カ月半は言えずにいたのですが、ついに電話で報告しました。母は一瞬の沈黙の後「あなた、日焼けしちゃいけない年なのに…。和泉雅子みたいになるんでしょう」(←和泉さんに失礼な)。第一声がそれですか…。絶句。こちらの気も抜け、悩みの1つも解消しました。

 気も楽になったところで、先週5日間、長野・菅平で夏訓練というものに参加してきました。観測隊のオペレーションや生活に関する講義と会議、ジョギングに体育。合宿なんて、大学時代の部活以来。1人暮らしがすっかり楽になり、団体生活の雰囲気を忘れてしまった今、6人部屋と分かった時は「1人になりたい…」と、ちょっとぼう然としたのですが、向こうに行ったら、24時間誰かと一緒にいるわけですし、意外にも5日間で結構慣れるものです。取材のポイントもぼんやりと見えてきた合宿でした。

 観測隊員はそれぞれ、いろんな経歴を持ったスペシャリストの集団。研究者や建築、土木のプロ、医師に調理師。彼、彼女らの話を聞くのは、それはそれは楽しいものでした。未知の世界の話が面白くないわけがない。私は、言ってしまえば「タナボタ」的に取材という機会をもらったのですが、中には10年以上、南極に行きたいと言い続けてきた人や、ホームページの募集を見つけ、会社を辞めて応募してきた人もいたりと、キャラクターも志も濃いのです。南極という場所にも、隊員の活動にも、また、彼、彼女らにも興味津々です。

 私が南極に行くということを知った周囲の反応はさまざま。「ペンギンのみそ漬け買ってきて」(捕まりますよ)、「シロクマの写真撮ってきて」(いません)、「かわいそうに。そういう取材は後輩に行かせればいいのに」(立候補したのは私です…)などなど。それでも、最後には「いいなあ」という言葉を付け足してくれます。まだまだ知らないことがたくさんあって、それを見たい、経験したいというのは誰しも同じなようです。

 ということで、行ってきます、南極。出発までまだ、いやもう5カ月。読者の皆さんは南極にどんなイメージを持っているんでしょう。

June 30, 2006 09:31 AM